天面はヘアラインを入れたブラックのアルミパネルで構成され、全体的に落ち着いた雰囲気になっているが、GTシリーズで定番のレッドラインが控えめに施されており、ゲーミングノートPCとしての“遊び心”も演出している。ゲーミングノートPCというと、どうしても派手なイルミネーションやインパクトを与える強烈なフォルムのモデルが多いが、GT640は、遊び心を持ちながらも日常の生活と共存できる「落ち着いた」デザインといえる。
GT640のキーボードの右隣にはテンキーが配置される。もっとも、15.4型ワイドのディスプレイを搭載するモデルなので、17型ワイドディスプレイモデルのようにスペースが有り余っているわけでもなく、キーピッチも実測で約18ミリ、幅が狭い一部のキーでは17ミリや15ミリであったり、カーソルキーが通常のキーとテンキーに食い込んだ形で配置されるなど、やや無理のあるレイアウトとなっている面もある。しかし、ゲームではテンキーの有無が快適なプレイに大きく影響するので、テンキーの存在はゲーミングノートPCとして考えるとポイントが高い。
また、ゲームに登場するキャラクターのコントロールでよく使うカーソルキーや、テンキーの「8」「6」「4」「2」、そして、アルファベットの「W」「A」「S」「D」が赤いカラーリングで目立つようになっているなど、プレイヤーが使いやすい工夫も施されている。
キーボードの上には、無線LANやBluetooth、内蔵されたWebカメラの動作状況を表示するイルミネーションアイコンが並ぶ。この部分にタッチセンサーを組み込んでいるので、アイコンに触れるだけで機能の切り替えが可能だ。直感的な使い勝手を実現する方法として評価できるだろう。
価格を抑えたGT640であるが、やはりゲーミングノートPCとしては、パフォーマンスが問題になる。CPUはインテルのモバイル向けモデルとしては上位クラスとなるCore i7-720QMなので問題ないとして、外付けGPUのGeForce GTS 250Mは、HIGHEND PERFORMANCEという位置付けながら、デスクトップPC向けのレンジでいうと、搭載するシェーダユニットの数はGeForce GT 240と同等、動作クロックはさらに下回るといった微妙な仕様になっている。3Dゲームがどの程度快適に動作するのかが気になるところでもある。
そこで、今回の性能検証では、通常のノートPCレビューで行うベンチマークテストの「PCMark05」「3DMark06」に加えて、「PCMark Vantage」「3DMark Vantage」「Street Fighter IV」「THE LAST REMNANT」「CINEBENCH R10」「CINEBENCH R11.5」も測定した。
ただし、製品版のOSは64ビット版のWindows 7 Home Premiumが導入されているが、評価機材は32ビット版のWindows 7 Home Premiumであったため、ここで示したベンチマークテストの結果と製品版で測定した結果の値が一致しない可能性もある。あくまで、参考値として考えていただきたい。
ベンチマークテストの結果 | ||
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PCMark Vantage Build 1.0.2.0 | PCMark | 5156 |
memories | 3152 | |
TV and Movies | 3456 | |
Gaming | 4450 | |
Music | 5665 | |
Communications | 3559 | |
Productivity | 3827 | |
HDD | 3223 | |
PCMark 05 Build 1.2.0 | PCMarks | 6319 |
CPU | 7170 | |
Memory | 8044 | |
Graphics | 4699 | |
HDD | 5428 | |
3DMark Vantage Build 1.0.2 | Peformance | 1672 |
High | 942 | |
3DMark 06 Build 1.0.2 | 1280×768ドット、nonAA、nonAniso | 4207 |
1680×1050ドット、4XAA、8XAniso | 2059 | |
Street Fighter IV | 1280×720ドット | 61.28 |
1680×1050ドット | 18.67 | |
THE LAST REMNANT | 1280×768ドット | 27.04 |
1680×1050ドット | 16.49 | |
GT640は、ゲーミングPCというコンセプトを重視しながらも、そのデザインは個人が日常で使うのにも抵抗を感じない落ち着いた雰囲気になっている。価格も、性能を追求する構成になりがちなゲーミングノートPCとしては16万円台半ばと、汎用のノートPCを求めているユーザーにも購入しやすい程度に抑えている。
それでいながら、Core i7-720QMを搭載してクアッドコアとTurbo Boost Technologyを利用した強力なCPU性能が利用でき、GeForce GTS 250によるゲームパフォーマンスも、画質設定を重くしなければ快適なフレームレートを発揮できる。
ゲーミングノートPCというと「高価で超強力なギンギンノートPC」といった、「日常使いには、ちょっともったいない」、または「日常使いには、ちょっと無理」なモデルが多かったが、GT640は、ゲームと日常のバランスがちょうどよくとれた、コストパフォーマンスに優れたモデルといえる。ちょっと長く使いたいホームユースのメインマシンとしても、有力な選択肢となるだろう。
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