第4回 複合機6モデルの画質を解明する複合機07年モデル徹底攻略(3/4 ページ)

» 2007年12月28日 16時30分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]

L判写真印刷(メーカー純正写真用紙/最高品質設定)

 L判用紙への写真印刷は、家庭向け複合機において最も頻度の高い用途の1つだ。ここでは6モデルの複合機にPCを接続し、共通のテストパターンをL判に印刷して見比べてみた。使用したアプリケーションは各複合機に付属する写真印刷ツールだ。つまり、PM-T960とPM-A840はEPSON Easy Photo Print、MP970とMP610はEasy-PhotoPrint EX、C8180とC6280はHP Photosmart Essential 2.0経由で出力している。

 用紙は各メーカー純正の最高グレード写真用紙を使った。PM-T960とPM-A840は「写真用紙クリスピア」、MP970とMP610は「プロフェッショナルフォトペーパー」、C8180とC6280は先述のアドバンスフォト用紙だ。C8180とC6280はプリントエンジンがアドバンスフォト用紙に最適化されているが、日本HPの純正写真用紙には広色域で耐光性100年以上をうたう高品位な「プレミアムプラスフォト用紙」も存在する。プレミアムプラスフォト用紙は速乾性や印刷速度でアドバンスフォト用紙に劣る半面、鮮やかな発色が得られるため、参考までに掲載した。

 以下はL版の印刷サンプルを600dpiでスキャンした画像の縮小表示だ。各画像をクリックすると、600dpiでスキャンした画像データの一部が1024×768ドットで実寸表示される。実際は目をこらしてもこれほど大きく見えることはないが、ドットの打ち方や細部の描写の違いが分かるように掲載した。印刷サンプルを実寸で凝視した場合、ドットがこのように目立つことはまったくない。

PM-T960:彩度と明度が控えめの割に色が濃いため、落ち着いてどっしりした雰囲気だ。上部カラーバーのマゼンタとシアンの色相がずれているが、写真部分の色相に不都合はない
MP970:シャドウから中間調のトーンを少し持ち上げているように感じる。コントラストが控えめで淡泊な印象を受けるが、高彩度の色は鮮やかだ。ディスプレイ上で元画像を見る発色に近い
C8180(アドバンスフォト用紙):わずかに色の乗りが甘く感じられるが、全体的なコントラストは高くメリハリがある。カラーバーや果物の細部に目を近づけると、若干の粒状感がある

PM-A840:PM-T960とまったく同じに見える。カラーグラデーションや色鉛筆の発色など、違いらしい違いは見当たらない。好みに応じて少し明るめに印刷するとよいかもしれない
MP610:MP610は4色印刷だが、6色印刷のMP970と並べて比較しても、違いを判別するのは難しい。やや明るめの発色傾向はあるが、ディスプレイで見る雰囲気にかなり忠実だ
C6280(アドバンスフォト用紙):プリントエンジンはC8180と同じSPTを採用しており、画質はほとんど差がない。エプソンやキヤノンと見比べると、発色がやや控えめになっている

C8180(プレミアムプラスフォト用紙):アドバンスフォトよりコントラストと彩度が高く、メリハリがあって硬質系の画質だ。果物や皿の影で軽微な粒状性が見られる
C6280(プレミアムプラスフォト用紙):C8280とほとんど同じ結果だ。アドバンスフォト用紙よりもコントラストが高く、色域が広いため、より鮮やかな出力となっている

A4カラーコピー(普通紙/デフォルト設定)

 6モデルの複合機におけるA4普通紙カラーコピーの画質を比較する。カラーコピーの原稿には、PM-T960の最高品質設定で写真用紙クリスピアに印刷したものを使った。写真用紙クリスピアはA4サイズだが、原稿自体のサイズは幅56×高さ85ミリとやや小さく、A4クリスピアの中央に印刷している。各複合機のカラーコピー設定はすべてデフォルトで、等倍コピーした出力を評価した。

 各画像をクリックすると、600dpiでスキャンした画像の一部が1024×768ドットで実寸表示される仕組みだ。L判写真のサンプルと同様、印刷サンプルを実寸でみた場合、ドットがこのように目立つことはない。

PM-T960:顔料Bkインクを採用していないため、コントラストが低めで暗部の階調がつぶれ気味。文字もぼんやりしている。色鉛筆の階調がかなり正確に描かれているのは高評価だ
MP970:色鉛筆のシャープネスが甘く、1本1本の境界がぼやけてしまったが、原稿の再現性は高い。暗部の階調表現に強みがあり、ワインボトルの陰影や色鉛筆ケースの文字が再現できている
C8180:全6色が染料インクなので、黒の濃度とコントラストが低めだ。文字は比較的シャープに再現され、色鉛筆の描き分けと階調表現はしっかりしている。全体的には高品質といえる

PM-A840:PM-T970よりもコントラストが低く、暗部の浮きが目立ちやすい。ワインボトルのラベルや色鉛筆の描き分けなども甘い印象を受ける。下部の文字はPM-T960とほぼ同等だ
MP610:MP610は5色構成のインクだが、7色構成のMP970とほぼ同じ結果となった。色鉛筆のシャープネスが低く、全体的に粒状性が若干あるものの、暗部の階調はしっかりしている
C6280:インク構成はC8180と同等だが、C6280のほうが高コントラストで黒濃度が高い。イメージセンサの違いが1つの理由だろう(C8180はCCD、C6280はCIS)。横筋が発生した部分がある

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