Boot Camp 1.1βはどこまで鍛えられたのかアップルの新兵訓練所を訪問(2/3 ページ)

» 2006年09月14日 08時00分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]

消えてしまったBluetooth

 と、無事に行けばいいのだが、わたしの環境では旧バージョンでは認識されていたiMacの内蔵Bluetoothが認識されなくなってしまった。デバイスマネージャの一覧を見てもBluetoothデバイスがなくなっている。Webなどを見ると、同様の症状が発生した人が少なからずいるらしい。

 しかたないので、手動でドライバをインストールした。手順は次の通りだ(普段、Mac OS Xを使っている人のために少し詳しく書く)。

1.スタートメニューにあるマイコンピュータ(またはデスクトップにあるマイコンピュータ)アイコンを右クリックして「プロパティ」を選択。

2.「ハードウェア」タブの「デバイス マネージャ」をクリック。下の画面のようにデバイスの一覧が開く。

3.「ヒューマン インターフェイス デバイス」の下に黄色い警告アイコンの出ている「USBヒューマン インターフェイス デバイス」が2つあるけれど、1つがBluetoothだ。もう一方はApple Remoteの赤外線レシーバである。

4.2つの黄色い警告アイコンをそれぞれダブルクリックすると「プロパティ」の画面が開く。このうち「場所」に「IR Receiver」と書かれてないほうがBluetoothだ。「ドライバ」タブを開き「ドライバの更新」をクリックしよう。

5.「ハードウェアの更新ウィザード」が開く。まず、「いいえ、今回は接続しません」を選択して「次へ」。

6.「ソフトウェアを自動的にインストールする」を選択し「次へ」。

7.これで、HDDの中にあるドライバ(ドライバファイルそのものはInstall Macintosh Drivers for Windows XP.exeによってコピーされているはず)を探し出してインストールしてくれる。再起動後、デバイスマネージャの一覧にBluetoothが表示されていればOKだ。

 試しにBluetoothのしっぽなしMighty Mouseを認識させてみたけれど、左右方向のスクロールは行えないもののちゃんと使えている。

筆者の環境では、Boot Camp 1.1βで作成したドライバCDを使うとBluetoothのドライバが正常に導入されなかった(画面=左)。右の画面がBluetoothデバイスだ。こちらにドライバを手動でインストールした
手動でドライバを導入したところ、無事にBluetoothとして認識され利用できるようになった(画面=左)。手持ちのWireless Mighty Mouse(Bluetooth接続)を接続してみたところ、問題なく使えた(画面=右)

Boot Camp 1.1βの改良点と新機能

 Boot Camp 1.1βのWindows XP環境では次の点が改良されたり、新たに追加されたりしている。

・iSight カメラが使えるようになった

 新たにドライバが追加されて、Windowsからでも使えるようになった。マイコンピュータに「Apple Built-in iSight」がちゃんと存在して、それを開くと下の画面のように撮影ができるのだ。

従来のBoot Campでは利用できなかったiSightが1.1βからWindows用ドライバが提供された(画面=左)。特定のアプリケーションを使わなくても気軽にカメラを楽しめる(画面=右)

・無線LANが使えるようになった

 旧バージョンは、日本や韓国ではIntel iMac以外のモデルではWindows XPで無線LANが使えないという問題が発生していたが、これが解決された。わたしが使っている環境はIntel Macなので前からOKだったのだけれど、編集部のMacBook(黒)で確認してもらったところ、1.1βから問題なく使えるようになったとのこと。

・時刻の同期が行えるようになった

 Mac OS Xはコンピュータの内部時計を協定世界時(UTC)に合わせるが、Windows XPはローカル時(日本の場合は日本標準時)に合わせる。このため、Boot CampでOSを切り替えると時計が(日本では9時間)ずれているという問題が発生していた。

 Boot Camp 1.1βでは、Windows XP起動時にAppleTimeというソフトウェアを走らせ、NTPサーバから時刻を合わせるようになった(*2)。Windowsユーザーには有名な「桜時計」とやっていることは一緒だ。だから、起動時にインターネットにつながっていない場合は、時刻を合わせることができない。なお、Mac OS Xは起動時に自分でNTPサーバをチェックするので、Mac OS Xに戻したときも問題はない。

・Apple Keyboard Supportの提供

 アップルのリリースによれば、Apple純正キーボードで「Ctrl+Alt+Del、Print Screen、およびWindows XP で動作するその他の重要なキーコマンドを利用できます。」とのことなのだけど、実験した環境ではこれがうまく動いていない。

 わたしは、英語キーボードを使っているので、Intel Macにもそれをつないでいるのだけれど、Print Screenは相変わらず使えない。また、Ctrl+Alt+Delは以前から使えていた。Apple Keyboard Supportはタスクトレイで「有効/無効」を切り替えられるのだけれど、これを無効にしても状況は変わらなかった。

 ちなみに、日本語キーボードにおける問題は「Apple Keyboard Support」ではまったく改善されない。トリニティーワークスのAppleK Proといったソフトが必要となる。なお、AppleK ProとApple Keyboard Supportとは原理上コンフリクトを起こすが、AppleK Proの最新バージョンはこの対策がなされているそうだ。

iMacでは以前からWindows環境でも内蔵の無線LANが使えていたが、今回からMacBookなどでも利用可能になった(写真=左)。Macintosh ドライバを導入するとApple Keyboard Supportがシステムに常駐する。タスクトレイから機能をオン/オフできる(画面=中央)。システム構成ユーティリティ(msconfig.exe)でスタートアップ項目を見ると、AppleTimeの名前が見える。なお、少し上にあるKbdMgrはApple Keyboard Supportだ(画面=右)

・右コマンドキー+クリックで右クリックをサポート

 右コマンドキーを押しながらマウスボタンを押すと、「右クリック」とみなされるようになった(左コマンドキーはWindowsキーだ)。デスクトップマシンの場合、Mighty Mouseで右クリックができるから、この恩恵を受けるのはMacBookやMacBook Proユーザーだ。ところが、MacBookなどの日本語キーボードには右コマンドキーがないのだ。何とも中途半端な状態である。このあたりもまだβ版なのだ。

 このほかにも、ヘッドフォンや外部スピーカを接続しても内蔵スピーカから音が出てしまう問題が解決されていたり、MacBookで内蔵マイクが使えるようになったりと細かい部分で改善は進んでいる。むろん、Boot Campはいまだにβ版ではあるのだが、着実にホフク前進しているのが分かった。いくつか不満があるのは事実だが、次期Mac OSのLeopardでBoot Campの正式版が提供されるまでには、それらが解決されていることを期待したい。

 と、ここで終わってしまってはつまらないので、試しにベンチマークテストを行った。

*2NTSサーバには「time.apple.com」を使用しているようだ。

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