待っていたぜ!DDR2対応電撃マザー──ASUS「Blitz Formula(Special Edition)」イマドキのイタモノ(3/3 ページ)

» 2007年09月12日 20時30分 公開
[寺崎基生,ITmedia]
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Blitzが独自にサポートするPC2-8500の効果は

 R.O.G.マザーらしく、Blitz Formula SEには、オーバークロックの設定が多数用意されている。BIOSには、自由度の高いオーバークロック設定メニューの「Extreme Tweaker」があるほか、付属ソフトにも「AI NOS」「AI Overclocking」「AI Booster Utility」などのWindows上から設定できるツールが付属する。動作クロックを上げすぎて起動できなくなったときのために、自動的に安全な設定に変更して起動してくれる「ASUS C.P.R」も導入されているので、ギリギリを狙うチューニング作業でも安心だ。バックパネルに用意されたCMOSクリアスイッチも、こういう作業で重宝するだろう。

 Blitz Formula SEが、Intel P35 Expressの定格より速い1066MHz動作のDDR2-1066MHzメモリに独自で対応していることも注目したい。同じR.O.G.シリーズでIntel P965 Expressチップセットを搭載するCOMMANDOでも、BIOSのExtreme Tweakerの設定で、1066MHzのメモリクロックを設定できたが、評価作業用に準備したDDR2-1066MHz対応メモリをCOMMANDOに装着してメモリクロックを1066MHzに設定したところ、Windowsは起動したものの、各種ベンチマークテストは完走できなかった。一方、Blitz Formula SEでは、同じメモリを1066MHzに設定した状態でシステムは安定して動作してくれた。

 では、Intel P35 Express定格のDDR2-800MHzメモリと独自対応のDDR2-1066MHzメモリで、パフォーマンスにどのくらい差が出るのかを調べてみた。CPUにCore 2 Duo E6700を組み込んだシステムでは、PCMark05のMemoryで、約3%のパフォーマンスアップが確認できたが、そのほかの項目ではほとんど変化が見られない。強いていえば、WMV Video Playbackでメモリと同じ程度のパフォーマンスの改善が見られたぐらいだ。メモリクロックが、800MHzから1066MHzへと33%もアップしていることに比べると、ベンチマーク結果の変化は少ないといえる。念のため、FSBが1333MHzで動作するCore 2 Duo E6750で測定しても、大きな変化は得られなかった。

Core2Duo E6700:DDR2-1066MHz Core2Duo E6700:DDR2-800MHz 性能向上比
PCMark05:PCMarks 6787 6704 101.2
PCMark05:CPU 6836 6839 100.0
PCMark05:Memory 5827 5637 103.4
PCMark05:Graphics 6505 6390 101.8
PCMark05:HDD 4854 4974 97.6

Core2Duo E6700:DDR2-1066MHz Core2Duo E6700:DDR2-800MHz 性能向上比
PCMark05:HDD-XP Startup 8.828 8.901 99.2
PCMark05:Video Encoding 485.147 483.446 100.4
PCMark05:Image Decompression 37.533 37.991 98.8
PCMark05:WMV Video Playback 64.257 62.138 103.4

Core2Duo E6700:DDR2-1066MHz Core2Duo E6700:DDR2-800MHz 性能向上比
3DMark05 10381 10358 100.2
FinalFantasy XI Official Benchmark:Low 8116 8063 100.7
FinalFantasy XI Official Benchmark:High 10294 10198 100.9

Core2Duo E6750:DDR2-1066MHz Core2Duo E6750:DDR2-800MHz 性能向上比
PCMark05:PCMarks 6836 6715 101.8
PCMark05:CPU 6861 6856 100.1
PCMark05:Memory 6107 5924 103.1
PCMark05:Graphics 6510 6475 100.5
PCMark05:HDD 4958 4825 102.8

Core2Duo E6750:DDR2-1066MHz Core2Duo E6750:DDR2-800MHz 性能向上比
PCMark05:HDD-XP Startup 8.853 8.853 100.0
PCMark05:Video Encoding 503.597 501.785 100.4
PCMark05:Image Decompression 37.939 37.923 100.0
PCMark05:WMV Video Playback 65.392 63.815 102.5

