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インタビュー
» 2006年11月15日 09時45分 公開

“現在持てる全ての技術をつぎ込んだ”――ソニー「VAIO type G」開発者は語る898グラムに秘めた思い(4/4 ページ)

[前橋豪,ITmedia]
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FeliCaポートやキーボードにもこだわり

1スピンドルモデルは光学ドライブを搭載しない代わりに、4ピンのIEEE1394端子を搭載している

――今回、1スピンドルと2スピンドルの2モデルがあり、1スピンドルのモデルだけにIEEE1394が搭載されていますが、2スピンドルのモデルにはなぜ搭載していないのですか?

花里氏:基本的にビジネスモバイルユースということもあり、IEEE1394の実用性はあまり高くないと考えています。ただし、1スピンドルモデルの場合、リカバリ作業などで外付けの光学ドライブを接続する必要があるため、IEEE1394を搭載しています。

林氏:現在、ソニーが発売している光学ドライブ、つまり動作保証対象となる製品がIEEE1394接続になるので、1スピンドルモデルにはIEEE1394が必要になるのです。

――企業ユースを考えて、セキュリティチップ、指紋センサーを搭載していますが、FeliCaポートまで入れた理由は?

花里氏:コンシューマより、むしろビジネスでFeliCaに対するニーズが高まっていると考えています。実際、FeliCaによる認証を利用している企業が増えていますので、これは絶対に載せようと思いました。VAIO type Gには「かざそうFeliCa」というアプリケーションが入っていますが、これはプリインストールではなく、インストーラで提供しています。企業で一括してFeliCa対応ソフトウェアを導入される場合、それと競合しないように、こうした仕様にしました。

林氏:セキュリティ機能としては、DVDやUSBメモリなど、外部へのデータ書き込みを禁止するユーティリティーが入っているのも特徴ですね。今回、オリジナルのソフトを開発しました。

キーボードの左上に指紋センサーと無線LAN機能のスイッチを搭載する(写真=左)。FeliCaポートはタッチパッドの右に用意されている(写真=中央)。カードスロットやUSB 2.0ポートに対するアクセス制限を設けることもできる(写真=右)

――キーボードのデザインが一新され、VAIO type TやVAIO type Sよりスタンダードな形になりましたね。変更の理由は何でしょうか?

林氏:いままでのキーボードでも使い勝手が悪いとは思っていないのですが、今回はビジネスユーザーに正面から向き合うということで、このような「真面目」な形にしてみました。新規で開発したラバーにより、ペチペチした音が鳴らず、静音性の高いキーボードにも仕上がっています。

――CTOで選べるキーボードとして、英字キーボードのほか、日本語カナなしキーボードを追加した理由を教えてください。

林氏:やはりデザインですね。現在はカナ入力のユーザーがほとんどいないので、カナの刻印が不要というお客様もいらっしゃいます。そこで、カナなしの日本語キーボードを提供してみました。実は従来から英字キーボードを選択されるお客様は、英字配列が必要というより見た目のカッコよさで選んでいただく場合も多かったので、それならば日本語配列でカナがないキーボードも受けるかもしれないと思ったわけです。また、キートップの摩耗に対して文字が消えないように、レーザー照射で樹脂の内部まで色が浸透するレーザー刻印を採用しているのもポイントです。黒いキートップにレーザー刻印で白い文字を入れるのは技術的に難しいのですが、たとえ摩耗して文字が多少見にくくなっても、完全に消えることはないため、VAIOのノートPCとしては初めてレーザー刻印を採用しました。

左の写真は、通常の日本語キーボード。右の写真は、上が英語キーボード、下がカナなし日本語キーボードだ。カナなし日本語キーボードは、ひらがなの刻印がないだけで、配列は通常の日本語キーボードと変わらない

――最後にユーザーにアピールしたい点をどうぞ。

林氏:いま持てるVAIOの技術のすべてをつぎ込んで作った本当に「渾身の作」です。ぜひ実際に手に取って触って、その軽さや堅牢性を実感していただきたいです。いままでのVAIOで培った技術がエッセンスとして投入されています。

花里氏:とにかくこの商品を基軸にしてお客様との接点を広げていきたいです。長く使っていただくことを前提にして作り込んだモデルなので、いままでのVAIOと同様にこだわりがあって、さらに一層ビジネス使用を意識した作り込みの部分を評価していただければ、と思います。

インタビューを終えて――正面からビジネスPC市場に挑むVAIO

 話を伺って印象的だったのは、ソニーがコンシューマ向けのVAIOとは異なるアプローチで、ビジネスモバイル市場に特化したVAIO type Gを開発したという点だ。

 これまでコンシューマ向けのVAIOは、現状のユーザーニーズを反映した製品というよりは、先進的なスペックやAV機能による提案型の製品で潜在的な需要を掘り起こしてきた部分がある。昨今では、VAIO type FでエントリークラスのノートPCにいち早くワイド液晶ディスプレイを導入した例や、VAIO type Sに内蔵グラフィックス機能と外付けグラフィックス機能を切り替えられる機能を設けた例、超小型PCのVAIO type Uにフラッシュメモリ搭載モデルを追加した例などが挙げられるだろう。そもそもVAIOとは、Video Audio Integrated Operationの略語で、エンターテイメント性を重視したPCというコンセプトなのだ。

 しかし、今回のVAIO type Gでは、現状の国内におけるビジネスPCのニーズを徹底調査し、先進的なスペックを盛り込むことより、ユーザーのいまの声に正面から応えることを選んでいる。ここまでVAIOらしい遊び心の部分を廃して、業務用途をストイックに追求したモデルは、VAIO type Gが初めてだろう。その結果として、クラス世界最軽量、長時間のバッテリー駆動、耐120kgfの堅牢性、フラットな薄型ボディを実現しているのだから、“技術のソニー”は、いまだ健在と言えるのではないだろうか。ソニーのビジネスPC市場に対する“本気度”が伝わってきたインタビューだった。

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