ウィルコムが4月15日に新しいモバイルインターネットアクセスデバイス「WILLCOM NS」(型番はWS026T)を発表した。製品情報についてはこちら(ウィルコム、システム手帳に入る薄型MID「WILLCOM NS」を発表)でも紹介しているが、この記事のタイトルにあるように、WILLCOM NSを開発した東芝は「モバイルインターネットデバイスの第1号機」とアピールしている。
モバイルインターネットデバイス(MID)を提唱したインテルは、MIDの条件の1つに、Atomなどのx86互換のCPUを搭載して、インターネットで提供されるサービスをPCと高い互換性を確保して利用できることを挙げている。インテルがCPUにAtomを搭載したMIDとARMを搭載した従来の小型デバイスとの違いを説明するスライドでは、Webページの表示互換性に関する比較が必ず紹介される。
ウィルコムの資料で紹介されている製品仕様でWILLCOM NSのCPUは明らかにされていないが、東芝からは「ARM系」を搭載していると回答があった。インテルが挙げるMIDの条件で、OSやプラットフォームが細かく規定されているわけではないが、これまでの経緯を考えると、CPUにARMを搭載するデバイスは、少なくともインテルが考えるMIDには当てはまらないことになる。このあたりの事情について東芝では、「東芝が考えているモバイルインターネットデバイスとしてWILLCOM NSは最初の製品になる」と答えている。
WILLCOM NSのOSには、Windows CE 5.0が導入されている。Windows MobileではなくWindows CEを採用した理由として東芝は「WILLCOM NSにオリジナルのユーザーインタフェースを実装するには、開発が容易なWindows CEが適していた。Windows Mobileでは、OSに用意されているユーザーインタフェースにどうしても依存することになる」と説明している。
WILLCOM NSの本体サイズは約80(幅)×11(奥行き)×147(高さ)ミリと、iPhone 3Gなどよりだいぶ大きく感じるが、厚さ(スペック表では“奥行き”であるが……)は11ミリと薄く、重さも約160グラムとそのサイズから受ける印象より軽く感じる。WILLCOM NSのコンセプトとしてアピールされている「システム手帳にはさんで使う」というのは、開発している段階から東芝が想定していたもので、WILLCOM NSのパッケージにはシステム手帳にWILLCOM NSをはさむための6穴式ホルダーが標準で付属する。
システム手帳と携帯端末を一緒に使うというコンセプトは、以前にもThinkPadシリーズで「TransNote」が2001年に発表されている。このような構成では、紙に手書きした「アナログ」な情報を携帯端末で利用するために「デジタル化」する工夫がないと両方の情報の共有や活用は難しいが、WILLCOM NSには、アナログデータをデジタル化するためのインタフェースやユーティリティは特に用意されていない。そのため、WILLCOM NSでは、手書きのアナログデータとWILLCOM NSで扱うデジタルデータをそれぞれ独立させて活用することになる。東芝は、その一例として「メモ書きなどの入力情報は紙のノートに、検索した結果などの出力情報はWILLCOM NSで」という運用例を示している。
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