すでに紹介しているように、現在出荷されているNetbookのシステム構成はほとんど横並びで、画面サイズやバッテリー駆動時間、データストレージに違いがある程度だ(ユーザーの多くは価格とデザインで購入する製品を決めている)。
ほぼ、横並びのスペックから、電脳航法システムとして使いやすい製品を選ぶ場合、そのポイントは、「画面サイズが大きい」「データアクセスが速いSSD」「帆走重視でも電力供給に不安を感じな長時間バッテリー駆動」といったあたりを自分の条件(帆走をしないならバッテリー駆動時間は関係ない、表示カスタマイズができる航法ソフトなら画面サイズは関係ない、などなど)と照らし合わせて、価格との兼ね合いで決めることになる。ただ、ENCやC-MAPという大きくはないけれど複雑なデータベースを頻繁に読み込む必要がある電脳航法システムの特性を考えると、データストレージはSSDを選んでおきたい。
今回の実験航海では、ASUSのEee PC 901-16Gを選択した。SSDという条件で選択できるNetbookは限られてしまうが、それでも、10.2型ワイド液晶ディスプレイを搭載したEee PC S101でもなく、10.2型ワイド液晶ディスプレイを採用しながら8GバイトのSSDを搭載して価格が5万円を切っているヒューレット・パッカードのHP Mini 1000でもないのは、ひとえに公称値8.3時間というバッテリー駆動時間を優先させたためだ。
「機走メインでバッテリーに不安なし」という理由でバッテリー駆動時間が重要でないならば、HP Mini 1000の画面サイズと価格のバランスは電脳航海にとても適している(最後の最後までEee PC 901-16Gと迷った機材だ)し、画面サイズとバッテリー駆動時間のバランスを考えればEee PC S101もいい。Bluetooth GPSを使うならば、Eee 901-16GとともにEee PC S101、または16GバイトSSDと8GバイトのHPミニモバイルドライブのモデルを選んでもいい(どちらも大容量バッテリーがオプションとして用意される予定だ)。
Bluetooth GPS(多くの製品は1万円を切る価格)とPC用航法ソフト(Software On Boardなら約6000円、SailCruiserなら約4万円) 、電子海図(Software On Boardなら関東近海のC-MAPが付属する。日本全域を含むエリアの全データで約2万5000円)をセットにしても、電子海図が表示できる高機能ハンディGPSより安く購入できて、かつ、画面サイズや機能、操作性は格段にいい(ただし、耐衝撃防水性能はハンディGPSが上)。
「できないことがありますよ」とPCメーカーがくぎを刺すNetbookだが、少なくとも電脳航法システムとしては問題なく使える性能を有していることが、今回の試験航海で実証できたといえるだろう。
防水対策と固定対策が十分に施せるならば、NetbookとBluetooth接続GPS、PC用航法ソフトと電子海図の組み合わせは、高機能ハンディGPSや舶用高機能GPSプロッターより低価格で、かつ、はるかに使いやすい電脳航法システムを構築できる
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