NECのデスクトップPC“VALUESTAR”シリーズでも孤高の存在といえるのが、水冷システムを組み込んだ液晶一体型PC「VALUESTAR W」シリーズだ。今回の2009年夏モデルは、従来機 VW790/SGのデザインやスペックを引き継いだ「VW770/TG」1モデルで展開する。
VW770/TGの最大の特徴は、クアッドコアCPUを採用するハイエンド指向のデスクトップPCながらも、CPUやHDDを冷却する「独自の水冷システム」と吸音材や防振材でHDDを包む「HDD遮音BOX」などの採用により、高負荷時でも公称25デシベルという静音性を実現したことだ。これらは、動画再生に特化した22型ワイドのスーパーシャインビューEX2液晶ディスプレイや地上・BS・CS110度のデジタル3波に対応したダブルチューナー、DVDスーパーマルチ機能付きのBlu-ray Discドライブとともに、デジタルテレビとデジタルレコーダー、そしてPCの機能を1つに融合する液晶一体型PCとしての魅力をさらに引き立てるものとなっている。
ブラックを基調とする高級感を受けるカラーリングも前モデルから継承する。水冷システムを搭載するだけに液晶一体型PCとして見ても少々大柄な印象で、重量は約21キロとなる。半面、22型ワイドのディスプレイとともに、PCの内蔵型としてはかなりしっかりとサウンドを鳴らしてくれる3ワット+3ワットのステレオスピーカーを設置するので、小〜中規模のリビングルームや寝室などのプライベートルームへの設置にほどよく調和する。ディスプレイのスイベル調整ができないのは少し残念と感じるが、テレビ視聴時はやや視聴距離が離れることをふまえ、大きく視認性を損ねることはない。
PCとしての基本スペックは、2009年春モデルの上位機「VW790/SG」を引き継ぎ、相当高機能だ。CPUはクアッドコアのCore 2 Quad Q8200S(2.33GHz)、メインメモリは4GバイトのDDR3 SDRAM(PC3-8500、2Gバイト×2)、HDDは1Tバイト(7200rpm)と、デジタル放送を中心とするAV機能を存分かつ快適に利用できるスペックとなっている。グラフィックスはIntel GM45 Expressチップセット内蔵のIntel GMA 4500MHDが担う点は従来モデルと同様である。
インタフェース類は本体背面を壁ぎりぎりまで近づけて設置することを考慮し、前面と側面のみに備わる。このうちBlu-ray Discドライブとメモリカードスロット、USB 2.0、ヘッドフォン端子を前面のカバー内に配置し、デザイン性と使い勝手の双方を配慮している。このほかの端子やテレビ関連のコネクタは主に左側面にまとめられ、本体のサイズに反して、テレビチューナーカードで埋まっているため拡張カードの増設は行えない。ちなみに、デスクトップPCながらIEEE802.11b/g/n(11nはドラフト2.0準拠)に対応した無線LAN機能も内蔵するので、設置する場所はそれほど困らないと思われる。
本体のカラーと合わせたキーボードとマウスはワイヤレス仕様で、約3メートルまで離れたところでも利用できる。キーボードは本体の下部へ収納でき、いかにもPC然とした機器が敬遠されがちなリビングルームへの設置も抵抗感は少ないだろう。さらに、キーボードの出し入れ動作とPCの動作を関連付けられる便利な機能も備わっている。
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