昨年度のデルは、ワールドワイドで見るとほぼ3年ぶりにPC市場のシェアNo.1から転落(第3四半期)し、直近の四半期では純利益が前年同期比33%減と、驚異的な成長に陰りが見えてきたが、こと日本では事情が異なる。
ジム・メリット代表取締役社長によると、2006年は通年で出荷台数が14%増加(ノートPCは25%増)し、市場の成長率を大きく上回る結果を残した。「昨年はシェアを大きく伸ばし、大変よかった」(同氏)。新規に獲得した顧客は個人が約28万人、法人が約17万2000社で、フォーカスした公共事業でも大規模な案件を多数獲得するなど、クライアント製品の伸びが顕著で世界のデルの中でも最高の数値を記録したという。実際、国内のPC出荷台数シェアでは第3位のままだが、右肩上がりの成長をし続けているのは同社だけだ。
コンシューマー分野ではハイエンド向けのXPSシリーズの積極投入、AMD製CPUを搭載したデスクトップPCやノートPC、そしてワンセグチューナーやカラーレーザープリンタ、液晶ディスプレイと新製品を数多くリリースできた。サーバやストレージ分野でも新製品を展開できたが、これらはインフラや人員といった体制強化へ投資を怠らなかったおかげであるとした。中でもコンシューマー向け製品やSOHO、サーバなどを担当する宮崎カスタマーセンターの拡充(現在約450名の人員)をはじめ、営業・サービス体制は積極的に強化を行い、今後も継続していくという。
続いてジム・メリット代表取締役社長は「これまでのデルはハードウェア中心の事業展開をしていたが、今後はサービスや付加価値を提供していく」として、Dell 2.0のコンセプトである「事業の根幹となるデル・ダイレクト・モデルを次の段階に飛躍させ、価格競争力のある製品の販売、顧客の期待を超えるソリューションやサービスの提案を強化し、顧客満足度の最大化を目指す」を踏まえたうえでの日本での事業戦略を公開した。
具体的には、エンタープライズ、サービス、周辺機器/ソフトウェア、コンシューマーの各分野をバランスよく成長させるというもので、成長を続けるために戦略パートナーの拡充だけでなく、企業買収(特にサービスやSMB分野)をも視野に入れていると述べた。
詳細は下の写真の通りだが、国内シェアが第5位にとどまるコンシューマー市場では、「もっと順位を上げる必要があり、ユーザーに対するアプローチをさらに広げていきたい」とし、「今年後半には新しい製品群を投入する予定だ」という。デルにとってコンシューマー市場は大きな成長機会が残されており、今年は昨年投入したハイエンドのXPSシリーズと売れ筋のエントリーモデルとの溝を埋めるべく、PC中級者をターゲットにしたモデルの投入や施策を実施するという。
最後に「我々の目標は顧客に信頼されるソリューションプロバイダーになること、顧客に選ばれる会社になることだ」として、「トータルソリューション・プロバイダーになるべく、ソフトウェアやサービスに注力していく」とまとめた。
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