Pebble創業者のエリック・ミジコフスキー氏は12月9日(米国時間)、スマートリング「Pebble Index 01」を発表した。価格はプレオーダーが75ドル(約1万2000円)で、2026年3月に世界向け出荷を始めた後は99ドルに値上げする計画だ。日本からも発注できるようになっている。
Index 01は、人間の「外部記憶」をうたう指輪型ガジェットで、人差し指(英語ではindex finger)にはめたリング上のボタンを押しながらマイクに向かってつぶやくと、その音声がスマートフォンに送られ、テキストに変換されてメモやリマインダー、簡単なアクションとして保存されるというものだ。スマートフォン側ではオープンソースの音声認識とLLMをローカルで動作させる設計で、ネット接続や追加のサブスクリプションは不要だ。言語によって品質は異なるものの、音声テキスト変換とローカルLLMは99言語以上に対応している。
ミジコフスキー氏は、1日に何度も「メモしておきたいひらめき」があるが、すぐ書き留めないと忘れてしまう、という不便さから、このデバイスの開発を始めたと語った。スマートフォンを取り出してメモしていたが、自転車に乗っているときや食器洗い、子どもの世話など、手がふさがっているときは難しい。当初はこのボイスメモ機能をPebbleスマートウォッチ向けアプリとして試作したが、スマートウォッチでも自転車走行中などでは使いにくかったため、ボタンとマイクを小型リングに収める現在のフォームファクターにたどり着いたという。
開発では、「必ず動作すること」「物理ボタンの確実なクリック感」「数年単位でのバッテリー寿命」「プライバシー保護」「結婚指輪並みの小型さ」「日常生活レベルの防水性」といった条件を満たすことに注力したという。リングの内部にはボタン、マイク、Bluetoothチップ、メモリ、長寿命の酸化銀電池を内蔵し、ボディはステンレススチール製、ボタン部分はシリコンだ。iOSとAndroidの両方で動作し、iPhoneとの接続についても、独自実装で安定動作を確保したとしている。
リング単体にも最大5分間の音声を保存できるメモリを備え、スマートフォンが手元になくても録音し、後で同期できる。音声認識が聞き取り損ねた場合に備えて、生の音声をアプリ上で再生する機能も用意する。
録音した内容はメモやリマインダー、アラームなどのアクションに振り分けられ、ユーザーは保存先をNotionなど好みのサービスに変更できる。ボタンのシングル/ダブルクリックには音楽の再生・スキップやスマートホーム操作などを割り当てることもでき、Model Context Protocol(MCP)を通じて独自のアクションや外部サービス連携を追加することも可能という。
入力専用デバイスと割り切ることでサイズと電池寿命を優先した。電池は最大で数年持続するが、充電も交換もできないので、バッテリーが尽きたらユーザーがリングをメーカーに送り返し、リサイクルしてもらう「使い切り」型の製品コンセプトを採用している。
今後の拡張についてミジコフスキー氏は、Index 01の中核はあくまで「確実に覚えておくためのデバイス」であり、その信頼性を最優先する一方で、より汎用(はんよう)的な音声エージェントとしての可能性も検討していくとしている。例えば、クリック押し込み+音声入力でメモ用の処理系に音声を送ることに加え、ダブルクリック+音声入力ではWeb検索を伴う米OpenAIの「ChatGPT」のようなエージェントにルーティングし、その結果をPebbleや他社製スマートウォッチの通知として表示するというような機能だ。将来的には、ChatGPTの音声モードと組み合わせて、Index 01を通じて入力し、イヤホンからAIの応答を聞くといった使い方も視野に入れているという。
企業としてのPebbleは2016年にFitbitに買収され、そのFitbitを買収したGoogleが2025年1月にPebbleのOST「PebbleOS」をオープンソース化した。ミジコフスキー氏は新たにCore Devicesという企業を立ち上げ、rePebbleというPebble端末を提供するプロジェクトを立ち上げた。既に「Core 2 Duo」や「Core Time 2」というスマートウォッチを提供している。
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