Core2Duo E6750:DDR2-1066MHz Core2Duo E6750:DDR2-800MHz 性能向上比
3DMark05 10441 10428 100.1
FinalFantasy XI Official Benchmark:Low 8296 8227 100.8
FinalFantasy XI Official Benchmark:High 10431 10362 100.7

CrossFireのボトルネックを解消する「CrossLinx」

 Blitz Formula SEは、PCI Express x16スロットを2本備えており、AMD(ATI Technologies)のマルチGPU技術「CrossFire」に対応している。これは、Intel P35 ExpressマザーでPCI Express x16スロットを2本実装するマザーで共通の仕様であるが、Blitz Formula SEには(そして、その上位モデルであるBlitz Extremeでも)、グラフィックスカードを2枚差ししてCrossFireを構築したときに、サウスブリッジとノースブリッジ間のデータ転送で発生するボトルネックを解消できる「CrossLinx Technology」(以下、CrossLinx)を導入している。

 Intel P35 ExpressチップセットによるCrossFireでは、通常、レーン構成はPCI Express x16とPCI Express x4となる。マスター側のPCI Express x16スロットは、ノースブリッジと直接接続されているので大量のデータを高速に転送できるが、スレーブ側のPCI Express x16(実際の動作はx4モード)スロットは、サウスブリッジと接続しているため、大量のデータ転送が発生すると、ノースブリッジとサウスブリッジ間のデータ転送がボトルネックとなってしまい、2つのGPUパワーをフルに生かすことができなかった。

 Blitz Formula SEに採用されているCrossLinxでは、専用のチップを用意して、CrossFire動作時には、ノースブリッジとつながる16レーンを8レーンずつに分配し、2つのスロットをそれぞれPCI Express x8として動作させる。2枚のグラフィックスカードがノースブリッジに接続することで、ノースブリッジとサウスブリッジ間のボトルネックがなくなり、CrossFire動作におけるパフォーマンスを向上できるというものだ。

 では、CrossLinxの導入で、CrossFire動作時の性能はどの程度改善されるのだろうか。Blitz Formula SEでは、組み込まれているグラフックスカードの状況によってCrossLinx機能が「自動的に」有効になるため、「CrossLinxを使用しないCrossFire」という設定ができない。そのため、チップセットが異なるが、CrossFireに対応しているR.O.C.シリーズのCOMMANDOでもCrossFire構成のベンチマークテストを行い、それぞれのパフォーマンスの差がどの程度あるのかを調べてみることにした。

 テストでは、3DMark05と3DMark06に加え、市販ゲームのベンチマークとして、FarCryとF.E.A.Rを用いた。なお、ベンチマーク時の設定として、FarCryでは、HardwareOCが配布している専用のベンチマークテストで用意される「HardwareOC River」をMaxmumクオリティで動作させ、F.E.A.R.のベンチマークでは、オプション設定のPerformanceにある「Computer」「Graphices」とも最高に設定し、ゲームで用意しているベンチマークモードを動作させている。

3DMark05 3DMarks(1024×768ドット、nonAA、nonAniso)
3DMark06 3DMarks(1280×1024ドット、nonAA、nonAniso)

Farcry HardwareOC River(1600×1200ドット)
F.E.A.R.

 1枚差し構成から2枚差しのCrossFireに移行したときのパフォーマンスアップにおいて、Blitz Formula SEはCOMMANDOを大きく上回る結果を出している。特に、3DMark05と3Dmark06において、Blitz Formula SEはCrossFire構成になるとシングル構成と比べて50〜60%ほどスコアが上昇しているのに対して、COMMANDOでは、35〜45%の上昇にとどまっている。この「CrossFire効率の差」がCrossLinxの効果と考えられる。FarcryやF.E.A.R.のベンチマーク結果でも、Blitz Formula SEで、CrossFireによる性能向上率はCOMMANDOより数%ほど高くなっている。

 CrossLinxの効果は、ゲームタイトルによって違いはあるものの、ノーマル仕様のIntel P35 Expressで構築するCrossFireと比べて、少なくとも数%程度は確実にパフォーマンスが上昇する。「x4のボトルネックは許されない」というゲームユーザーで、Intel X38 Expressマザーを待てない(もしくは価格が高いと感じる)なら、CrossLinxは実に有効な機能となるだろう。

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