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» 2006年02月20日 00時00分 公開

一太郎でマスターする、人を納得させる文書作成のテクニック (1/6)

この物語は、中堅商社に勤める若手ビジネスマンの奮闘を描いたイメージストーリーである。面白く読んでいただけるようコメディタッチに仕上げたが、盛り込まれている内容は実際の会社でも目にするものばかりだ。読み手を納得させる文書作成のテクニックをイメージストーリーに沿って見ていこう。

[粕川満,ITmedia]
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ケンタロウ、人生で初めて挫折す

 たらいうどん定食という、ややヘビーな昼食に満足して会社に戻ってみると、机の上に書類が置いてあった。取り上げると、

「やりなおし! リポートの意味をよく考えて!」

 と書かれた付箋が貼られていた。この部署で唯一丸文字を使う特徴的な文で書かれたコメントは課長のものである。先日提出したこのリポート、自分としては入社して初めての海外出張だったので、かなりがんばって作り、密かに自信も持っていたのだが、何かがいけなかったらしい……。

 「やりなおし」と言われてもどうしてよいのかわからず、途方に暮れていると先輩が通りかかった。先日の中国出張へ一緒に行った……というよりも、僕が先輩のお供で付いていったというほうが正しいのだが、とにかく一緒に行った仲である。面倒見のよいこの先輩に助けを求めることにした。

「せ、せんぱい」

「なんだよ、情けない声をして」

 黙って、リポートを見せる。

「お、さっそく丸文字の洗礼を受けたか」

 課長は「丸文字」というあだ名らしい。ふむふむとか、ときどき「くすっ」と笑いながら読み終えた先輩が口を開く。

「こりゃ読み物としては面白いけど、たしかに報告にはなってないよね」

「そ、それはいったいどの辺が?」

「詳しく知りたければあとで教えてあげるよ。いまからちょっと打ち合わせなんで、えーと2時間後にオレの席へ来て」

 そういいながら先輩は足早に去っていった。

リポートに必須なのはデータの裏付け

 ケンタロウの会社は中堅どころの商社で、彼の部署は「権利ビジネス」、くだけていえばキャラクターグッズなどの権利をライセンスするビジネスを行っている。今回の出張はあるキャラクター商品の契約を行うためだったが、そのついでに中国の携帯電話用のストラップ市場がどうなっているかを現地で聞き取り調査してくる、これが今回ケンタロウに期待された役どころだった。

「ケンタロウ君の報告書はなかなか読ませる内容だったよ」

 2時間後に先輩の所に行くと、開口一番褒めてくれた。ケンタロウもまんざらではない口調で応える。

「そうですよね。これでもボク、書評の懸賞コンクールで入賞したこともあるんですよ」

「でもこれは報告書であって、評論じゃないんだ。ビジネス文書を書く上でもっとも重要なポイントってなんだかわかるかい? 言いたいこと、伝えたい内容を読み手に的確に伝えられる文書にするっていうことなんだよ。それに必要なのは、客観的な視点と考察、そしてそれを支えるデータだ」

「客観……的な視点?」

「そう、まあこの販売店とユーザーへのインタビューは面白いから使うとしても、これだけじゃダメだ。もっと論理的に段階を踏んでいかなくちゃ。そして最大の山場でこの文章を使うと効果的だろ?」

 そういいながら、手書きでさらさらとリポートに書き足す。

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