新しいアーキテクチャを実装しながら、PixelShaderユニットが従来のままだったRADEON X1800ファミリーと違って、RADEON X1900ファミリーは「ATIの新世代GPU」の完成型、と見ていいだろう。ようやく待望のGPUが姿登場した、といってもいい。
しかし、ベンチマークの結果は「意外」である。3DMark05でこそ、RADEON X1900 XTXの結果は圧倒的である。高解像度でも重負荷条件でもすべてGeForce 7800 GTX 512を上回る性能を示している。もともと優勢だったVertexShaderテストはもちろん、いままでどうしてもNVIDIA製GPUを超えることができなかったPixcel ShaderのテストでもRADEON X1900 XTXはGeForce 7800 GTX 512を上回った。
3DMark05の結果だけを見るならば「さすが、48個のPixel Shaderユニットは偉大だ」ということになる。
ところが、そのほかのベンチマークを見ると、RADEON X1900 XTXの結果はどうにもふるわない。3DMark03は従来モデルのRADEON X1800XTを上回るものの、GeForce 7800 GTX 512には届かず、Aquamark3、DOOM 3、FarCryではRADEON X1800XTにも及ばない。
こういう場合、ドライバのチューニング不足というのがまず考えられる。ATIの場合、ドライバのチューニングが完成するにしたがってパフォーマンスが「劇的に」改善されることがあるので、今回の結果がすべて、と結論づけるのは早計かもしれない。
また、3DMark03のGT1とGT4を比べると比較的「軽い」GT1の結果がふるわず、比較的「新しいファンクションを使っている」GT4でRADEON X1800XTを上回っている(それでもGeForce 7800 GTX 512にはかなわない)傾向を見ると、評価に使ったドライバは「古くて軽い処理」を苦手としている状況にあるのかもしれない。
ATIでは、発表と同時に製品が店頭に出荷されるだろう、と説明している。グラフィックスカードベンターに聞いてみても「CrossFireは遅れるかもしれないが、RADEON X1900 XTXはすぐに投入できるだろう」という意見が多かったので、RADEON X1800XTのときのように延々と待たされることはないようだ。
スペック的にはGeForce 7800 GTXを上回り、アーキテクチャの世代も新しい。素質は十分のRADEON X1900ファミリーであるが、そのパフォーマンスは、少なくとも今回の評価作業では「ドライバのチューニング次第」という条件を挙げておきたい。3DMark05で示した優位性がほかの市販ゲームでも発揮されるなら、その性能はパフォーマンスを重視するベビーゲーマーに受け入れてもらえるだろう。
ATIの資料では北米で予想されるRADEON X1900 XTX搭載倉フックスカードの実売価格は「649ドル」(ほかにRADEON X1900 CrossFire Editionが599ドル、RADEON X1900 XTが549ドル)と、高い買い物になりそうだ。ドライバの完成度とNVIDIAの「次期主力GPU」が発揮する性能を見極めてから購入を考えるのも、賢明かもしれない。
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