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» 2008年05月06日 03時00分 公開

フリーオに引導を渡せるか:“自作で地デジ”に一筋の光?――アイ・オー vs バッファロー徹底比較 (3/4)

[瓜生聖,ITmedia]

地デジ解禁第1世代の共通仕様をチェック

 まずは両者に共通の仕様を確認していこう。アイ・オー・データ機器、バッファローともに、単体地デジチューナーの第1弾には、PC内蔵モデルが投入されている。PCI、PCI Express x1という違いはあるが、両方とも1スロット占有型で、ブラケットにはB-CASカードのスロットとF型コネクタのアンテナ入力があるのみだ。

 受信チャンネルはUHF 13〜62チャンネルの地デジ専用となっており、ケーブルテレビの再送信方式では同一周波数パススルーとUHF-UHFの周波数変換パススルー方式に対応している。UHF-VHFの周波数変換パススルー方式、トランスモジュレーション方式には対応していない。

 録画された最高画質のハイビジョン映像は、現在のところ録画を行ったPCでしか閲覧できない。また、現在はCMカットなどの基本的な編集機能も持たない。ただし、これは規制によるものではなく、両社とも今後編集用ソフトウェアをユーザーに対して無償で提供する予定だとコメントしている。Dpaのガイドライン(PC用デジタル放送チューナーのガイドライン/PDFファイル)により、もともとの地デジ放送波に施されたMULTI2暗号を解読した後、ローカル暗号をかけることを義務づけられているため、ローカル暗号がかかった状態での編集ソフトウェアの開発に時間がかかっているのだろう。

 編集機能の詳細についてはまだ不明だが、おそらく閲覧可能な機器と同じ環境、すなわち同一PCに同一チューナーカードが搭載されていることが条件になると思われる。耐タンパ性(改ざんやデータの抜き取り防止)や、少なくとも1分に1回以上の機器の認証が求められるなどのコストを考慮すると、規制に準拠した編集ソフトウェアは簡易的な編集にとどまる可能性が高そうだ。

 録画した動画ファイルの閲覧は、録画を行ったチューナーカードが装着されている、録画を行ったPCでなければできない、と書いたが、自作PCの場合はメーカー製PCよりもパーツの交換を行う可能性が高いため、どこまでを「同一のPC」と見なすかは重要なポイントだが、両社ともその判定方法については公表できないとしている。同様の問題はWindows XP以降のアクティベーションでもあったが、こちらは大きな変化があった場合にも電話窓口などでの救済措置が用意されていた。今回の地デジ録画ファイルでは現在のところ、そういった救済措置は用意されていない。

 ちなみに、「同一のPC」が指す範囲について、両社とも「マザーボードが故障した場合、例えばコンデンサの交換で済めば閲覧可能だが、マザーボードをまるごと交換した場合は閲覧不可になる」という回答だった。また、実際にグラフィックスカードの換装(DT-H50/PCIはRADEON HD 3450+AMD 780G内蔵グラフィックスのHybrid GraphicsからNVIDIA GeForce 8800 GTに変更、GV-MVP/HSはRADEON HD 3450とAMD 780G内蔵グラフィックスの切り替え)を行ってみたところ、問題なく再生できることを確認している。

 録画した映像をDVDメディアへ書き出す場合は、CPRM対応のDVD-RW/DVD-RAM、フォーマットはDVD-VRとなる。そのため、PCで再生する場合にはCPRMに対応した光学ドライブと、WinDVDやPowerDVD、CinePlayer(Easy Media Creator同梱)などのCPRM/DVD-VRに対応した再生ソフトウェアを用意しなくてはならない。Windows Media Playerでは再生できないので注意が必要だ。

CPRM対応ドライブはDVDInfoProなどで確認できる。一番下のグループ「Drive General Features」にある「CPRM Authentication」にチェックが入っていればCPRM対応だ(画面=左)。GV-MVP/HSで録画した番組をDVDメディアへムーブした。トランスコードしながらの書き込みになるため、Phenom 9500を搭載したシステムで、XP画質の場合で30分番組のムーブに41分かかっている(画面=右)

再生にはCPRM対応のプレーヤーも必要。画面はロキシオ CinePlayer(画面=左)。アイ・オー・データ機器とバッファローは、ともにハードウェアの対応状況を確認できるツールを配布している。画面はバッファローの「バッファローストリームテスト for 地デジ」のテスト結果(画面=右)

「DT-H50/PCI」と「GV-MVP/HS」の違いは?

 次に両製品の違いについて見ていこう。まず、インタフェースでは、DT-H50/PCIがPCI、GV-MVP/HSがPCI Express x1という違いがある。ハイビジョン画質でのキャプチャが可能なアナログキャプチャカード(例えば「MonsterX」や「PV4」)では、転送速度の関係からインタフェースの違いは留意点の1つだった。しかし、MPEG-2 TSはすでにエンコードされたデータであり、最大でも16.8Mbpsと、USB 2.0でさえも大幅に下回る速度であるため、特に問題とはならないだろう。スロット数や設置空間が限られるフォームファクタで物理的な制限となるくらいだ。

 閲覧環境については最高画質では両製品とも違いはないものの、それ以外の画質ではDT-H50/PCIに軍配が上がる。これはGV-MVP/HSが、DT-H50/PCIで言うところのDPモード(最高画質)しかサポートしていないためだ。つまり、画質を下げれば多少自由度が増すDT-H50/PCIに対し、画質が下げられないために自由度も増えないGV-MVP/HSという図式になっている。

 コンテンツ保護機能の対応については、バッファローのDT-H50/PCIが2008年6月にダビング10、2008年内にDTCP-IPに対応する予定としている。さらにバッファローはDTCP-IPに対応したNASの製品化も予定しており、DT-H50/PCIと組み合わせることによってNASへムーブしてほかのDTCP-IP対応機器から再生することができるようになるという。

 一方、アイ・オー・データ機器のGV-MVP/HSは、ダビング10の対応を「積極的に対応すべく検討中」、DTCP-IPに関しては「今後の技術課題」としており、やや歯切れの悪い回答だった。ちなみに、両製品ともにCOPP対応のグラフィックスカードが必須で、ディスプレイとの接続にはHDCPに対応したHDMI/DVIが求められるが、画質モードが変更できるDT-H50/PCIの場合は、SPモード/LPモードに限ってアナログRGBでも出力ができる。

 付属ソフトウェアについては、前のページで個別に述べたとおり、視聴重視のDT-H50/PCIと、録画重視のGV-MVP/HSという印象だ。DT-H50/PCI付属のPCast for 地デジでは番組開始後の予約録画、番組終了時に録画自動終了などの機能がないため、個人的にはGV-MVP/HS付属のmAgicTV digitalのほうが使いやすいと感じた。しかしこちらは予約録画中に視聴ができないというかなり大きな欠点を持っており、一長一短と言える。

DT-H50/PCIではアナログRGBでも画質を下げることで出力は可能(画面=左)。GV-MVP/HSのライブラリは分類・一覧機能が強力。録画番組の情報も表示される(画面=右)

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