今日から始めるモバイル決済

ドコモFGが仕掛ける「グループ連携」と「金融AI構想」 通信との融合でKDDIやソフトバンクに追い付けるか石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2026年07月11日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 金融・決済事業を強化しているNTTドコモが、傘下の企業を束ねたNTTドコモ・フィナンシャルグループ(以下、ドコモFG)を7月1日に始動させた。純粋な持株会社ではなく、同社自身もdカードやd払い、iDなどの決済事業をドコモから承継。傘下には住信SBIネット銀行(8月3日からはドコモSMTBネット銀行)やマネックス証券、ドコモ・ファイナンス、ドコモ・インシュアランスといった銀行、証券、保険を担う企業がそろった格好だ。

 ドコモFGの社長には、ドコモの財務部長やNTTで副社長を務めた廣井孝史氏が就任した。通信事業が主力のドコモから切り離すことで、より金融事業に柔軟な対応をしつつ、ガバナンスを強化するのが狙いだ。企業同士を束ねることで、金融同士のシナジー効果を高める目的もある。ドコモFG発足にあたり、それを証明する新サービスも導入する。一方で、早くから金融に着手していた他社と違い、通信との融合は道半ばだ。そんなドコモの新体制を読み解いていく。

ドコモ・フィナンシャルグループ 7月1日に、ドコモFGが発足した。写真は左からドコモ・ファイナンスの岡田靖社長、住信SBIネット銀行の円山法昭社長、ドコモFGの廣井孝史社長、マネックス証券の清明祐子社長

リアルな接点を銀行、証券でフル活用するドコモFG

 「決済にとどまらない、デジタル金融サービスを統合的にお客さまに提供する体制が整った」――こう語ったのは、ドコモFGで代表取締役社長を務める廣井氏だ。GOLD、PLATINUMといった上位カードの加入者が1200万を超え、d払いのコード決済ユーザーも7500万を突破したドコモFGだが、ここに傘下の住信SBIネット銀行やマネックス証券、ドコモ・ファイナンスを集結させ、それぞれを連携させていく構えだ。

ドコモ・フィナンシャルグループ ドコモFGの座組。自身でdカードやd払いを手掛ける他、傘下に銀行や証券、保険が集結した
ドコモ・フィナンシャルグループ 廣井氏は、デジタル金融サービスを統合的にお客さまに提供する体制が整ったと語った

 手始めに、「d NEOBANK」としてサービスを提供してきた住信SBIネット銀行のブランド名を、社名変更に伴い、「ドコモの銀行」に刷新する。ここには、「ドコモのお店で銀行のサービスを受けられることを分かりやすくする」(住信SBIネット銀行 代表取締役社長 円山法昭氏)狙いがある。ドコモの銀行にブランドを変更して、ドコモショップとの連携も強化していく。

ドコモ・フィナンシャルグループ 住信SBIネット銀行は、ドコモSMTBネット銀行に商号を変更するのと同時に、ブランドもd NEOBANKからドコモの銀行に変え、分かりやすさをアピールしていく

 廣井氏によると、「新たに銀行サービスのラインセンスを取得した一部店舗において、8月から銀行口座の開設と初期設定をサポートする」という。さらに、「ネット銀行に関するサービスのスマホ教室なども実施していきたい」(同)という。ドコモは1月にマネックス証券の口座開設サポートをドコモショップで実施していたが、銀行はそれ以上の勢いで対応店舗を増やしていく。

 円山氏によると、現在、198店舗が確定しており、住信SBIネット銀行のFC店舗と合わせて「270店舗以上で私どもの銀行の口座開設や預金の受け入れが行えるようになる」。さらに、5年をかけて、この店舗数をトータルで1500まで拡大していく計画だ。「既にドコモショップのオーナーの方からはご賛同をいただいているため、早ければ年度内に1000店舗の達成も実現できる」(同)とペースは速い。

ドコモ・フィナンシャルグループ ドコモショップとFC店舗を合わせて、2030年までに1500店舗を目指すという

 ドコモショップを急ピッチで増やす背景には、住信SBIネット銀行の成功体験があるという。円山氏は、「住宅ローンでは既にナンバー1になっているが、ネットは全体の5%。残りはリアルの店舗で、これがわれわれの成功の方程式だった」と明かす。ドコモFGの傘下に入ることで、「同じことが預金でもできると確信している」という。ドコモがグループ全体で持つ、リアルな接点を活用することで、金融事業全体を強化していこうとしているというわけだ。

ドコモ・フィナンシャルグループ 住宅ローンでの成功体験を、口座開設や預金獲得にもつなげていきたいと話す円山社長

 もともとドコモFGは、業界内で一定のポジションを築いている会社の集合体といえる。住信SBIネット銀行は、預金残高の規模でネット銀行の2位につけており、住宅ローンの融資実行額や残高はネット銀行トップ。後者については、三菱UFJ銀行や三井住友銀行といったメガバンクに匹敵する規模を持ち、現在、取扱額は2025年に11兆円を超えている。

 マネックス証券も、SBI証券や楽天証券には及ばないが、口座数は6月末時点で300万弱まで拡大しておりネット証券業界では3位の規模。さらに、ドコモ傘下に入ってから、新規口座開設数を大きく伸ばしている。ドコモFG自身が手掛けるdカードも、GOLD、PLATINUMの割合が非常に高く、その数は1100万を超えている。この点は、キャリア系の金融サービスの中でも強みになる。

ドコモ・フィナンシャルグループ 発足したばかりのドコモFGだが、もともと業界内で一定のポジションを得ていた企業が多く、それぞれの力は強い
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月25日 更新
  1. 【ニトリ】2990円の「置くだけスマホ充電LED時計」 カレンダーや温度も表示できる (2026年08月24日)
  2. “5秒で−5度” ワークマンの「ペルチェベスト」を体験 45度の猛暑でも冷える仕組みとバッテリーの安全性に迫る (2026年08月24日)
  3. スマホ時代に「写ルンです」が再ブームのワケ 富士フイルムに聞く40周年モデル投入の狙い (2026年08月24日)
  4. 「iPhone 18」シリーズうわさまとめ 秋にPro、来春に無印登場か 「さらなる値上げ」の可能性も考える (2026年08月19日)
  5. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  6. スマホの「イヤフォン端子」っていりますか? (2026年08月22日)
  7. 3COINSで1980円の「ペルチェクーラー」は残暑でも確実に涼しい 動脈に当てれば効果アップ (2026年08月22日)
  8. ドコモの銀行が“メガバンク級の成長”を描くワケ ドコモショップの無料サポートが果たす役割 (2026年08月21日)
  9. 最大24万強マイル還元のチャンス 新「ANAアメックス」誕生、日常決済で“旅が近づく”特典強化の中身 (2026年08月21日)
  10. インフラシェアリングから「周波数シェア」の時代へ ミリ波を落札したJTOWERの次なる戦略 (2026年08月22日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー