ディー・エヌ・エー(DeNA)が「comm」を提供したり、ヤフーが「カカオトーク」に出資するなど、メッセンジャーアプリ市場は大きな競争時代に入っている。だが、こうした流れは「想定の範囲内」と舛田さんは言う。「昨年の時点で、スマートフォンはコミュニケーションツールとして一般化しつつあった。メジャープレイヤーが参入するのは当然の流れ」
競合他社の動向を意識することもさほどないという。「現状について通過点としか思っていない。他社が出したアプリは一度は試してみるが、自分たちが今やるべきことが山積みなので、競合を意識している暇はない」
取り組むべき課題の1つとして挙げるのは、サービス品質の向上だ。10月30日には、トラフィック超過によってサービスが一時停止するという障害が起きた。ユーザー数の増加が影響しているといい、「1つのところに障害が起きると、他のところにも障害が及びやすくなっている」という。
その翌日には、LINE上のやり取りが無関係なユーザーとの間で“混線”する事件も起きた。これはサービス停止障害とは別のプログラム上の不具合が原因という。「ユーザーの通信の秘密を侵害してしまった」と反省し、プログラムテストを一層徹底して実施していく構えだ。
11月22日には、ユーザーからの意見や要望を募る会員制組織「LINEサポーターズ」を発足。誰でも無料で登録でき、アンケートなどを通じてユーザビリティの向上を目指すとしている。
NHN Japanは今年7月にLINEのプラットフォーム化を発表して以来、タイムライン機能などの追加を通じ、無料通話やメッセージの“ツール”からの脱皮を目指してきた。今回のリニューアルでその流れを加速させ、LINEを「ユーザーの生活のインフラ」に進化させたい考えだ。
「人と人とのコミュニケーションを活性化することをコアバリューとして、プラスアルファを提供していく」と舛田執行役員。LINE上で企業アカウントとつながればクーポンを得られ、実店舗での買い物が便利になる――といったように、LINEを「消費者の生活になくてはならないもの」にしていくのが目標だ。
「LINE上でアプリや人がつながって利益を得るだけの構造でなく、LINEとつながるものを拡大し、より大きなエコシステムを構築したい」と舛田さん。Facebook認証への対応や企業向けアカウントサービスの強化を通じ、オンラインとオフラインの両面で「LINEとつながるもの」の拡大を目指すという。「われわれはオンラインに閉じて物事を考えるのが苦手。もっと広い意味で、皆さんの生活のインフラになっていきたい」(舛田さん)
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