顧客満足度第1位の背景──ユーザー損失を最小限に抑えるため「1日修理」を実施インサイドリポート(2/2 ページ)

» 2006年03月06日 10時30分 公開
[平澤寿康,ITmedia]
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「このサービスを始めようと思ったきっかけは、修理センターへの電話での問い合わせのうち半数近くが修理の納期に関するものだったからです」

 そう語るのは小松氏。「ならば、納期の問い合わせをする前に修理を終わらせて顧客に返却してしまえば、電話がかかってこなくなるのではないか」(小松氏)と考えたのが、そもそものきっかけだったという。

 そこでまず取り組んだのが、納期をインターネットで確認できるようにすること。個々の製品に割り当てられている製造番号を同社サイトの修理状況照会ページに入力することによって、修理に出している製品がどういう状況にあるのか、即座に確認できるようにしたのだ。

 これによって修理センターへの問い合わせ件数は大幅に減ったが、修理に出している間はパソコンが使えない、という事実には変わりがない。やはり、修理にかかる時間を短くし、いち早く返却することこそが、顧客からの信頼度を高めるために不可欠な要素であるという考えから、修理体制を根本的に見直すことになったそうだ。

 まず最初に行ったのが、運送に関する部分だという。運送会社に協力してもらい、修理センターへの配送時間を以前よりも前倒ししてもらうことと、最終の集荷時間をさらに後ろ倒ししてもらうことによって、修理作業にかけられる時間を増やした。また、製品ごとに専任の修理担当者を割り当てたり、修理担当者の習熟度に合わせて担当する作業を振り分けることによって、作業の効率化を高めている。さらに修理担当者には、その日に届いた故障製品はその日のうちに修理を終えるという心構えで作業にあたるよう指導しているそうだ。

 つまり、作業可能時間の延長と作業効率を高める人員配置、および修理担当者の意識改革によって、「1日修理」が実現できたというわけだ。現在では80%以上の割合で、故障製品が到着したその日のうちに修理と返送を完了させているという。

 ちなみに「1日修理」の実現には、製品自体の品質やサポートセンターのオペレータのトラブルシューティング力の向上も不可欠である。製品自体の品質が低ければ故障製品が増えてしまうし、オペレータのトラブルシューティング力が乏しければ、適切なアドバイスをすれば顧客側で対処できるような不具合製品が修理センターに送られてきてしまったり、事前の情報収集不足が原因で修理に時間がかかりすぎてしまうこともあるからだ。これらも「1日修理」を実現する上で、重要なポイントと言えるだろう。

「1日修理」サービスは、顧客宅に故障製品を引き取りにいく「ピックアップ修理」が基本。運送会社への引き取り指示と同タイミングで修理センターへ修理指示(および故障情報の提供)が出せるため、迅速な対応が可能となる

パソコンのエキスパートが修理を担当

 エプソンダイレクトのデスクトップPC系の修理センターは長野県安曇野市(ノートPC系は東京都日野市)に開設されていて、ハードからソフトまで、パソコンに関する幅広い知識を持ち合わせたエキスパートが修理を担当している。

 実際に修理を行っている現場を見せてもらったが、どの製品も粛々と修理が行われており、非常に手際よく作業が進められているのが印象的であった。製品が完全に分解され、マザーボードむき出しの状態で動作チェックが行われている光景も壮観だ。手際よく修理作業が行えるのは、サポートセンターのオペレータが顧客から聞き出した故障情報をもとに、ある程度トラブルの原因を特定できているということもあるのだろう。

サポートセンターから提供された情報を参考に、的確に故障原因を診断していく
マザーボードむき出しの状態で動作チェックを行うこともしばしば。分解から修理、再組み立てまでが実に手際よく進んでいく

 とはいえ手際の良さは、各スタッフの能力といった部分も大きな要素となっているはず。優秀なスタッフが揃っているからこそ、「1日修理」というある意味リスキーな公約を掲げ、実行できているのだろう。

 ちなみに、修理用に保管されているパーツは、当然の如く多岐に渡っている。現在の製品に使用されているものはもちろんだが、すでに製造中止となっているパーツもある程度きちんと保管しているそうだ。例えばCPUでは、Pentiumぐらいまでは保管しているそうである。パーツの在庫を抱えることはコスト増につながるため、改善の余地があるという発言もあったが、旧機種のパーツもある程度まできちんと保管されているのは、ユーザーにとっては心強いだろう。

サービス強化でより高い顧客満足度を

 エプソンダイレクトの顧客には、パソコンに関する知識が豊富な、いわゆる上級ユーザーも多い。上級ユーザーであれば、自力でトラブルの原因を特定し、問題を解決できる人も少なくないだろう。そうしたユーザーの場合、トラブルの原因が特定のパーツにあることが分かっているのにも関わらず、パソコンを丸ごと修理に出さなくてはならないことに不満を感じるケースもあるだろう。

 そういったユーザーに対しては、部品のみを送付するといった対応も取ってきたという。このような対応はオフィシャルなものではないが、希望するユーザーに対しては、自己責任を条件に部品のみの送付も行ってきたという。

 部品送付による修理サポートでは、ユーザー自身による部品取り付け時にトラブルが発生してしまうと対処できないという問題もある。しかし、パソコンが使えない期間を最短にしたいというユーザーや、個人情報が詰まったハードディスクが載ったままの状態で修理に出すことに抵抗を感じる人も少なくない。そういった声に応えるため、今後も要望があれば、自己責任を条件に、部品送付による修理サポートも行っていくそうだ。

 もちろん、これらはほんの一例でしかない。直販メーカーであるエプソンダイレクトが顧客満足度を高め、維持していくためには、より良い製品を、適切なタイミングで、より廉価に提供することはもちろんだが、アフターサービス、ユーザーサポートを常に強化し続けていくことを抜きにしてはあり得ない。第1位、第2位を獲得したアフターサービス、ユーザーサポートのランキングを今後も維持、あるいはランクアップしていけるのか、同社の動きを注目していきたい。

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