KDDIは2025年12月2日、「重要なお知らせ」として「ご利用中のスマートフォンへのブラウザと検索の選択必須化のご案内」を配信した。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年12月6日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
12月18日より施行されるスマホ新法の影響を受け、各Androidスマートフォンのソフトウェアアップデートの実施後、もしくは初期設定時にブラウザと検索エンジンの選択画面が出るようになると告知しているのだ。
前日の12月1日には公正取引委員会サイトで「知ってる!?スマホ法」というページが公開されている。「チョイススクリーンの表示」が始まり、ブラウザや検索エンジンが自分で選べることをアピールしている。
そもそも今時、ブラウザや検索エンジンを選びたい人なんているのか。
これが百歩譲って15年ぐらい前であれば「公取委、よくやった」と賞賛の声を上げたい。
iPhoneが登場して、もうすぐ20年。ブラウザや検索エンジンの競争はとっくの昔に終わっている。日本語検索エンジンであった「goo」は11月25日にサービスを終了してしまった。
いまさら、デファクトスタンダードとなったブラウザや検索エンジン以外を選んで何のメリットがあるというのだ。
もちろん、ブラウザ「Chrome」や検索エンジン「Google」以外にも使い勝手がいいものは存在する。ただ、そうしたサービスはChromeやGoogleを一度使って、満足できない人が手を伸ばす嗜好品だ。
なぜ、そうしたクセのあるサービスを、何もわからないような人が選ぶ必要があるのか。
人は、目の前に選択肢が出てくると、迷い、判断がつかなくなる。そこで、救いの手を求めたくなる。
キャリアショップでスマートフォン初心者が迷った際、店員さんが助言するというのは単なる「手間」でしかない。なぜ、公正取引委員会は、そんな金にならない手間をショップ店員さんに押しつけるのか。
おそらく、選択肢に上げられるブラウザや検索エンジンも迷惑な話なのではないか。いきなり素人ユーザーが増えてしまえば、サポートへの問い合わせも殺到するだろう。他よりも劣った機能であればクレームが来て、改善を求められるだろう。
セキュリティアップデートも極力やってこなかったブラウザも、アップデートの更新頻度を上げざるを得なくなると、コストがかさんで収益に影響が出る可能性もあるだろう。
KDDIのサイトでは、どういった画面が出るのか、スクリーンショットの画面付きで紹介しているのだが、ブラウザの選択画面ではGooglel Chrome以外はすべてボカシ、検索エンジンもGoogle以外はすべてボカシが入っていた。
キャリアとして「推奨ブラウザ」「推奨検索」として強調してアナウンスしており「他を選ぶ必要は一切ない」という無言の圧力を感じた。
スマホ新法は公取委の「自己満足」でしかない。
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