ここでの比較にビッグローブのプランを持ち出したのは、auひかりプラスの料金がプロバイダーごとに異なるからだ。ここが、auひかりとの大きな違いといえる。また、auひかりでは、KDDIとユーザーが直接契約し、プロバイダーで「au one net」を選択できるが、auひかりプラスはBIGLOBE、So-net、@niftyが自社のサービスを組み込める。KDDIがau one netとセットにしたプランは用意されていない。
相原氏も、「au one netをやめてしまうわけではない」としながら、「グループの中でもプロバイダーがある」としてBIGLOBEの名前を挙げた。「BIGLOBEにサービスを寄せ、回線として取り込んできた光コラボや、バックボーンから先のビッグローブが作り込んできたものを生かせる」(同)ことを狙ったという。
その背景には、グループ内で競合しているサービスを整理するという目的もありそうだ。au one netとBIGLOBEはともにプロバイダーで、サービスの差別化もしづらい。グループ内で競合している形にもなるうえに、BIGLOBEは光コラボの「BIGLOBE光」も提供しており、契約数が多い。サービスエリアの広さという意味でも優位性がある。
また、auひかりプラスでは、NTT東西の光コラボも束ねて提供するため、KDDIにとっては、販売を全国区に広げることが可能になる。auひかりは、NTT東西の光コラボと比べてエリアが限定されるが、このサービスであればモバイル回線側では契約が取れる。KDDIの光が引かれていない地域でも、auのサービスとしてBIGLOBEやSo-net、@niftyの光コラボを提案できるからだ。
「全国シームレスに使えるプラットフォームになっている」(同)のは、これまでのauひかりとの大きな違いだ。自社のサービスとして光コラボを提供できず、展開エリアが限定されるのもau one netでauひかりプラスを提供しない理由の1つと見ていいだろう。裏を返すと、auひかりプラスはKDDIにとってもこれまで以上に訴求がしやすいサービスになっているといえる。
今後は「auひかりプラスをオススメすることを強めていく」(同)のは、そのためだ。auひかりプラスにはないVDSLしかない環境など、「局所的にはauひかりが適する場面はある」(同)が、固定回線の主力サービスはauひかりプラスという位置付けになる。
ただし、現時点では宅内をVDSLでつなぐタイプの回線は用意されておらず、古いマンションなどでは契約ができない。「10Gbpsが主流になっていく中で、VDSLで速度向上するのには限界がある」(同)と判断したからだという。こうした環境のユーザーには、従来通り、VDSLに対応したauひかりを案内していくことになるという。
一方で、VDSLだと光回線とモバイル回線の速度が逆転しているケースがある(auひかりはG.fast方式が使えれば下り最大664Mbpsまで速度を向上できるが、そうでない場合は100Mbpsにとどまる)。大きなファイルをダウンロードするときだけルーター側でモバイル回線に切り替えられれば、速度はカバーできる。また、一部のスマホが実装している、Wi-Fiとモバイル回線を束ねて速度を向上させるような機能があれば、VDSLの速度向上に貢献する可能性もある。
現状では、光回線とモバイルはどちらか一方を使う形になっており、2つの回線を同時に利用する機能は提供されていない。相原氏は、その理由を「遅延の差がまだまだあり、光回線に5Gを混ぜることで優れたユーザー体験を提供できない」からだと話す。とはいえ、まさに筆者がそうだが、VDSLを使っていると遅延よりも速度を取りたい場面がある。相原氏も「5Gの進化に伴って検討したい」(同)としていたが、今後の提供範囲拡大や機能の進化にも期待したい。
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