シャープが「AQUOS」を中高価格帯へシフトする理由 メモリ高騰が直撃するエントリースマホの限界:石野純也のMobile Eye(2/2 ページ)

» 2026年06月13日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]
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影響はグローバルに、メーカーの勢力図にも変化が

 こうした状況を受け、メーカーの勢力図がグローバルで変化する可能性も示唆されている。香港に拠点を構えるカウンターポイントリサーチは、6月5日に2026年のスマホ出荷台数予想を発表した。2026年はメモリ供給の状況悪化やイランでの紛争などが理由に、スマホ市場は13.9%減少し、10億8000万台になるという見通しを打ち出している。円安の影響はないが、グローバルでも置かれている状況は近いといえる。

 ただし、その内訳を見ていくと、市場が縮小する中でもシェアを拡大するメーカーがある。Appleやサムスン電子だ。同社の予想では、Appleが20%から23%、サムスン電子が19%から21%に拡大するという。代わりにシェアを落としているのが、Xiaomiやその他に含まれる中小メーカー。その他の中国メーカーもシェアは横ばいのため、出荷台数は大きく落ちる形になる。

カウンターポイント カウンターポイントリサーチの出荷台数予想。26年は全体が縮小傾向だが、Appleとサムスンはシェアを伸ばしている

 Appleやサムスン電子に共通しているのは、ハイエンドモデルが強く、その構成比が高いということだ。Appleは廉価モデルの「iPhone e」シリーズも含め、全機種がハイエンド。サムスン電子もフラグシップモデルの「Galaxy S」シリーズやフォルダブルの「Galaxy Z」シリーズなどがハイエンドで、他メーカーに比べて構成比が高い。

iPhone 17 iPhoneはベースモデルや廉価モデルですら、高性能なチップセットを備えたハイエンドモデルだ。写真は現行のベースモデルである「iPhone 17」

 逆に、コストパフォーマンスを武器に、エントリーモデルからミッドレンジまでの販売に強かった中国メーカーの影響力が、相対的に落ちることが予想されている。中国メーカー各社も、老舗カメラメーカーと協業したカメラスマホやフォルダブルスマホに注力しているが、メモリやストレージが高騰する中、利益率の高いスマホを展開してきたAppleやサムスンの影響力が相対的に強くなることは不可避といえそうだ。

 話をシャープに戻すと、同社がミッドレンジ以上の構成比を上げる方針を打ち出したのも、そのためだ。とはいえ、単に新製品を投入すれば、ミッドレンジモデルやハイエンドモデルの割合が増えるわけではない。むしろ、ハイエンドモデルになればなるほど、価格に見合ったユーザー体験や磨き上げたメーカーの技術力が求められるようになる。

スマートフォンAQUOS シャープは、公式サイトで新製品の発表を予告した。シルエット的にはAQUOS Rシリーズとみられる

 もくろみ通りにミッドレンジやハイエンドにシフトできるかは、新たに投入する端末次第という側面もありそうだ。その意味で、シャープが6月16日に予定している新商品発表は、今後を占う上で重要なイベントになる。予告画像では、ハイエンドモデルのカメラと思われるシルエットの他、ウェアラブル端末の文字も確認できる。単なるスペック向上にとどまらず、「これならミドルでも欲しい」と思えるような、“とがった体験”を提示できるかどうかが、戦略転換の成否を握ることになりそうだ。

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