2万5000円で買える高速モノクロレーザープリンタ――ブラザー工業「HL-5240」(2/2 ページ)

» 2006年04月06日 09時57分 公開
[小川夏樹,ITmedia]
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シンプルだが必要十分な設定を持つドライバ

 添付のCD-ROMをPCにセットするとFlashで作成されたツールが起動する。ここからプリンタのセットアップやドライバのインストールをはじめ、Linuxドライバのダウンロードページへのアクセス、ユーザーズガイドなどが利用できる。パラレルポートを搭載するため、Windows 95やWindows NT4.0でも利用可能な点は古いPCの多い企業にとってはうれしい配慮といえる。

 プリンタドライバの使い勝手は、設定画面が若干分かりにくい点もあるが、機能的に大きな不満はない。先述の通り自動両面印刷ユニットは用意されていないが、ドライバで手動両面印刷と小冊子印刷機能を組み合わせて小冊子を作成したり、ウォーターマーク機能で「社外秘」などを印刷したり、拡大縮小印刷を行うなど、機能的には十分な設定が可能だ。できれば用紙の自動選択機能も欲しいところだが価格を考えれば望み過ぎだろう。なお、トナーの濃度調整に関しては解像度が600dpi以下の設定時のみ有効で、HQ1200モード以上の設定になると調節が行えない点には注意したい。

添付CD-ROMをセットするとFlashで作成された導入用ツールが起動する(左)。基本設定画面の用紙サイズ項目で指定した用紙がデフォルトになる。給紙方法の設定を変更することで多目的トレイとの組み合わせが可能だ(右)
給紙トレイと多目的トレイに別サイズの用紙をセットしておき、印刷時に自動選択させるには、プリンタのプロパティにあるオプション項目でトレイ1とMPトレイに用紙を定義する必要がある(左)。各種詳細な設定は拡張機能タブから行える(右)。標準解像度は600dpiになっている
トナーの濃度調が可能なのは600dpi以下に設定したときのみ。HQ1200以上のモードでは自動調整になる(左)。印刷設定の「手動設定」をクリックするとグラフィックス関連(ハーフトーンやディザリング)の設定が可能だ(右)
利用頻度は少ないと思われるが手動両面印刷や小冊子設定も可能(左)。企業向けらしくウォーターマークの設定も行える(右)
拡大/縮小や反転(左右/上下)もできるのでA3縮小や表の1ページ縮小印刷などに便利だ(左)。サポートタブにあるのは設定状況の確認とサポートページへのリンクボタンだけでここでは何も設定できない(右)

カタログスペック通りの高速性

ベンチマーク結果
電源オンから印刷可能になるまで 19秒
A4/モノクロのファーストプリント 10秒1
JEITA J1(A4/モノクロ5部印刷) 19秒
JEITA J1(A4/モノクロ24部印刷) 60秒4
使用したマシン構成:CPU:Athlon64 3200+(2GHz)、メモリ:512Mバイト、HDD:Seagate Barracuda 7200.7(ST3160021A、160GB)、OS:Windows XP Professional SP2

 HL-5240はカタログスペックで「ファーストプリント10秒」「24ppm」を謳っている。そこで実際の性能を確認するために計測を行った。ただし、24ppmの高速出力が可能となる最大解像度は2400dpi×600dpiの(HQ1200)モードまでで、True1200dpi×1200dpiの設定ではその半分の12ppmとなってしまうため計測はHQ1200で行っている。計測したのは「電源オンから印刷可能になるまで」「A4/モノクロのファーストプリント」「JEITA J1(A4/モノクロ5部印刷)」「JEITA J1(A4/モノクロ24部印刷)」にかかった時間である(表)。計測は手動で、Wordの印刷画面で「OK」をクリックした時点で計測を開始。最後の用紙が排出された段階までを5回計測している。

 結果を見れば分かるようにカタログスペックは伊達ではない。実際の値でもファーストプリントはほぼ10秒、24ページの印刷も約1分となっており、これならストレスを感じることは少ないだろう。

つぶれのないキレイな文字出力はレーザープリンタならでは

 レーザープリンタのメリットはくっきりとした文字出力と小さな文字でもつぶれない点である。画像印刷ではハーフトーンによるディザリングのために当然インクジェットプリンタには遅れを取るし、今やインクジェットでも顔料インクでにじみが少ないモノクロ出力が可能になるなど改良が進んで来ている。とはいえ文字出力においてレーザープリンタのクオリティにはまだおよばないのも事実だ。

A4テキストを2400dpi相当×600dpi(HQ1200)で出力し、600dpiでスキャンした一部分

 このHL-5240はポイント数の低い文字や細いフォントの印字でも十分なクオリティを持っている。利用頻度の高い8ポイント以上の印字であれば不満に思うことはないはずだ。もちろん細かく見ていけば、4ポイント以下になると文字がかすれることがあったり、トナーをセットした初期状態でのブラックの発色が淡い(これはある程度印刷を繰り返すことで落ち着いてくる)など気になる点はある。また、写真印刷に関してはディザリング処理が明らかに分かってしまうレベルだ。しかし、価格を考えると前者は納得できる範囲内だし、後者に関してはモノクロレーザーの本来の使用方法ではない。

 ファーストプリント10秒、24ppmの高速性、標準で300枚の給紙やトータルで3円/枚といったランニングコストは導入を検討するのに十分な説得力がある。そして何より安い。実売2万5000円前後であれば小規模オフィスだけでなく、個人ユースにも十分に魅力的な製品と言える。写真印刷には今まで通りインクジェットプリンタを使い、頻繁に使うテキスト印刷やWebページの印刷には、インクの高価なインクジェットではなく、HL-5240を利用する、といったように使い分けて見るのはどうだろうか。

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