Mac OS XでWinアプリがサクッと動く? 「CrossOver Mac 6.1」を徹底検証(5/5 ページ)

» 2007年06月08日 12時45分 公開
[瓜生聖,ITmedia]
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ベンチマークは「いかにも互換レイヤーソフト」な結果に

 ベンチマークテストの評価機材には、先日リファインされたばかりのMacBookを利用した。MacBook Proのような最新プラットフォームではないものの、高性能なCore 2 Duoを搭載しながら価格は13万9800円〜となっており、手頃なハイパフォーマンスノートPCを探している人にとっては有力な選択肢の1つだろう。持ち運ぶにはそれなりの覚悟(もしくは信仰心)が必要だが、Macユーザーだけでなく、従来Windowsマシンを使っていたユーザーにとってもMacBookは無視できない存在だ。MacでWinアプリが走るCrossOverを使ってみたいと考える人の中には、WindowsからMacに乗り換えたMacBookユーザーがかなりいるのではないだろうか。

 なお、今回CrossOverを試したのは最上位モデルの「MB061J/A」で、基本スペックはCore 2 Duo T7400 2.16GHz、メモリ 1Gバイト、945GM Expressという構成になっている。また、ベンチマークには(サポートアプリケーションではないが)CrystalMark 2004R2とFINAL FANTASY Official Benchmark 3を使用した。

CrossOver Mac 6.1でFFベンチも問題なく動作した。Mac版ではなくあえてWindows版のWindows Media Playerをインストールし、少しだけ倒錯した気分を味わう

 掲載したグラフは、Boot Campを用いてインストールしたWindows XPでのスコアを100%として、CrossOverのスコアを相対表示している。完全にネイティブ動作するWindowsのパフォーマンスにどこまで迫れるかが一目で分かると思う。

比較グラフ

 結果は良くも悪くも互換レイヤーソフトらしいものとなった。メモリ、CPU演算などのプリミティブな部分ではオーバヘッドの入らない利点がそのまま反映され、ほぼ100%に近いパフォーマンスを出している。

 これに対して、翻訳・変換が必要となるグラフィックスでは40〜50%程度のスコアにとどまった。OpenGLのスコアはネイティブ動作とほぼ遜色のないレベルだが、これはMac OS X自身がOpenGLをサポートしているためだろう。

 前述したように、HDDのベンチマークは参考となる値が取れなかったためにグラフからは除外しているが、実際にはBoot Campと互換、またはそれ以上の速度を実現していると思われる。例えば、286ページのWord文書を読み込んだ場合にCrossOverでは26秒で完了したのに対し、Boot Campでは39秒を要した。CrossOverではファイル自体は普通のHFS+上のファイルとして扱うため、NTFSとHFS+の違いが表れたのだろう。

 また、体感的な感触でも、Microsoft Officeの動作を見る限りでは、パフォーマンスの差はほとんどないと言ってよさそうだ。

結局のところ、安定性が課題か

 いくつかのアプリケーションを試した結果としては、パフォーマンスは評判通り高いものの、まだまだ互換性に難があるという印象を受けた。互換レイヤーソフトという性質上、Windowsという複雑なOSが提供する膨大なAPIをサポートするのは気の遠くなるような作業に違いない。CrossOverのクオリティを上げていくためには、ユーザーが積極的にフィードバックを行い、そしてメーカー側も迅速にそれを反映させられるような体制を構築することが重要だ。

 これはオープンソースの基本的な形でもある。そう考えると、ネットジャパンによって運営されているCrossOver Macユーザーフォーラムに寄せられた報告をWINEプロジェクトに反映し、そしてその成果をいち早くCrossOverのパッチとして顧客に還元する、というサイクルが理想だ。

フォーラムでは製品別に動作状況を報告しあえるようになっている

 フォーラム内のユーザー間の自助努力だけでは問題の解決には結びつきにくく、この製品は動く、動かない、といったナレッジにとどまる可能性が高い。互換性、つまり安定性さえ解決すれば、CrossOverは非常に強力な選択肢となるだけに、ユーザーとともに育てていくことができる製品であってほしい。

 競合製品に目を向けると、安定性では当然Boot Campなのだが、これはMacとWindowsをデュアルブートとして利用するため、Mac OSとWindows間のデータ連携に難がある。WindowsからはMacのパーティションは参照できず、MacからはFAT32であれば可能、NTFSでは別途ツールを利用すれば可能、というやや苦しい状態だ。

 そのため、Windows起動後にそのファイルがMac OSパーティション上にあることに気付いたら、再度Mac OSを起動してWindowsパーティションにコピーしてからWindowsに切り替える、といった少々面倒な作業が必要になる。一方、Parallels Desktop for Macは、プラットフォーム間での連携はしやすいものの、Parallels自体とWindowsの価格を考えるとかなり高額な選択肢だ。

 その点、CrossOverはWindowsライセンスが不要であるうえに、Mac OS上でWindowsアプリケーションが起動し、Mac OSのパーティションはZ:ドライブとして参照できるなど連携も非常にスムーズだ。将来性はまだ未知数だが、現時点では「Mac OSを日常的に利用するが、いくつかの特定Windowsアプリケーションのみ利用したい」というユーザーのニーズに最もマッチしていると言える(もっとも、それがきちんと動けばの話だが)。

 同社のサイトからは機能制限なしで30日間利用できる体験版がダウンロードできるので、まずは目当てのアプリケーションが動作するかどうかを実際に確認してみるといい。動作しさえすれば、競合の中で最も安く、使い勝手に優れ、処理の速いソリューションであることは間違いないのだから。

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