アップルは1月10日、プロシューマー向けデスクトップPC「Mac Pro」およびラックマウント型サーバ「Xserve」の新モデルに関して、製品説明会を開催した。既報の通り、両モデルともにアーキテクチャを一新し、45ナノメートル製造プロセスのクアッドコアCPU(Xeon 5400番台)を採用しているのが最大の特徴だ。製品説明を担当したアップル プロダクトマネージャー鯉田潮(こいだうしお)氏は、Mac Proを中心に、ハードウェアの進化点や、従来機種との性能比較、最新Mac OS X v10.5などに言及し、「(今回の)Mac ProとLeopardの組み合わせが、マルチコアCPUと64ビットの性能を最大限に引き出せる環境だ」と自信を見せる。
今回のモデルチェンジで最も目を引くのがCPUだ。具体的には、従来モデルで採用していた65ナノCPU(開発コード:Woodcrest、Clovertown)を、Penryn世代の45ナノCPU(開発コード:Harpertown)に変更した。これにより2次キャッシュ容量が12Mバイト(3Mバイト×4)に増加し、新命令セットのSSE4に対応するなど、大幅に機能強化が図られている。また、新Mac Proに搭載される5400番台のXeonは、FSB 1600MHzに対応したモデル(型番の末尾が2)で、特に最上位の3.2GHzは「5400番台の中でも最も速く、他社でも採用はない」(鯉田氏)と性能面をアピールする。これにあわせてメモリクロックも667MHzから800MHzに引き上げられ、メモリスループットで約60%ほど高速化しているという。
鯉田氏は、従来の標準構成モデル(クアッドコア)と、新しい標準構成モデル(8コア)を比較したベンチマークテストの結果を示しながら、動画編集など処理の重いプロシューマー向けアプリケーションであれば約2倍、Photoshop CS3のようなアプリケーションでも30%ほどの高速化が見込めると説明する。「単純に考えて、作業にかかる時間が半分になれば、業務の生産性は2倍に上がるわけです」(鯉田氏)。
グラフィックス性能も強化された。拡張スロットは、PCI Express 2.0 x16を2基と、PCI Express x4を2基用意し、標準でATI Radeon HD 2600 XT搭載カード(グラフィックスメモリは256Mバイト)を備えるほか、オプションにGeForce 8800 GT(同512Mバイト)や、Streo-in-a-Window(3次元を可視化するアプリケーション)対応の3Dステレオポートを搭載したQuadro FX 5600(同1.5Gバイト)もラインアップしている。また、すべてのカードでデュアルリンクDVIを2ポート備え、最大で8枚の30インチディスプレイを同時に接続できるようになった(ATI Radeon HD 2600 XT×4の構成)。
なお、Doom 3ベンチで従来モデルの標準構成だったGeForce 7300 GTと比較すると、ATI Radeon HD 2600 XTで1.4倍、GeForce 8800 GTで2.2倍ほど高速化されているという。
一方、HDD容量も標準で250Gバイトから300Gバイトに増量したほか、最大搭載容量も1Tバイト×4基の構成を選択できるようになっている。従来同様にオプションでRAIDカードを用意しており、RAID 0、1、5、0+1、拡張JBODを構築可能だ。また、性能を重視する向きには、15000rpmのSASドライブ(Serial Attatched SCSI)も用意されている。
標準構成で34万9800円、BTOで最高のパーツを選択していくと300万円を軽く超えてしまう最新Mac Proだが、アップルはコストパフォーマンスでも他社製品を圧倒していると語る。
同社は、Xeon 5400番台を採用する高性能なデスクトップPCの代表として、デルの「Precision T7400」(2.83GHz 8コア/1333MHz)とHPの「xw8600/CT」(3.0GHz 8コア/1333MHz)を挙げ、“同じようなスペック”で価格を比べれば、10万円〜15万円ほどMac Proのほうが安いと主張する。また、FSBクロックの優位性(1600MHz)などを指摘し、「おそらくこちらのほうがパフォーマンスも高い。エンドユーザーにメリットのある価格になっていると思う」(鯉田氏)と自信を見せた。
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