当然ながら JUST Suite 2007の中心は一太郎2007だ。今回のバージョンアップでは、Windows Vistaに対応し、1つ前のバージョンとなるWindows XP/2000 Professional(Service Pack 4以上)でも動作する。残念ながら、Windows Me/98には対応していない。
一太郎は毎年バージョンアップを繰り返して機能を強化しており、今回もその延長線上にある。注目は、「フェーズ」機能に「エディタ」と「ビューア」という2つのフェーズが加わったことだ。
まず、このフェーズ機能について簡単に説明しておこう。
一太郎のように豊富な機能を持つワープロは、作業内容に応じてぴったりの機能設定に切り替えるのは、とても大変だ。そこで活躍するのが、この「フェーズ」という機能である。画面下部のタブを切り替えることで、目的に応じた画面構成と操作環境を、簡単に実現できるようになっている。
旧バージョンでは「アウトライン」「基本編集」「提出確認」という3つのフェーズ・タブを持っていた。新バージョンでは、その両側に「エディタ」と「ビューア」という2つのタブが加わり(図1)、全部で5種類のフェーズ・タブから選択できるようになった(このほか以前のバージョンにあった「マルチビュー」というフェーズも残されているが、初期設定でオフになっている)。
では、この新しく追加された2つのフェーズを見ていこう。
図2が「エディタ」フェーズだ。シンプルな画面で、文字通りテキストエディタとして一太郎を利用できる。メールソフトやPDFからコピーしたテキストの改行を取り除く機能や、まとめて入力したテキストから、自動的に見栄えのよい文書を作成する機能が用意されている。
Internet Explorer 6.0以上を使っていれば、Webでのテキストボックスの入力にエディタフェーズの一太郎を利用することも可能だ(図3)。また、オプション設定で、一太郎起動時や新規作成時のフェーズをエディタに指定できるようにもなっている。
もう1つの「ビューア」フェーズというのは、一太郎ドキュメントを「読む/見る」ための操作環境を作り出す機能だ。このフェーズでの一太郎は閲覧専用で、本文の入力や編集の機能が使えない。ひとことで言えば、印刷状態を画面に表示するようになっている――このように書くと、印刷プレビューとどこが違うのだと思うかもしれないが、ちょうどAcrobatでPDFを閲覧しているような状況を想像すればよいだろう。
細かいところでは、部分拡大して確認するための「虫めがねツール」や、「手のひらアイコン」で用紙をドラッグできる(図4)。また、ページ一覧に切り替えて、チェックボックスのオン/オフで印刷ページを指定する「ページ選択印刷」という機能が用意された(図5)。「ファイル」メニューには、このフェーズで文書ファイルを開くための「ファイルビューアフェーズで開く」コマンドが追加されている。一太郎本体をドキュメント・リーダーとして利用するときは、このコマンドを選択すると便利だろう。
そのほかの改善部分からめぼしいところをいくつか取り上げよう。
まず、検索・置換条件の登録と呼出が可能となった。また条件の設定に正規表現が使えるようになっている(図6)。テキスト保存時に、フリガナを括弧に挿入して保存する機能はなかなか役に立つ機能だ。面倒な作業から解放されるので重宝する人も多いだろう(図7)。「Google検索」機能は、一太郎文書内の文字列からワンクリックでGoogle検索をする機能だ。「ブラウザを起動して、文字列をコピー&ペースト……」といった作業が不要となる。図8のようなオプションを選択することも可能だ。Word文書との互換性についても強化されている。半角スペースの字間などがより正確に再現されるようになっているということだ。
ジャストシステムの製品では、いわゆるクリップアートを「部品」と呼んでいるが、新たに「コミュニケーション支援用絵記号」が追加され、トータルで3400個以上が収録されている(図9)。これも価値ある追加と言えるだろう。
次回のレビューでは、表計算の「三四郎2007」や初収録のプレゼンテーションソフト「Agree 2007」、新バージョンの「ATOK 2007」や「花子2007」などのアプリケーションをチェックする。
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