KDDI松田社長、他社に料金プランを模倣されるのは「最大限の賛辞」 3社の「Starlink Direct」にも言及

» 2026年05月12日 18時04分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 KDDIの松田浩路社長は、5月12日に開催した2026年3月期本決算説明会の場において、「Starlink Direct」に言及した。Starlink Directとは、スマートフォンと低軌道衛星であるStarlink衛星が直接通信する技術を用いたサービスだ。空が見える場所であれば、地上の基地局の電波が届かない圏外エリアでも通信が可能になる画期的な仕組みだ。

Starlink 料金プラン KDDI

 現在、国内通信各社の人口カバー率は99.9%を超えているが、日本特有の地形の影響で国土の約40%は面積カバーの対象外となっている。本サービスは、通信環境の整備が困難な山間部や島しょ部、海上の通信空白地帯を埋める役割を担う。

国内3キャリアによる戦略の差異 KDDI独自の価値とは

 提供する国内3キャリアのサービスには、それぞれ異なる特徴と戦略がある。NTTドコモが提供する「docomo Starlink Direct」は、ahamoを含む全料金プランのユーザーが、申し込み不要かつ当面無料で利用できる間口の広さが最大の特徴だ。複雑なプラン選択や切り替えを必要とせず、既存の回線のままシンプルに衛星とつながる開放戦略を、同社は明確にとっている。

 これに対しKDDIの「au Starlink Direct」は、他社に先行して開始した運用実績を生かし、実用面での質の高さを強みとしている。現場の声に基づき海上エリアを他社の2倍となる接続水域を含む24海里まで拡大した。さらに、24時間対応のSOSセンターを新設して圏外からの救助要請をサポートする安全・救助インフラの体制を整えており、他社との差別化を図る独自価値を提供中だ。

 au Starlink Directは現時点で国内唯一の海外ローミング対応を実現しており、アメリカやカナダなど海外の圏外でも通信できる独自の価値をユーザーに提供している。auユーザーは当面無料で利用できるが、他社回線利用者の場合は専用プランの契約手続きが必要だ。このように、先行者としての利点を生かしつつ、より専門的で実用的な機能を付加しているのがKDDIの立ち位置だった。

 ソフトバンクの「SoftBank Starlink Direct」は、LINEやPayPay、Yahoo! JAPANなどの自社グループの主要アプリを即座に衛星通信に対応させた。生活インフラとしての親和性と利便性を強調しているのが特徴だ。ソフトバンクやワイモバイルの対象プラン利用者は追加料金なしで利用できるが、LINEMOやその他のプランでは2026年7月以降の有料オプション化を明言した。

「名称統一」に、プラン内容は「酷似」――松田浩路社長は「賛辞」

 無料で広めるドコモとは対照的に、ソフトバンクは月額1650円の有料化予定を打ち出すなど、持続可能なビジネスモデル構築への切り替えが早い点が特徴だ。はたから見れば、ドコモとソフトバンクがKDDIに追随し、3キャリアがそろってブランドを除く名称を統一したとも見て取れる。

 松田氏によれば、スターリンク側も衛星とスマートフォンを直接接続するサービスにおいて「Starlink Mobile」という言葉を使っているという。「Starlink Directという言葉を使いなさいという指示があるわけではないが、そこを各社がそろえてきた」と松田氏は話す。

 時系列やプランに組み込まれたサービスの構成を比較すると、ソフトバンクがKDDIの戦略を参考にしているという見方は妥当といえる。KDDIは、2025年5月の時点で「auバリューリンクプラン」を発表し、同年6月から提供を開始していた。この時点でKDDIは、データ使い放題に加えて、衛星通信のau Starlink Direct、混雑時の優先通信レーンを設けるau 5G Fast Lane、海外でのデータ使い放題であるau海外放題という3つをセットにする形を完成させている。

 2025年11月にはauじぶん銀行特典を強化した「auバリューリンク マネ活2」を発表。このプランにもau Starlink Direct、au 5G Fast Lane、au海外放題を含め、サブスクぷらすポイントとPontaパスを含む合計5つのサービスを付帯させた。

Starlink 料金プラン KDDIの「auバリューリンク マネ活2」

 一方、ソフトバンクが2026年4月10日に発表した新料金プラン「ペイトク2」も、衛星通信、より高速な5G通信、海外データ通信の3本柱で構成されており、KDDIのプランに酷似していた。

Starlink 料金プラン ソフトバンクの「ペイトク2」

 つまり、ソフトバンクの新サービスであるSoftBank Starlink Direct、Fast Access、海外データ放題の3つは、名称こそ違えどKDDIが約1年前に構築した付加価値のパッケージ構成と同じなのだ。ソフトバンクは、これらの通信サービスに加えて自社のPayPayポイント還元率アップという経済圏特典を絡めて自社らしさを出している。しかし通信面での立て付けはKDDIを参考にしたと見て取れる。

 松田氏は、「他社のことなので何をというコメントはない」と前置きしつつ、「模倣されるのは最大限の賛辞だ」と、他社の追随を好意的に受け止めているコメントを示した。

Starlink 料金プラン KDDIの松田浩路社長。「他社のことなので何をというコメントはない」と前置きしつつ、「模倣されるのは最大限の賛辞だ」とした

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月27日 更新
  1. 「海外からの迷惑電話が解消した」との声も NTTタウンページの「詐欺対策」アプリ、累計100万ダウンロード突破 (2026年06月25日)
  2. 年会費9万9000円の価値はある? 最上位クレカ「Olive Infinite」と「Visa Infinite」の違いと持つべき人 (2026年06月25日)
  3. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  4. スマホの短期解約、最長1年の「継続利用」容認で抑制へ 「お試し割」は統合 総務省が取りまとめ (2026年06月25日)
  5. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」どちらが買いか? 2機種を使い込んで分かった“スペック表にない違い” (2026年04月29日)
  6. 「実質24円」は今後も続く? スマホ残価設定は「現状維持」、残価率の一律化は「適当ではない」と総務省が評価 (2026年06月25日)
  7. iPhoneそっくりなだけじゃない、コラボモデルもある「HONOR 600 Pro」 (2026年06月26日)
  8. ソニー「aibo」の国内販売終了 なぜ、人に愛される存在になったのか (2026年06月25日)
  9. iPadやMac値上げでiPhoneはどうなる? Apple直販は価格維持も、キャリアや量販店で値上げの動きが続く (2026年06月26日)
  10. 「日本は6G周波数の議論すら始まっていない」 クアルコムが抱く危機感と、AI時代の次世代通信 (2026年06月26日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー