PCのテスト環境 | |
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CPU | Pentium 4 1.6GHz |
メモリ | 1Gバイト |
HDD | 250Gバイト(7200rpm) |
OS | Windows XP Professional(SP2) |
参考までに、印刷速度も計測してみた。印刷した画像は容量約1.8Mバイト/約600万画素のJPEGファイル、印刷メディアはアドバンスフォト用紙のL判だ。計測した時間は、ダイレクト印刷の場合が印刷ボタンを押した瞬間から排紙の瞬間まで、PC接続の場合が給紙の瞬間から排紙の瞬間までとなる。ダイレクト印刷時のメモリカードは標準的なCFを使用、PC接続の場合にPC側の処理時間は含めていない。
結果は下のグラフで示した通り、フチあり、フチなしとも、申し分のないプリントスピードだった。ダイレクト印刷は、いずれも1分少々でL判印刷が行える。しかも、印刷中にもクリエイティブ印刷などの機能が使用できるので、印刷中にボーッと待っている必要はなく、すぐに次の作業に取りかかれる。
この手の製品で野暮だが、印刷品質についても触れておこう。印刷品質は、手軽にフォトプリントを楽しむぶんには問題ないのだが、細かくチェックすると、CMY一体型インクによる3色機ということもあって、ハイライト、シャドーとも粒状が見て取れる。トーンカーブにS字のきつい補正がかかるのは、フォトダイレクト機だからというよりは、HP製プリンタのクセのように思う。
気になるのは、シャドーが沈む傾向にあることだ。人肌などはわずかに影が落ちていると、くすんだようになってしまうことがある。ダイレクト印刷時は印刷設定で明度を上げ、PCからの印刷時は色補正機能のRLT(HP Real Life Technologies)をオフにすることで、多少は暗部の階調が出てくるので必要に応じて試してほしい。
ここでは、印刷サンプル(画像の実寸は縦84.7ミリ、横56.5ミリ)を1200dpiでスキャンし、PNGファイルで保存したものを掲載した。表示するPC環境の違いによって画像の印象は大きく変化することから、掲載した画像はあくまで参考程度に見てほしい。また、スキャン画像は肉眼では分からない細部の描写を確認するためのもので、実際はここまで拡大して見ることはないだろう。全体の縮小画像を大まかな傾向と考えてほしい。
最後に、オプションのバッテリーを使った駆動時間のテストも行ってみた。テスト方法は、前述の印刷速度計測に使用した画像が入ったCFを本体に装着し、アドバンスフォト用紙のL判にバッテリーがなくなるまで連続印刷するというものだ。結果は、1時間31分34秒駆動し、102枚のL判印刷が行えた。印刷する画像や使い方によってバッテリー駆動時間と印刷枚数は変わってくるが、今回のケースでは公称値の75枚を大きく上回っている。
以上、A628について紹介してきた。言うまでもないことだが、本機は写真愛好家向けの製品ではない。むしろ、その家族向けといったところだろう。コンパクトデジタルカメラやカメラ付き携帯電話と組み合わせて手軽に使う小型フォトプリンタとしては、最適ではないだろうか。
個人的な感慨を付け加えると、マウスとキーボードにどっぷりと漬かった身には、フリーハンドの操作性が予想以上に面白く、創作意欲をチクチクと刺激された。かつては写真画質の追求にばかり熱中してきた家庭用プリンタ市場だが、こうした肩肘張らずに素直に楽しめるデバイスが出てきたのは、円熟期に入った証だろう。
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