Alienwareはもともと欧米のトップエンドゲーマーから支持を集めてきたPCメーカーの1つだ。2006年にデルが買収し、これまで米国を中心に製品展開を行ってきたが、その後、2009年6月に日本市場へ本格参入、デルのフラッグシップラインを完全に乗っ取る形で、デスクトップPCとノートPCで全6モデルを投入している。“Alienware”の名は身近になったが、同ブランド名で販売されるPCは今も昔もPCゲーマーのあこがれと言っていい。
ゲーミングPCといえば、何よりも優先されるのはパフォーマンスだ。コストパフォーマンス重視の傾向にある国内PCメーカーの製品はこの点でやや物足りないため、本格的にPCゲームを楽しもうとすると、最新のハイエンドパーツを購入してPCを自作するか、ショップブランドのPCを購入する場合が多かった。一方、Alienwareの製品はそれ以外の部分――ボディの外装やデスクトップの壁紙、各部にちりばめられた光るギミックなど、デザイン面でも突出しており、これが人気の理由にもなっている。SF映画を連想させる外観は既存のPCにはない圧倒的な存在感がある。
ここでは“ノートPC編”と題し、ゲーミングPCとしての選択肢がより少ないノートPCのカテゴリを取り上げ、PCゲーマーに最適なAlienwareのノートPCラインアップを改めて紹介していこう。なお、実際の使用感やベンチマークテストによる性能評価は、個別のレビューを参照して欲しい。
デルのノートPCラインアップに君臨する「Alienware M17x」は、“宇宙最強の17インチゲームマシン”のうたい文句で登場したAlienwareブランド日本上陸第1弾の製品だ。一時は後発の15型ワイドモデル「Alienware M15x」に基本システムの性能で遅れを取っていたが、2010年にモデルチェンジを行い、Core i7-720QM/820QM/920XMの搭載に対応、グラフィックスのBTOオプションもMobility Radeon HD 4870(従来はGeForce GTX 260M/280M)に変更され、名実ともにフラッグシップ機の座に返り咲いている。また、現在では16万9980円(ベーシックパッケージ価格)と、より安価に購入できるようになったのもトピックだ。
基本的なデザインは初代モデルを踏襲しており、アルマイト加工の外装と406(幅)×321(奥行き)×51.3〜53.6(高さ)ミリのボディサイズは、ノートPCというにはあまり大きい。実際、本体重量も5キロを超えており、1キロ近くあるACアダプタの存在も考慮すると、持ち歩いて利用するというよりも“部屋の中で移動はできる”程度に考えておいたほうがいいだろう。
最高構成なら、Core i7-920XM(2GHz/8MバイトL3キャッシュ/+11万7810円)をはじめ、Mobility Radeon HD 4870×2のCrossFire X(+3万1500円)、512GバイトSSD(256Gバイト×2)のRAID 0(+20万8425円)と、3Dゲームが快適にこなせる十分な性能を獲得できるが、その分価格は天井知らずで跳ね上がっていくので、予算との兼ね合いで選択したい。ただし、17型ワイド液晶ディスプレイの解像度は、1440×900ドットと1920×1200ドットの2種類があり、後者を選択しても+1万2600円なので、これはできれば高解像度を選んでおきたい。このほか、1920×1200ドットでは、LEDパネルの選択肢も用意されている(+2万4150円)。
15.6型ワイド液晶ディスプレイを搭載する「Alienware M15x」は、Alienware M17xとほぼ共通のデザインを採用する兄弟機だ。ただし、CPUがCore i5-430M/Core i7-920XM/Core i7-820QM/Core i7-720QM、グラフィックスがGeForce GT 240M/GTX 260と、BTOの選択肢が下に広いため、「ノートPCでゲームはしたいけどそれほど性能は必要としない」、あるいは「Alienwareのデザインが好き」というライトユーザーに適したモデルと言える。また、BTOメニューには256GバイトSSD(+6万9825円)も並んでいるが、SSD×2台によるRAID 0構成は用意されていない。その分価格も安く、最小構成なら13万9980円から購入可能だ。一方、15.6型ワイド液晶の解像度は、標準の1600×900ドットから+2625円で1920×1080のフルHDパネルに変更でき、特にドットピッチが狭すぎるという印象もないので、これは選択しておきたい。
なお、15型なので持ち運んでの利用を想定するかもしれないが、本体重量は約4.8キロもあるため、日常的なモバイル用途にははっきりと向いていないことを付け加えておく。
ノートPCというにはあまりにも巨大なAlienware M17/M15xに対し、常時携帯しての利用を現実的にしたモデルが11.6型ワイド(1366×768ドット)の「Alienware M11x」だ。デザインはAlienwareのノートPCラインアップで統一感があるが、ボディサイズは85.7(幅)×233.3(奥行き)×32.7(高さ)ミリと小さくなり、付属のACアダプタも小型化されている。また、バッテリー駆動時間が、チップセット内蔵グラフィックス動作時で最長約8.5時間をうたっているのも特徴だ。実測値でもディスクリートGPUのGeForce GT 335M使用時で3時間50分とまずまずの結果を残しており、バッテリー性能の点で不安はない。
ただし基本スペックは、CPUに超低電圧版Core 2 Duo SU7300(1.3GHz)、グラフィックスコアにGeForce GT 335M/1Gバイト(およびチップセット内蔵のIntel GMA 4500MHD)と、いわゆるCULVノートPCの標準的なシステムで、Alienwareの名を冠するゲーミングノートPCとしての特徴はかなり薄まっているといわざるを得ない。デスクトップPCで「Alienware Aurora」や「Alienware Area-51」をすでに持っている人が“お出かけ用”のモバイルPCとしてM11xを購入する、といった場合に最適だろう。また、価格も9万9800円と10万円を切っているので、Netbookや低価格ノートPCよりもデザイン面で特別な1台がほしい、といった人にはおすすめだ。
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