エンタープライズコンピューティング企業の一部は、新たなビジネスチャンスに注目しているようだ。Google Chrome部門の製品管理を担当するサンダー・ピチャイ副社長によると、クラウドの将来に期待している企業からChrome OSに関して多くの問い合わせがあるという。
「CIO(最高情報責任者)たちがChrome OSに強い関心を示したのは、うれしい驚きだ。CIOから電話が殺到した」とピチャイ氏は話す。
米Citrixは未知数のChrome OSに賭けており、来年には自社のデスクトップ仮想化技術を同OSに対応させる計画だ。米Adobe Systemsでは、Chrome OS搭載マシンに直接統合される「Flash Player 10.1」の動画性能を改善する作業を進めているという。
Adobeの技術担当シニアディレクター、ポール・ベトレム氏は「Chrome搭載ノートPCは、AdobeのFlashを利用する300万人の開発者がリッチでインタラクティブなコンテンツをエンドユーザーに提供するための新たな機会を提供する」と述べている。
米IDCのアナリスト、アル・ヒルワ氏によると、GoogleはChrome OSの将来性をめぐって企業が抱いている多くの疑問に答える必要があるという。セキュリティや信頼性などの懸念があるからだ。既存のオンプレミス(社内運用)型ソフトウェアでは、CIOはこういった問題にある程度対処できる。
「大手企業は今でも、データ、アプリ、知的財産をクラウドに置くことに疑問を抱いている。この疑問に対する答えの1つは、どの企業のクラウドを信用し、どの程度のサービスを期待できるのかということだ」とヒルワ氏は説明する。
「Googleが大手企業のすべての資産をGoogleのインフラ上に置いてもらいたいのであれば、これらの資産を保護できること、情報の機密を守れること、これらの資産を容易に引き出してほかのクラウドやオンプレミス型インフラに移行できること、そして大企業が大手ソフトウェアベンダーに期待するような高度なサービスを提供できることを顧客に保証しなければならない」(同氏)
Jefferiesのスクアリ氏は、ほかの可能性に注目している。
スクアリ氏によると、Googleが、例えば10種類のGoogle Webサービスを利用してChrome OS搭載Netbookのユーザーの文化を育てれば、ユーザーの行動に関して非常に多くの情報を学ぶ機会が得られるという。これはGoogleの広告ビジネスチャンスを広げ、検索エンジンで展開しているビジネスを拡大できる可能性があると同氏は考えている。
「Chrome OSは、Androidが広範な携帯プラットフォームで実現したのと同じくらい普及する可能性があるが、現在Microsoftが支配し、Appleも一部を確保している個人用コンピューティングOSの市場シェアをGoogleがどれだけ奪えるかについては、まだ何とも言えない」(同氏)
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