NHKニュースおよび複数の関連アカウントの所在地表示が「アメリカ(United States)」になっていることが、X上で大きな話題になっている。NHKの本当の所在地を知っているXユーザーであっても、国内の公共放送であるはずのNHKの所在地が米国と記されている状況に驚きや違和感を覚えたようで、多くの指摘が寄せられている。
X上での騒動は、単一アカウントの誤表示にとどまらず、NHKニュースのメインアカウントだけでなく、関連部署や番組のアカウントでも同様の表記が確認されたことが発端となっている。X上では、「日本の公共放送が米国扱いなのはなぜか」という素朴な疑問から、組織的な背景を勘繰る声まで幅広い反応が見られるようになった。
一部では、アメリカの諜報機関の関与や、何らかの政治的意図を巡る臆測が飛び交い、それをやゆする投稿も散見される。過去の報道姿勢への不満を抱えていたユーザーの中には、所在地表示を口実に「どこの国の放送局なのか」と批判する声を上げる人もいる。
NHKニュースなど複数のXアカウントで、所在地が「アメリカ」と表示され波紋を呼んでいる。国籍表示の仕様を知るユーザーでも、日本の公共放送が米国扱いされる事態に驚きや違和感を隠せず、多数の指摘が寄せられている(出典:NHK PRのAbout this account)今回の問題は、Xが最近グローバル展開を始めたコンテンツの信頼性を確認する新機能が関係しているようだ。この機能は、プロフィール欄の「〜年から利用」という表示部分をタップすることで確認でき、所在地だけでなく、アカウントの登録年月や認証された年月なども表示される。
Xの製品責任者であるニキータ・ビア氏は10月15日(現地時間)の投稿で、この機能をX上のコンテンツの信頼性を確認する手段の1つとして紹介していた。さらに、「プライバシー保護のため、時間差を設けたランダムなスケジュールで更新される」と補足的に説明しており、表示される情報が必ずしも即時性が伴うわけではないことを示唆していた。
同氏は英語で「In a couple hours, we'll be rolling out About This Account globally」などと投稿し、世界的な機能展開を明言していたことから、今回の表示もその一環であることが分かる。
一方で、海外駐在を名乗るユーザーがなぜか日本と表示されるケースも確認されており、所在地を推定するアルゴリズムが必ずしも正しく機能していない可能性が指摘されている。これにより、「信頼性向上のための仕組み」として導入された機能が、かえって不信感や疑念を呼び起こす結果になっている。
X側は、所在地表示にプライバシー保護の観点からの設定が用意されていることを明言している。しかし、ネット上の反応を見る限り、表示内容が誤っている場合にユーザーがどのように修正すべきかといったガイドが十分に伝わっていないようだ。「個人の利用環境が勝手に推定されて公開されるのではないか」という懸念も広がっている。
X側は所在地表示にプライバシー設定があると明言しているが、誤表示の修正手順などガイドの周知は不十分なようだ。ネット上では「個人の利用環境が勝手に推定・公開されるのではないか」との懸念も広がり、ユーザーの間に不安の声が相次いでいる今回の問題は、本来、コンテンツの信頼性向上を目的として導入された機能が、逆に疑念の一因となる皮肉な状況といえる。NHKの所在地が米国表示になった背景が技術的な問題であるのか、それとも推定アルゴリズムの仕様で説明可能なのかについては、X側が今後どのように説明し、改善していくかが注目される。
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