デルの液晶ディスプレイがカッコよくて何が悪い――「DELL CRYSTAL」外観も価格もプレミアム(2/3 ページ)

» 2008年05月15日 17時45分 公開
[前橋豪,ITmedia]

インタフェースの設計もデザインに配慮

本体の下方から太いケーブル1本が直づけされている

 前述の通り、本体からは直づけのケーブルが1本のびているだけだ。このケーブルは、先端部がHDMI、USB 2.0、ACアダプタ接続用、サブウーファ出力用の4本に分岐しており、ディスプレイ回りにケーブルが散らかることがないように工夫されている。ただし、ディスプレイとPC本体の設置場所が離れている場合、汎用の長いケーブルが使えないのは融通が利かない場合もありそうだ。

 USBは液晶パネル上部に搭載された200万画素Webカメラとモノラルマイクの接続に使われるほか、設定を変更することでスピーカーの音声入力インタフェースとしても利用できる。製品には、HDMIをHDCP対応DVI-Dへ変換するアダプタが同梱されるため、DVI-D出力を持つPCと接続することも可能だ。もちろん、HDMIは480i/480p/576i/576p/720p/1080i/1080のビデオ入力もサポートする。

 その一方で、標準的な液晶ディスプレイに装備されるアナログRGB入力、ミニピンなど通常の音声入力、ヘッドフォン出力が省かれているほか、USBでPC本体と接続するからといってUSBハブ機能が搭載されているわけでもない。

 これまでデルの液晶ディスプレイの上位機種は、どちらかといえばインタフェースを詰め込めるだけ詰め込んでいる印象があったが、DELL CRYSTALに限っては余計なものがついていないデザインを際立たせるため、あえてスペックを絞り込んだのだろう。PCとは音声も含めてHDMIケーブルとUSBケーブルで接続でき、別途音声ケーブルをつながなくていいのは、スマートな設計ではある。

ケーブルの先端は、HDMI、USB 2.0、ACアダプタ接続用、サブウーファ出力用の4本に分岐している(写真=左)。電源はACアダプタを接続する仕様だ(写真=中央)。HDMIをHDCP対応DVI-Dへ変換するアダプタが同梱される(写真=右)

液晶パネルの上部にWebカメラを内蔵

 なお、Webカメラは有効200万画素で、カメラのそばにモノラルマイクを内蔵している。付属ソフトウェアは従来機種と同じ「Dell Webcam Software」(Creative製)を利用しており、動画は最大1600×1200ドット/10fps(640×480ドット/30fps)、静止画は最大3200×2400ドットの解像度でキャプチャできる。

 被写体の動きを検知した場合に動画をキャプチャし、動画の先頭を静止画に変換してEメールで送信する監視機能や、一定間隔で静止画をキャプチャする定点観測機能、独自に作成したアバターを適用してのチャット機能も持つ。

広色域パネルとダイナミックコントラスト機能を搭載

1680×1050ドット表示の22インチワイド液晶パネルは広色域タイプだ

 液晶パネルは、NTSCやAdobe RGBの色域をほとんどカバーできる広色域タイプを採用(デルは色再現性98%としている)。1680×1050ドット表示の22インチワイドパネルは、ドットピッチが0.282ミリと大きめだ。17インチSXGAパネルのドットピッチ(0.263ミリ)より大きく、19インチSXGAパネルのドットピッチ(0.294ミリ)より少しだけ小さいため、アイコンや文字の表示が細かすぎると感じることはないだろう。

 基本スペックは、輝度が270カンデラ/平方メートル、視野角は上下/左右で各160度、応答速度は黒白間が5ms、中間階調が2msだ。表示する映像の内容をリアルタイムで判別し、コントラストを動的に変化させるダイナミックコントラスト機能を搭載しており、同機能使用時のコントラスト比は2000:1とされている(同機能をオフにした場合のコントラスト比は非公開)。

 全体的な表示傾向は、2007年に発売された広色域タイプの22インチワイド液晶ディスプレイ「SP2208WFP」と似ている。こちらはSP2208WFPほどシャープネスが強すぎて困ることはなかったが、やはり初期設定ではシャープネスが強めだ。シャープネスは5段階に調整できるので、少し弱めて使ったほうがいいだろう。

 緑から青にかけての鮮やかさや力強い赤は、広色域パネルならではだ。特に動画コンテンツの再生では、その強みが生かせる。内蔵のステレオスピーカーはサラウンド機能などはないが、5ワット+5ワットと液晶ディスプレイ内蔵のものとしては大容量なので、音質にこだわらなければ、DVDやBlu-ray Discの映像コンテンツも十分楽しめるだろう。

 DELL CRYSTALの画質で気になるのは、前面を覆った強化ガラスの影響だ。ガラスには強い低反射処理が施されているわけではないので、利用中はガラステーブルのようにユーザーの顔や周囲が映り込んでしまう。また、液晶パネルは広色域ではあるが、下位機種と同じTN方式なので、正面から画面を見ていても画面周辺で色度やコントラストの低下が見られる。これは、広色域のTNパネルを搭載した機種全般にも当てはまる傾向として受け入れるしかないが、フォトレタッチなどカラーマネジメントが求められる作業には向かないことを覚えておきたい。

カラーとモノクロのグラデーションバーを表示してみた。暗部は少しつぶれ気味で、白にかなり近い明部は飛び気味だが、全体的にグラデーションは崩れていない。広色域で緑や赤の発色が鮮やかだ

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