5万円程度の価格で販売されているNetbook(または、低価格ミニノートPC)は、安いだけあって、なにかとリスクの高いセーリングクルーザーに持ち込んで、GPSとPC用航法ソフトを組み合わせた「電脳航法システム」を構築するのに最適な「ノートPC」に見えてくる。
しかし、PCベンダーの多くは「これはノートPCとは違うものなのです」とことあるごとに説明する。インターネットで提供されるサービスを利用するためだけに開発されたと一部のメーカーが公言するNetbookでは、電脳航海は無理なのだろうか。
「量販店で売っている100円ノートPCと10万円もするノートPCとは、何が違うのか」と疑問に思う「海のことは何でも知っているけど、PCのことはよく知らんなー」というベテラン船長も少なからずいると思うので、まず、そのあたりから整理して見よう。
PC USERでは、これまでにもNetbookを紹介する記事を数多く掲載しているが、通常のノートPCとNetbook、低価格ミニノートPCと呼ばれる製品とでは、大まかに整理して次のような違いがある。
こうして改めて並べてみると、あまりいいことがなさそうなNetbookだが、最後の「価格が安い」がすべてを許してしまうだけでなく、低いと思える性能も、イマドキのPCで主な用途となっている「Webブラウジングや動画共有サイトの閲覧、メール、テキストの入力や簡単な画像加工」なら十分にこなせるだけのパフォーマンスがある。
ただし、Netbookを扱っている多くのPCメーカーは、「メインのノートPCとして使おうとするとパフォーマンスが足りなくてできないことがある」と説明している。Netbookとして数多くの製品が登場しているが、基本構成は、1.6GHzで動作するAtom N270にIntel 945GSE Expressチップセットを組み合わせて、16Gバイト程度のSSD、もしくは160Gバイトの1.8インチHDDを搭載する。SSDは円盤を回してデータを記録するHDDの代わりにフラッシュメモリを実装してその中にデータを記録するデバイスで、駆動部分がないおかげで消費電力を抑えることができ、かつ、衝撃などにも耐えられるといった長所をもつが、その一方で容量がHDDより少なくなってしまうという欠点もある。
また、多くのNetbookはボディサイズがB5サイズのモバイルノートPC並みに小さいが、それに伴なって画面サイズが通常のノートPCよりもひと回り小さい8.9型もしくは10型ワイドが主流となっている。そのため、画面解像度も通常のモバイルノートPCが1280×800ドットや、1024×768ドット(ただし、4:3の画面比率を持つノートPCも少なくなってきたが)よりも狭い1024×600ドットになっている。
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このように、カタログスペックやベンチマークテストの結果では明らかに通常のノートPCを下回るNetbookだが、果たしてパワーボートやセーリングクルーザーに持ち込んで、GPSとPC用航法ソフトと組み合わせて安心して使えるだけのスペックとパフォーマンスは持っているのだろうか。
Netbookを電脳航海で使おうとした場合、気になるのが以下のポイントになる。
このうち、データストレージ容量の少なさは心配しなくていい。高度なデータベースである電子海図もその容量は意外なほどに少ない。例えば、ENCは、日本近海をカバーするそのすべてのデータを収録してもわずが100Mバイトにしか過ぎない。CーMAPにしてもSoftware On Boardに収録されている全世界広域、日本近海の広域、関東海域のHarbor Navigateなどで44Mバイトと、イマドキのソフトウェアからすれば、とてもコンパクトに収まっている。
PC用航法ソフトも、その低価格で多くのユーザーから支持されている「Software On Board」で100Mバイト、柔軟な画面カスタマイズと帆走向けの機能が充実している「SailCruiser」で80Mバイト程度だ。ログデータもSoftware On Boardから2秒間隔で記録した5時間分データが約4Mバイトで済んでいる(仮に1日10時間航海して1年間巡航したとしても3Gバイト程度)。このように、データストレージの容量が電脳航法システムで問題になることはまずありえない。
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