楽天モバイルは2026年1月14日、総務省で開催された「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会」の第2回会合において、お試し割に関する資料を提出した。楽天モバイルは、2024年に導入されたお試し割の仕組みが、どの通信通信事業者においても実現していない現状を指摘し、利用者による通信品質の確認を容易にするための環境整備を求めている。
お試し割は、通信通信事業者間の乗り換えを促進し、新規参入通信事業者が提供する通信サービスの品質を利用者が実際に体験できるように設けられた制度だ。総務省は2024年12月5日に「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」の改正案を公表し、一定の条件下で通信料金の割引を認める方針を示した。この制度により、通信事業者は継続利用を条件としない通信料金の割引を提供できるようになり、利用者は契約前に自宅や職場でのつながりやすさを確認することが可能となった。
現行のガイドラインにおいて、お試し割が電気通信事業法第29条第1項第5号の制限に該当しないと見なされるためには、3つの条件を全て満たす必要がある。1点目は、割引の合計額が税別2万円以内であること。2点目は、当該割引の期間が6カ月以内であること。そして3点目は、同一通信事業者において1回のみの実施に限られることだ。この回数制限は、契約者名義および本人確認記録によって判定され、同一通信通信事業者内の異なるブランド間での重複利用も認められない。
楽天モバイルの資料によると、2024年の制度導入以降、主要な通信通信事業者のいずれもがお試し割を実施していない主な要因は割引額の算定基準にある。現在、お試し割による割引額は「利益の提供の上限額(2万円)」の内数に含まれると規定されている。通信通信事業者がスマートフォン端末の購入補助などのキャンペーンを行う場合、その割引額と通信料の割引額の合計を2万円以内に収めなければならない。しかし、それこそが、通信事業者がお試し割を積極的に活用する上での制約となっており、実効性が失われていると楽天モバイルは分析している。
楽天モバイルは、主要各社がお試し割を導入しない要因を割引額の算定基準にあると分析する。端末購入補助と通信料割引の合計を上限2万円以内に収める規定が制約となり、制度が実効性を欠いているとの見解だ(出典:楽天モバイルが総務省に提出した資料)楽天モバイルは、お試し割を実効性のある制度とするために、条件の大幅な見直しを提言している。具体的には、お試し割による割引額を、現行の利益提供の上限額である2万円とは別枠、つまり「外数」として実施可能にすることを求めている。端末値引きの制限とは切り離して通信料の割引を設定できるようにすることで、通信事業者が実際にサービスを提供できる環境を整えるべきだという考えだ。
この提案の根拠として、楽天モバイルは過去の特例措置を引用している。ミリ波対応端末の普及を促進する際、端末の割引上限額が特例として最大1万5000円引き上げられた事例が存在する。楽天モバイルは、お試し割についても同様の措置を検討すべきだと主張している。通信品質に対する不安を解消し、通信事業者間の乗り換えを加速させるという導入目的に立ち返れば、現行の内数規定は制度の趣旨を阻害しているというのが同社の立場だ。
総務省は、ミリ波が十分に普及していないことを背景に、対応端末の割引上限を時限的に緩和。現行の4万円から5.5万円へ1.5万円引き上げ、高コストな端末の普及を促す(出典:電気通信事業法施行規則の一部改正)楽天モバイルがお試し割に関する提言を行う背景には、2020年の本格参入以来抱え続けている課題がある。「Rakuten最強プラン」は、過去に「使わない月は0円」の仕様が廃止された経緯はあるものの、サービス開始から一貫して料金体系を1種類に絞る戦略を継続してきた。しかし、2025年10月には、同社として初となる2つ目のプラン「Rakuten最強U-NEXT」の提供を開始した。これはデータ通信の使い放題とエンタメサービスをセットにしたものだ。ワンプランではなくなったものの、プラン自体の選択肢は少なく、依然としてシンプルな構成を維持している。
「Rakuten最強U-NEXT」は同社として初となる2つ目のプラン。データ通信の使い放題とエンタメサービスをセットにしたものだ(出典:楽天モバイルが「ワンプラン」を撤廃してまで、U-NEXTセットの新料金プランを提供する理由)一方、プランの選択肢が少ないことは、既存ユーザーにとって「プラン変更のきっかけ」が生まれにくいという側面も持つ。そのため、新規顧客を獲得するには通信品質を手軽に試せる環境が不可欠であるとしている。2024年3月13日に実施された有識者会議「競争ルールの検証に関するWG」においても、楽天モバイルはデジタルに慣れていない層を含めた利用者への乗り換えのきっかけ提供について意欲を示していた。
楽天モバイルは、法令に抵触する懸念を排除しつつ、新規顧客がリスクなくサービスを体験できる仕組みの実現を目指し、ガイドラインの再修正を求めているようだ。
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