X38とDDR3のタッグは最強か?──ASUS「P5E3 Deluxe」イマドキのイタモノ(3/3 ページ)

» 2007年09月25日 06時00分 公開
[寺崎基生,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

“CrossLinx”を超えたCrossFireのパフォーマンス

 Blitz Formulaには、グラフィックスカードを2枚差ししにしたCrossFire構成におけるパフォーマンスをアップさせる専用チップ「CrossLinx」が導入されている。先日掲載したレビュー記事のベンチマークにおいても、CrossLinxを実装していないIntel P35 Expressマザーボードより10〜15%のパフォーマンスアップが確認された。

 これは、通常のIntel P35 Expressチップセットでは、CrossFire動作時に、PCI Express x16+PCI Express x4で動作するところを、CrossLinxではPCI Express x8+PCI Express x8で動作させることで、PCI Express x4のボトルネックが解消されるためである。

 Intel X38 Expressチップセットでは、CrossFire構成において2本のPCI ExpressスロットはPCI Express x16+PCI Express x16として動作する。Core 2 Duo E6700とDDR3-1066MHzの組み合わせで行ったベンチマークにおいて、P5E3 DeluxeのCrossFireによる結果は、Blitz FormulaのCrossLinxのそれを3%ほど上回った。

3DMark05(標準設定)
3DMark06(標準設定)

対応メモリが必要になるIntel Extreme TuningとIntel Extreme Memory

 Intel X38 Expressチップセットから導入される注目の機能として、「Intel Extreme Tuning」と「Intel Extreme Memory」が挙げられる。

 Intel Extreme Tuningは、“インテル純正”のオーバークロック機能で、「Extreme Tuning Utility」というユーティリティを使って、Windows上からオーバークロックを設定できる。

 Intel Extreme Memoryは、NVIDIAとCORSAIRが提唱した「EPP」のIntel版と言えるもので、SPD情報にオーバークロックにおけるメモリタイミングの情報を格納し、手軽に、かつ安全にオーバークロック設定が試せるようにした技術だ。P5E3 DeluxeのBIOS設定では、「Ai Tweaker」において「Ai Overclocking Tuner=X.M.P」と設定することで、eXtreme Memory Profileが有効になるようだ。

 今回評価に用いたP5E3 Deluxeは、初期のエンジニアリングサンプルだったためExtreme Tuning Utilityが付属しておらず、残念ながらIntel Extreme Tuningのテストは行えなかった。また、評価のために用意したDDR3メモリはCORSAIRの「TWIN3X2048-1800C7DF G」だったのだが、BIOSの設定をいろいろ変更してもeXtreme Memory ProfileをEnableに設定することができなかった。

 CORSAIRの製品では、Intel Extreme Memoryへの対応をうたった「TWIN3X2048-1800C7DFIN G」が用意されている。やはり、メモリ側がIntel Extreme Memoryに対応していないと、この新機能は利用できないようである。

今回使用したメモリでは、X.M.Pの設定を有効にできなかった
評価で用いたメモリはCORSAIRの「TWIN3X2048-1800C7DF G」。DDR3-1333MHzは当然として、1800MHz動作もサポートするいう、オーバークロッカー向けのハイエンドメモリだ。


 Intel X38 ExpressチップセットとDDR3メモリを組み合わせた場合、メモリクロックを1333MHzに設定できることでパフォーマンスの向上が見られるようになったが、メモリ個別のベンチマークはともかく、総合的なテストではDDR2-1066MHzを搭載するIntel P35 Expressマザーとの差はわずかに過ぎない。

 DDR3に関しては、より高クロックのモジュールが登場したときにその真価が発揮されることになるのだろう。今回の評価作業で、P5E3 DeluexのFSBにおけるオーバークロック耐性は調べていないが、多彩なアクセラレーション機能を有するPE3 Deluxeは、高クロック動作のDDR3が登場したときでもそのパフォーマンスを享受できる可能性が高いと思われる。

 CrossFire構成における3D関連のベンチマークにおいては、PCI Express x16×2本という仕様を生かして、これまでのIntelマザーにおけるCrossFireのパフォーマンスを超えることができた。

 NVIDIAやAMD(ATI Technologies)のチップセットで「PCI Express x16×2」の仕様をうらやましいと思った“Intelチップセット命”のゲームユーザーにとって、Intel X38 Expressを搭載したP5E3 Deluexは「待った甲斐があった」と思わせる製品となるだろう。

関連キーワード

Intel | マザーボード | ASUS | Core 2 Duo | CPU | COMPUTEX | ATI | Core 2 Quad | Radeon


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月25日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  3. 「IBMはテクノロジーカンパニーだ」 日本IBMが5つの「価値共創領域」にこだわるワケ (2024年04月23日)
  4. Googleが「Google for Education GIGA スクールパッケージ」を発表 GIGAスクール用Chromebookの「新規採用」と「継続」を両にらみ (2024年04月23日)
  5. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  6. バッファロー開発陣に聞く「Wi-Fi 7」にいち早く対応したメリット 決め手は異なる周波数を束ねる「MLO」【前編】 (2024年04月22日)
  7. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. ゼロからの画像生成も可能に――アドビが生成AI機能を強化した「Photoshop」のβ版を公開 (2024年04月23日)
  10. MetaがMR/VRヘッドセット界の“Android”を目指す 「Quest」シリーズのOSを他社に開放、ASUSやLenovoが独自の新ハードを開発中 (2024年04月23日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー