「AMDかIntelか」「ATIかNVIDIAか」中国PC市場を制するのは誰だ山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/2 ページ)

» 2005年04月04日 11時47分 公開
[山谷剛史,ITmedia]
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中国で「PCを買うっ」=日本で「車を買うっ」

 では、中国人がPCを買うときの消費者心理を簡単に紹介しよう。彼らにとって「PCを購入する」ということは、日本人にとっては「車を購入する」に匹敵する買い物になる。PCは簡単に買えることができない、人生における一大ショッピングであるのだ。

 もともと、中国人はPCや家電製品などを買い換えるということが少なく、いわば「ものもち」がすこぶるよろしい。だからこそ、いったん買うと決めたら妥協することなく、いいものを選びたいと考えるため、できるだけ高いものを購入することになる。

 そういう彼らの選択基準は「少し高くてもいいから聞いたことがあるPentiumがいいな」ということになる。さらに中国人には「高いもの買って見せびらかして自分を高く見せよう」ということもない。そんなわけでPCはとてつもなく高い買い物なのだが、しかし、最低価格帯のPCが売れ筋商品になることはあまりないのだ。

日本で主流の「録画PC」「水冷」は“Hot”なのか?

 中国のメーカー製PCは、一部に毛色の変わったモデルがあるものの、そのほとんどは「とことん安いパーツを組み合わせた」「とことん高いパーツを組み合わせ、外見のかっこよさを狙ったPCケースにそれらを放り込んだもの」という極端な構成を取りそろえている。

 どのメーカーも最廉価モデルと最上位モデルの両極端のPCを用意し、さらにその間をスペック的に、もしくは価格的に等間隔で補完するいくつかのモデルでラインアップを構成している。

 ここでいう「高いパーツ」「安いパーツ」というのは、CPUでありメインメモリでありグラフィックスカードでありストレージデバイスである。ハイエンドモデルでは、発売した時点で最もハイスペックなものを惜しみなく組み込んでいる。これは、日本でも直販系PCの最上位モデルと共通であり、その構成はある程度予想がつく。

 では、ローエンドPCはどこまでのローエンドパーツを搭載しているのだろうか。中国製メーカーPCのローエンドモデルを見てみると、グラフィックスはオンボード、HDDやCPUはそのときに入手できるローエンドのパーツを搭載するのは日本のPCと同じ。中国では必ずといっていいほど光学ドライブはDVDドライブで、CD-RWといった記録型のドライブは採用していない。

 中国人にとってPCを購入するキラーコンテンツの1つが爆発的に普及したDVD-VideoやVideo CDだ。PCが給料の数カ月〜数年分であるのに対して、街中でみかける海賊版CDやDVDメディアは彼らの時給程度で購入できる。

 違法コピーされたものでも完全に同じであるこれら光学メディアは生活に切っても切れないものなのだ。実際、中国の電脳街にいったら多くの店で店員が映画鑑賞に興じているのをみるだろう。

 中国ではビジネス向けPCですらDVD-ROMドライブを搭載されているが、一方で記録型のドライブはほとんど搭載されていない。つまりユーザーのニーズが少ないのである。海賊版がこうも安く氾濫しているため、バックアップの必要性がないからではないか、と筆者は予測している。

 日本ではハイエンドからミドルレンジまでメーカー製PCに必須となった録画機能と記録型DVDドライブの組み合わせだが、パーツとしてのキャプチャカードは中国の電脳街にあるパーツ屋にいけば購入できるものの、メーカー製PCでは最上位機種でしか採用されていない。また日本では一部のメーカー製PCで組み込んでいる水冷システムも中国のメーカー製PCで見ることはない。

 メーカー製PCに録画機能が用意されない理由として、同じドラマが数年間当たり前のように再放送される中国で番組を録画する習慣が根付いていないことが挙げられるだろう。

 また、日本では「静音性能」を向上させるために採用される水冷システムであるが、中国では「静音性能」というキーワードがようやくPC関連のメディアで紹介され始めている段階にすぎない。当然、水冷システムが搭載されたメーカー製PCが登場するほど一般的でなく、まだまだこれからといったところなのだ。

 メーカー製PCのスペックをラインアップ順に眺めてみると、ハイスペックモデルからロースペックモデルに移り行く中で、真っ先に削られるのがOSのWindows XPだ。多くのメーカーではWindows XPをDOSにしたモデルが価格を抑えた廉価版として用意されている。

 ちなみに中国にはDVD再生ソフトをプリインストールしたモデルはあれど、オフィスソフトをプリインストールしたモデルはない。さらに余談だが、かつてWindows用DVD再生ソフトとWindows用CDRライティングソフトがバンドルされていて、OSがなぜかDOSというモデルを見たこともある。

 ソフトの次に削られるのがグラフィクスカードだ。なのでミドルレンジPCでもグラフィックスカードを搭載していないケースが多い。ちなみに各価格帯のPCにおいて2大メーカー「ATI」「NVIDIA」どちらが多く搭載されているかというと、「ハイエンドはATI優勢」「ミドルレンジは五分五分」「ローエンドはそもそもオンボードなので勝負にならない」ということになる。

 なお、Lenovoは例外で全面的にNVIDIA製GPUを搭載したグラフィックスカードを採用している。ちなみにMatroxやS3、SISのカードを搭載する粋なメーカーはない。

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