では、どのくらいの時間で作業が完了するか。今回のUSBデータリンクケーブル2つに加え、有線LAN(ギガビットLAN対応ルータ経由)とUSB外付けHDD(5400rpmの2.5インチHDD内蔵型)をつなぎ変える方法の参考例として、計4Gバイト(3041ファイル)のマイドキュメントフォルダすべてを転送するまでの時間を計測した。
検証に用いたPCは、Windows XP Professional(SP3)をインストールしたデスクトップPC(FMV-C610/Celeron 2.2GHz搭載)と、64ビット版Windows 7 Professionalを導入したノートPC(ThinkPad X200/Core 2 Duo P8600搭載)で、いずれもUSB 2.0と1000BASE-T対応有線LANポートを搭載し、LAN環境もギガビット対応とした。
利用手段 | ファイル転送 にかかった時間 |
速度 | 難易度 | 手間 | 同梱ソフトの機能 | コスト |
---|---|---|---|---|---|---|
DN-AN2500PLB | 23分50秒 | △ | ○ (容易) |
○ (楽) |
△ | 1999円 |
DN-AN201PLW | 20分30秒 | △ | ○ (容易) |
○ (楽) |
○ (同期なども可能) |
2499円 |
有線LAN | 12分20秒 | ○ | △ (共有設定に若干の知識が必要) |
○ (楽) |
─ | 0円 (すでに導入してあると想定) |
外付けHDD | 27分15秒 (つなぎ替える時間も含む) |
△ | ○ (容易) |
△ (つなぎ替えがやや面倒) |
─ | 0円〜数千円前後 (新たにストレージを購入する場合) |
USBデータリンクケーブルは製品の違いでやや差が出たが、これは誤差範囲ととらえられるだろうか。旧PCからファイルをコピーし、新PCに差し替えてファイルを移す作業……が発生するUSB 2.0の外付けHDD(やUSBメモリ)より、時間と手間がかからないことも改めて分かる。
これら2製品は基本的に同じ目的を果たすものの、同梱ソフトウェアの機能に若干の違いがあるので、自分の利用シーンを考えて選択したいところ。PC引っ越し時以外にデータ同期用として定期的に活用したい場合、さらに携帯する用途などがあるなら、500円ほど高価ではあるが万能なDN-AN201PLWのほうがおすすめだ。
一方、転送速度そのものはギガビットLAN経由がやはり高速で、無線LANも導入してあるならさらに手間はかからない。家庭内LANでファイル共有を日常的に利用するユーザーなら、わざわざUSBデータリンクケーブルを導入する必要がないのも事実だ。ただ、このようなユーザーであれば「ちょっとPCを教えて──」などと家族に聞かれたり、調子が悪くなった友人・知人のPCの面倒を見るような機会も多いだろう。ファイル共有のために他人のPCのLAN/共有設定などをあれこれ調整するなら、USBデータリンクケーブルで直接つないでしまう方が手っ取り早そうではないか。
そのようなわけで、PCを買い替えたライトユーザーや、メインのデスクトップPCとモバイルノートPCのデータを手軽に同期させたい人はもちろん、人に頼られるヘビーユーザーも「とりあえず共有」用に所持しておくと、思いもよらない幸せが訪れる──かもしれない1本と言えないこともないわけである。
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