以前、“Penrynなんてメじゃないぜ”と紹介したデル公認オーバークロックPCがパワーアップした「XPS 720 H2C エディション」(XPS 720 H2C)となって登場した。おっと、“オーバークロックPC”と述べたが、これは、デルのお膝元である米国限定の話で、以前レビューで紹介したXPS 710 H2Cは、日本では定格動作のCore 2 Extreme X6800とCore 2 Extreme QX6700しか選べないことになっていた。当時、このあたりの事情をデルに聞いたところ、最初は「時期は不確定ながら日本でもオーバークロックバージョンの準備を進めている」と答えていたのが、のちに「うーむ」という回答に変わってしまい、業を煮やした記者が、自らBIOSに手を出して米国モデル相当の「3GHz超え設定でPenrynなんかメじゃないぜ」バージョンに仕立てた……。
というあたりまでが「前編」までのお話だった。「自らBIOSに手を出して」というと、なにかすごいことをしたような物言いであるが、XPS 710 H2CのBIOSには、オーバークロック設定を簡便に行えるプリセットモードが3種類用意されていて、ユーザーはその中から選ぶだけ、という話も前編で紹介している。
「で、Penrynがメじゃないというパフォーマンスってどうなったのか」となるのだが、冒頭で述べたように、日本でもようやくオーバークロック設定のXPS 720 H2Cが登場したという、このタイミングまでお待ちいただいたというわけなのだ。パワーアップしたXPS 720 H2Cは“710”と何が変わったのだろうか。その外見は、「あ、あれは XPSだ!」と誰もがすぐに覚えてしまう「漆黒の前のめり」な筐体を継承している。正面に2段になって設置された「LEDイルミネーション」により、フロントパネルも光り輝いている。筐体内部のレイアウトも“710”と同じで、「H2C Edition」で最も重要なパーツといえる、水冷方式の長大なクーラーユニット「H2Cハイブリッド冷却システム」が中央に“どしっ”と鎮座する。
見ためだけでは「“720”になって何が変わったのか?」となるが、BTOで用意されている各パーツのリストを見ればその違いがよく分かる。CPUでは、「Core 2 Extreme X6800」「Core 2 Extreme QX6800」(ともに動作クロック2.93GHz)と「Core 2 Extreme QX6700」(動作クロック2.66GHz)の定格動作に加えて、動作クロックをそれぞれ3.46MHzと3.20GHzに上げられたCore 2 Extreme X6800とCore 2 Extreme QX6700のオーバークロック設定も選択できる。これが“日本版”XPS 720 H2Cの最も大きな変化であり、ようやく、XPSの特徴である「デル公認のオーバークロックによる3GHz超えPC」が国内でも購入できることになった。Core 2 Extreme X6800もCore 2 Extreme QX6700も、オーバークロック版は定格動作から追加コストなしで選択できるのは興味深い。
なお、2007年8月の時点で用意されているCPUはFSB1066MHzに対応したモデルのみで、先日インテルから発表された「FSB 1333MHz」対応版はBTOに含まれていない。ただ、こちらも、XPS 720 H2Cで採用されたマザーボードのチップセット「nForce 680i SLI」がFSB 1333MHzをサポートしているので、XPS 720 H2CでもFSB 1333MHz対応のCPUがBTOで用意されることがありえるかもしれない。
XPS 720 H2Cでは選択できるOSも大きく変わった。XPS 710 H2Cでは、Windows XPファミリーしか選べなかったのにたいして、XPS 720 H2Cでは「Windows Vista」(Home Premium、Business、Ultimateが選択可能)が用意されている。そのほかにも、光学ドライブではBlu-ray Discドライブが選択できるなど、時代に合わせた最高級のグレードで構成できるようになった。もちろん、3Dゲームのパフォーマンスを重視するユーザーのために、GeForce 8800 GTXの2枚差し構成も用意される。
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