まずは新型Eee PCとほぼ同時に発表されたAcerの「Aspire one」だが、製品の概要は既報の通りだ。日本では8月中の発売を目指しているとのことで、店頭で実機を触われるようになる日もそう遠くはないだろう。
日本での価格は未定だが、北米版が379ドルからと発表されているため、国内市場でも新型Eee PCを下回る価格設定になるかもしれない(現行のEee PCのように、日本向けモデルがWindows XP搭載機のみになれば、価格は上がるだろうが)。
Aspire oneの基本仕様は、ASUSの「Eee PC 901」に近い。1024×600ドット(WSVGA)の液晶ディスプレイを搭載し、CPUはAtom N270(1.6GHz)、チップセットはIntel 945GMS+ICH7Mとなっている。OSはLinpus Linux LiteとWindows XP Home Editionの2つを用意。前者の場合は512Mバイトのメモリと8GバイトのSSDを搭載し、後者の場合は1Gバイトのメモリと80GバイトのHDDを備えるが、この構成のまま日本市場に投入されるとは限らない。
今さら8GバイトのSSDでは容量が足りないと感じるかもしれないが、ここには一工夫がある。独自のSmart File Manager機能を備えており、左側面に用意されたSDメモリーカードスロットにSDメモリーカードを装着すると、内蔵のSSDと組み合わせて1ドライブとして認識されるというものだ。
動作中にSDメモリーカードを抜いてしまった場合などにどうなるのかは確認できなかったが、さすがに後発だけあって初代Eee PCで指摘されたストレージ不足の問題はフォローしてきている。ちなみに、台湾版のEee PC 901では20Gバイトのオンラインストレージサービスを付加することで、ストレージを増強した形だ。
ネットワーク機能は有線LANとIEEE802.11g/bの無線LANを装備。11nの無線LANやBluetoothを備えていない点でEee PC 901に劣るが、Acerによれば、今年中にはWiMAXと3Gに対応するという。これらのモジュールはもちろん、本体に内蔵でき、前面の無線LAN用インジケータの左脇にはすでにWAN用インジケータも配置されている。
実機のフットプリントは240×170ミリ、重量は構成により異なるが1キロ以下になる予定で、サイズもEee PC 901とほとんど変わらない。バッテリーパックは3セルと6セルがあり、3セルの場合で約3時間、6セルの場合で約6時間の動作が可能だ。公称のバッテリー動作時間は、独自のSuper Hybrid Engineにより6セルバッテリーで最長約7.8時間の動作時間をうたうEee PC 901ほどではないが、これらは同一条件で動作時間を測定したわけではないので、実際の優劣は不明だ。
見た目は、光沢の天板と落ち着いた質感のボディに、ヒンジ部のオレンジ色のアクセントが効いていて、低価格ノートながら安っぽくない。ボディの高級感を追求したHPの「HP 2133 Mini-Note PC」ほどではないが、新型Eee PCには十分対抗できる見栄えといえる。特にブルーやブラウンはEee PCにはない渋いカラーで、日本で展開しても受けそうだ。
展示機に触れてみたところ、ボディはしっかりと作られており、画面を開いたままパームレストを片手で持ってもたわむようなことがなく、液晶ディスプレイのヒンジも微妙な角度調整がきちんとできた。気になったのはパームレストの発熱で、複数の展示機を触ってみたが、手のひらにじんわりと熱が伝わってきた。
キーボードとタッチパッドは一長一短といったところ。キーボードは小さいながらも主要キーが均等ピッチになっており、カーソルキーも一段下がっている点はEee PC 901より好印象だ。キーボードユニットがぐらつくこともなく、安定して入力できた。キーのレイアウトも全体的にEee PC 901より洗練されているが、カーソルキーに隣接したキーが「PgUp」「PgDn」になっている点はミスタイプを誘いがちで気になった。
ボディの奥行きはEee PC 901より少し短いので、パームレストは短めだ。そのため、タッチパッドの左右にクリックボタンを分けて搭載して、タッチパッドのサイズを確保している。このデザインはHP 2133 Mini-Note PCと同様だが、やはり操作には慣れを要するだろう。
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