第5回 Windows Vistaのアップグレードポリシーを考える元麻布春男のWatchTower「Windows Vista編」(2/2 ページ)

» 2006年07月21日 06時00分 公開
[元麻布春男,ITmedia]
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クリーンインストールが求められるケースが多いVista

Windows Vistaのアップグレードポリシー
所持OSの種類 Home Basic Home Premium Business Ultimate
Windows XP Professional × ×
Windows XP Home
Windows XP Media Center × ×
Windows XP Tablet PC × ×
Windows XP Professional x64 × × × ×
Windows 2000 × × × ×
○アップグレードインストール可、×要クリーンインストール(アップグレードインストール不可)

 ここまでは理解していたのだが、7月19日に公開された情報、「Upgrade Planning for Windows Vista」によると、Windows Vistaでアップグレードインストール可能な組み合わせは、さらに限られていることが分かる。

 まず基本的にアップグレードインストールが可能なのは、上位のエディションに対してのみだ。たとえばWindows XP ProfessionalからWindows Vista Home BasicにOSをアップデートしつつ、製品のグレードは落とす、といったことはできない(アップグレードインストールとして。クリーンインストールならもちろん可能なはず)。同様に、Tablet PCやMedia Centerといった、付加機能をサポートしたOSのシステムに対して、それを持たないVista Home Basicにアップグレードインストールすることもできない。このあたりは当然というところだ。

 気になるのは、現在Windows XP Professional x64 Editionを利用しているシステムだ。これらのシステムに対しては、いかなるエディションに対しても(最上位のUltimateに対しても)、アップグレードインストールができない。つまり、x64版のWindows XPを利用しているユーザーは、Windows Vistaについてはすべてクリーンインストールが必要となる。同様にWindows 2000のユーザーも、Windows Vistaについてはすべてクリーンインストールが必須だ。確かに現時点でのx64版は、パッケージのリリースもなくDSP版(OEM版)のみという特殊な状況ではある。しかし、この扱いでは今のx64版はプレリリースのようなものだという気がしてくる。

 もう一つ言い添えておくと、x64版とWindows 2000のユーザーは、クリーンインストールしなければならないとは言え、Windows Vistaのアップグレードパッケージを購入することができる。が、この表にないWindows、Windows NT 4.0やWindows Me、あるいはそれより古いWindowsのユーザーは、アップグレードパッケージを購入する資格はなく、正規版の購入が求められる。

 こうしたある種の「断絶」が生じてしまう1つの理由は、Windows XPのリリースからWindows Vistaのリリースまで時間がかかりすぎた、ということだと思われる。Windows XPがリリースされたのは2001年10月のこと。すでに5年近い月日が経過している。現在のPCと、Windows 2000をプリインストールした6年前のPCとのギャップは大きい。だが、これはx64版のXPから、x64版のVista BusinessあるいはVista Ultimateへアップグレードインストールできない理由にはならない。なぜx64版についてはアップグレードインストールができないのか、Microsoftはもう少し事情を説明する必要があるのではないだろうか。

元麻布春男氏のプロフィール

フリーライター。IBM PC/AT互換機以前からPCの世界に入り、さまざまなメディアでPCに関する評論やレビュー、コラムなどを執筆。とくに技術面での造詣が深く、独特の切り口による分析記事は人気が高い。


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