Microsoftは10月のWindows Marketplaceの立ち上げ時に、600種のアプリをそろえる計画だった。結局は250種弱となったが、およそ2カ月後には800種に拡大した。現在、同ストア向けのモバイルアプリを開発するISV(独立系ソフトベンダー)は1000社が登録している。
ライバルたちがこの分野でかなり有利なスタートを切ったことを考えると、モバイルアプリはWindows Mobileのアキレス腱になる運命だったと言える。それでもAppleのApp Storeの10万種のアプリを除けば、Windows Mobileの800種は、RIMのBlackBerry App Worldの1000種強にはかなり迫っているし、Palmの約350種を上回っている。
だがこれらの競合デバイスは、OS――ひいてはサードパーティーのアプリ――を独自のハードに縛り付けている。GoogleのAndroidはオープンソースであり、そのため以前からワイルドカードのような存在になるとされていた。Androidが端末メーカーに敬遠されれば、Android Marketplaceで提供されるアプリが現在の2000種を大きく超えることはないだろう。Androidが成長を続ければ、同OS向けのアプリが爆発的に増える可能性は高い。
もしそうなれば、自社のデバイスにAndroidを搭載しようと思うメーカーは増えるだろう。それはWindows Mobileの市場をさらに圧迫することになる。
Symbian Foundationは10月21日に、Symbian OSをオープンソースプラットフォームにするべき取り組んでいると発表した。このプラットフォームマイクロカーネル「EKA2(Epco Kernel Architecture 2)」は、「予定よりも9カ月早く」リリースされたと同団体は述べている。これにはEclipse Public Licenseの開発キットが含まれている。
先に述べたように、Symbian OSの市場シェアは過去1年間で大幅に下落した。Windows Mobileもだ。これでAndroidが踏み込める場所が大きく空いたことになる。オープンソースであれプロプライエタリであれ、ほかに米国で携帯電話にOSを移植しようとしている大きなライバルがいないことを考えるとなおさらだ。
Androidは、「iPhoneキラー」になるかもしれないと評論家に言われている2機種のハード――MotorolaのDROIDと、HTCのDROID Eris――に搭載されている。実際の製品レビューでは、称賛やAppleに勝つ可能性はやや控えめに語られているが、Androidが誰でもすぐに分かるようなデバイスに結びつけられていることは依然として事実だ。これはAndroidブランドにとってプラスになる。発売から最初の1週間で、Verizon WirelessとMotorolaはDROIDを25万台売った。最初の1週間で160万台売れたiPhone 3GSには遠く及ばないが、多くのアナリストは目覚ましい成果だと考えている。
Windows Mobileにはそのようなデバイスがない。MicrosoftとVerizonがスマートフォン「Project Pink」を2010年初めに投入するといううわさは以前から流れている。9月にはEngadgetがPinkはスライドタイプだと伝え、9to5Macは同デバイスはMicrosoftの子会社Dangerとの共同開発だと示唆した。
だが、Microsoftが「Pink」の存在、あるいはジャーナリストが手に入れたリーク情報を認めるまでは、このプロジェクトはベイパーウェア(発売されるか分からない製品)のままだ。そしてAndroidは毎週打ち出されるDROIDのテレビCM、Webのバナー広告、バスの車体広告で、マインドシェアを拡大している。GoogleがMicrosoftよりも先に自社ブランドの携帯電話を出せば、マインドシェアは急速に高まるばかりだろう。
MicrosoftはWindows Mobile 7の詳細を隠し続けているが、同OSは大がかりなアップデートになると約束している。秘密のベールが取り払われたときに、同OSが世間に好印象を与えられなかったら、Microsoftはモバイル分野でどうしようもなく弱い立場に立つことになるかもしれない。そうなればAndroidにとっては、スマートフォンユーザーをさらに取り込むのに必要な突破口ができ、Windows Mobileは――既にピンチなことは周知だが――深刻な苦境に陥るだろう。
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