LINEの悩みは今も「既読スルー」──14年半で変わった若者の「未読」文化と、“既読機能”を消さないLINEの真意(2/3 ページ)

» 2026年03月02日 15時00分 公開
[鈴木朋子,ITmedia]

「既読スルー」と「未読スルー」という文化の定着

 やがて、メッセージを読んだにもかかわらず返信をしない状態は「既読スルー」や「既読無視」と定義されるようになりました。2013年の「egg流行語大賞(旧ギャル流行語大賞)」では、既読スルーを指す略語「KS」がランクインするなど、社会的な認知度を一気に高めていきました。

 LINEのヘビーユーザーである10代にとって、「既読スルー」は死活問題でした。時には「既読無視をされた」という憤りが拉致監禁事件にまで発展したり、グループ内で特定の個人を意図的に無視する「LINEいじめ」の温床になったりと、深刻な社会問題を引き起こしたのです。

 こうして「既読スルーは失礼」という価値観が浸透し、既読をつけたら即座に返信しなければならないという強迫観念を抱くユーザーが増加しました。10代は絶え間ない返信対応に追われ、「LINE依存」が危惧された時期でもあります。大人もまた、当時はそれを「マナー」として現在以上に重く受け止めていました。筆者自身、当時は「既読をつけずにメッセージを読む方法」といった解説記事を数多く執筆した記憶があります。

photo グループLINEにおける既読スルーは、心理的な孤独感を抱かせます

 さらに、派生語として「未読スルー」という言葉も生まれました。これは、通知や専用アプリを介して内容は確認しつつも、あえて「未読」の状態を維持して放置する行為を指します。iPhoneではトーク画面の長押しでプレビューを表示できるため、この機能が広く重宝されるようになりました。

photo iPhoneの長押し機能を活用すれば、未読のまま内容の確認が可能です

 現在では「あえて未読のまま寝かせる」ことが常態化しており、未読状態であっても「内容は把握されているはずだ」と解釈される傾向にあります。一方で、未読メッセージがたまりすぎて重要な連絡を見失うケースも増えており、その回避策として、若者の間では連絡手段をInstagramへ分散させる動きも顕著になっています。

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