2月末、Socket AM3対応で初のクアッドコアCPUとなる「Phenom II X4 810」が複数のショップに入荷した。価格は1万8000円弱で、在庫は潤沢だ。Phenom II X4 810は2.6GHzで動作し、2MバイトのL2キャッシュ4個と共有のL3キャッシュ4Mバイトを備える。
待望のクアッドコアCPUながら、多くのショップで売れ行きはいまひとつの様子だ。某ショップは「クアッドコアといってもL3キャッシュが少なめの800番台なので、急いで入手したいという人はあまりいないでしょう。なにより、今はPhenom II X3ばかりに注目が集まっているので、入荷に気づいていない人も多いですね」と語る。そのほかにも、1週間早く登場したPhenom II X3 720 Black Editionの人気を引き合いに出すコメントが多かった。
Phenom II X3 720 Black Editionは2.8GHzで動作するトリプルコアCPUで、6MバイトのL3キャッシュを搭載している。登場当初は「動作クロック倍率可変のBlack Editionといえども、しょせんはトリプルコア。やはりクアッドコアを待つユーザーが多い」(TSUKUMO eX.)などのコメントが多く、ヒットとはほど遠い状況だった。
そこから一転して大ブレイクとなったのは、ある情報が広まったことがきっかけだ。パソコンショップ・アークは「Phenom II X3はもともとクアッドコア構成なのを1コア無効にしているだけなんです。それでBIOS設定を少しいじるだけで1コア復活できるという情報が流れ、いきなり飛ぶように売れ始めました」と語る。突然の大ヒットを受け、T-ZONE.PC DIY SHOPなど、売り切れとなるショップが頻出している。
この裏技についてツートップ秋葉原本店は「クアッド化できるのは限られたマザーで、ソフトウェアによっても3コア動作しない場合があるそうです。それでも、トリプルコアのつもりが実はクアッドコアだったというのは美味しいじゃないですか。こういう驚きが隠されているのはAMDの魅力でしょう。意図的なのかは知りませんけど」とうれしそうに話していた。
また、あるショップは「裏技があるのはいいですけど、タイミングの悪さもAMDらしいですよ。Phenom II X4 810はクアッドコアにしては低価格なのに、今ではいっさい見向きされないですもん。裏技の発覚が2週間遅ければ、どちらもある程度売れて万々歳だったのにねー」とやや不満なようすで語っている。
Phenom II X3 720 Black Editionのクアッド化情報が流れて以来、本来のクアッドコアCPU上位シリーズ「Phenom II X4 900番台」に関する問い合わせは、「メディア関連の人たち以外からはとんとなくなりました」(某ショップ)とのこと。
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