ハイビジョン地デジに対応する“家電メーカーならでは”の分離型デスクトップ──「Prius Air AR75P」:2006年春の地デジ対応モデル連続レビュー(2/4 ページ)

» 2006年03月07日 11時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

巧妙な仕組みでハイビジョン再生とディスプレイ分離構成を実現

 では、気になる地上デジタルチューナーを含めた映像関連の機能を見ていこう。

 地上デジタル放送対応PCはすでに各メーカーから登場しているが、ハイビジョン再生が可能な製品はディスプレイ一体型モデルが大半である。

 著作権保護されたハイビジョンコンテンツ、つまり現在のデジタル放送をTS録画した番組などを外部ディスプレイで再生する場合には、ARIB(注:Association of Radio Industries and Businesses 社団法人電波産業会)のガイドラインにより、アナログRGBでは最大52万画素、解像度に直すとおおむねSD解像度となる800×600ピクセル(4:3)、960×540ピクセル(16:9)に制限される。また、外部出力する場合には、HDMIかDVI-D+HDCPで暗号化伝送が求められる。このためPCでハイビジョン再生を実現するには内部で信号伝送が完結するディスプレイ一体型がコスト面で有利で、主流になっている。ちなみにDVI-D+HDCPを選択しているのは、現状ではソニー「VAIO」シリーズ(VAIO type Rなど)くらいだ。

 さて、そのような状況の中にあって本機は、独特のアプローチでディスプレイ分離型でありながら著作権保護されたハイビジョンコンテンツのハイビジョン再生を実現している。

photo 地上デジタル放送をTS録画してフルスクリーン再生した場合のCPU使用率。再生(デコード)はハードウェア処理(同社製メディアプロセッサ「BroadGear」)のため、CPU使用率は極めて低い

 付属ディスプレイはそのデザインを見る限り、同社液晶TV「Wooo」がベースであると思われ、アナログVGA入力とD端子入力の両方を本体と接続する。通常はアナログVGA接続で画面表示を行うが、ハイビジョンコンテンツのフルスクリーン表示・再生時はD端子に出力され、ディスプレイ側表示が自動的にD端子入力に切り替わる仕組みとなっている。

 D端子接続は当面の間、著作権保護されたハイビジョンコンテンツの再生で制限が課される予定はない。この仕組みを実現するために本体とディスプレイとはディスプレイケーブル2本のほかに、専用コントロール/リモコン信号伝達のためのUSBケーブルも接続し、情報をやりとりしている。ただしすべての制御は自動で行われるため、ユーザーはこの仕組みをとにく気に留める必要はない。

 もちろんHDMIかDVI-D+HDCPという選択肢もあったはずだが、他社のディスプレイ一体型モデル競合性品と競争力のある価格を実現するには、本製品のアプローチも現実的であるとは思える。同社にはすでに画質面では定評のある家庭用液晶TV「Wooo」シリーズが存在するので、これをベースにすれば開発コストを抑えられることにもなるだろう。ちなみに下位モデル「AR37P」でも同じ仕組みを採用する。

 ディスプレイにはD4出力端子を2基備えており、他方は汎用のAV入力用として利用することもできる。将来的に本体を使用しなくなってもD端子+アナログVGA入力に対応したハイビジョンディスプレイとして利用できる点も、将来性という点で1つのメリットに上げられるだろう。ディスプレイはサイズ的にもデザイン的にもTVチューナーレスのハイビジョンディスプレイとして必要十分といえる。PC本体とディスプレイ(この場合は家庭用TV/ディスプレイ)の耐用年数は一般的には違うため、ディスプレイ一体型とはまた違った視点でPCを導入でき、たとえば外部チューナーを用いるデジタルCATVユーザーなどにはとくに適している。

photo 付属ディスプレイは、D4/RCA音声入力端子を2系統搭載するほか、専用コントロール/リモコン信号伝達のためのUSB端子、アナログVGA入力端子、LINE-IN端子を備える

 さて、家庭用液晶TVがベースということで気になるのがPCディスプレイとしての画質である。26インチハイビジョン対応ディスプレイとしては標準的な1366×768ピクセルの解像度を持ち、輝度が高い家庭用液晶TVにPCを接続した場合によく感じるような、発色のぎらつきなどもほとんどない。

 パネル表面もノングレア処理されているため照明の映りこみも気にならず、もちろんTVとして視聴する場合の画質も不満はほぼ感じない。筆者の所持する家庭用液晶TVである、ビクター「LT-26LC60」と並べて地上デジタル放送の視聴をしてみても、見劣りないどころか、上下/左右170度という視野角の広さはさすがS-IPSパネルといった印象である。

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