“使い捨てモバイルバッテリー”に物議 「文字通りごみに出して火災が多発しそう」「環境にもよくない」

» 2026年01月30日 11時01分 公開
[田中聡ITmedia]

 「使い捨てバッテリー」「チャージしてポイ」と銘打ったモバイルバッテリーがSNSで話題を集めている。これは、1回だけ充電できる使い切りモバイルバッテリーのことで、JAPAN ONEが「チャっぽい!」というサービス名で展開している。

チャっぽい! 「使い捨て」をうたうモバイルバッテリー「チャっぽい!」

 チャっぽい!のサイトには、「登録も返却も不要。“持っててよかった”モバイルバッテリー」とうたわれている。近年、「ChargeSPOT」をはじめとした、モバイルバッテリーのレンタルサービスが増えつつある。こうしたレンタルサービスに対し、チャっぽい!は、返却不要で手軽に使えることを訴求している。

チャっぽい! 既存のバッテリーレンタルサービスと異なり、登録や返却が不要であることを売りにしている

 返却するのを忘れていて、気付いたら料金が加算されていた、といったリスクがないので、確かに便利そうなサービスではあるが、「使い捨て」というフレーズには疑問符が付く。使い捨ては、文字通り、使ったら捨てるという意味。これをそのまま受け取ると、バッテリーを使い切ったら捨ててもよい、と捉えられかねない。

 ITmedia Mobile読者の皆さんは、重々承知のことだとは思うが、モバイルバッテリーに内蔵しているリチウムイオンバッテリーは、衝撃を与えたり、膨張したりすることで発火する恐れがある。モバイルバッテリーを家庭ごみと同様にごみとして出したことで、ごみ収集車やごみ処理場で火災も起きているので、可燃・不燃・資源ごみなどには絶対に出してはいけない。

モバイルバッテリー火災 リチウムイオンバッテリーを含む製品を通常のごみに出すと、ごみ収集車で発火するリスクがある(写真はNITEのニュースリリースより

 リチウムイオンバッテリーは、自治体の廃棄方法に従って回収する、あるいは家電量販店やホームセンターなどに設置されている「小型充電式電池リサイクルBOX」で回収する、携帯キャリアショップに持ち込むなどの方法で廃棄する必要がある。

 このチャっぽい!について、ネットでは「文字通りそのまま燃えるごみに捨てる人が続出してごみ処理場での火災が多発しそう」「パッケージ通りに可燃ごみにポイしてごみ収集車が燃えることが怖い」といった意見が挙がっている。サイトのFAQには「使用後の捨て方について」という項目に「お住まいの自治体のルールに従って分別・廃棄してください」と記載しているのみで、具体的な廃棄方法は説明していない。

チャっぽい! モバイルバッテリーは1800mAhと4500mAhの2タイプを用意している

 バッテリー廃棄について誤認させるだけでなく、使い捨てというコンセプトが環境に配慮していないという見方もある。「リサイクルせず使い捨ては環境にも良くないし、気軽に捨てられない」「SDGsうんぬんといわれてプラストローが無くなりつつあるのに、これが許されていいのか」と疑問を呈する声も出ている。

 モバイルバッテリーは1800mAhと4500mAhの2タイプある。端子はLightningとUSB Type-Cの2つを備えており、スマートフォンに直接挿して使う。

 4500mAhの出力は5V1A(5W)であることが画像から確認できる。現在市販されているモバイルバッテリーは20W前後の出力が標準的であり、5Wの充電スピードは遅い部類に入る。こうしたバッテリー自体のスペックの低さに対し「何がメリットなんだろう」「ダイソーの5V2Aで1000円のモバイルバッテリーが神に見えてくる」といった声も出ている。

チャっぽい! 廃棄方法についてはFAQで一言述べる程度にとどめられている

 チャっぽい!は、コンビニエンスストア、空港・駅、家電量販店、ホテル、オンラインストアで展開予定としている。利用シーンとしては、災害時の備えや観光地での使用などを想定している。また、企業がキャラクターコラボやロゴ入りのパッケージを設けることで、イベントでの充電ニーズや物販にも対応していくようだ。

 確かに、いざというときに使えるモバイルバッテリーが1台あるのは安心できるし、企業のコラボグッズもブランド認知に一定の効果はあるだろう。しかし、「使い捨て」をうたうのは危険と言わざるを得ない。

 モバイルバッテリーの発火事故は年々増加しており、この製品によって「モバイルバッテリーは捨てていいんだ」という誤認が広がりかねない。「チャージしてポイ」「チャっぽい!」というフレーズやサービス名からも「捨てられる」ことを連想させる。「使い捨て」ではなく「使い切り」と表現すべきではないだろうか。

 「返却不要」なのは大きなメリットではあるので、誤解を与えずにメリットを伝えるのなら「返却不要 使い切りモバイルバッテリー」などとするのが適切だろう。廃棄方法についてもパッケージに記載するなど、丁寧に案内すべきだ。

 ITmedia Mobileでは、JAPAN ONEに対し「誤った捨て方による発火事故が懸念される中、使用後の処分方法についてどのように告知していくのか」という趣旨の質問を送っているが、回答は得られていない。回答が得られ次第、記事を更新する予定だ。

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