AMD製クアッドコアCPU搭載ノート――「HP Pavilion Notebook PC dv6a/CT」を駆るあえてCore iではない選択肢(3/3 ページ)

» 2010年08月10日 11時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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クアッドコアPhenom II×ハイブリッドGPUの実力は?

 評価機のスペックは、Phenom II P920(1.6GHz、2次キャッシュ2Mバイト)、メモリ4Gバイト(2Gバイト×2)、ATI Mobility Radeon HD 5650(1Gバイト)、HDD 500Gバイト、DVDスーパーマルチドライブ、64ビット版Windows 7 Home Premiumという内容だ。この構成で各種ベンチマークテストを実行した。性能のテストに関しては、外部GPUのATI Mobility Radeon HD 5650利用時とAMD M880Gチップセット内蔵のATI Mobility Radeon HD 4250利用時の両方で行なった。

PCMark05のスコア
PCMark Vantage x64(1024×768ドット)のスコア

 PCMark05のCPUスコアは4422だった。このテストはGPUなどの影響が少ないため、環境が異なっていても比較の目安にしやすいが、インテルCPUでいえば、Core i3-330M(2.13GHz)搭載機にも及ばない程度にとどまる。動作クロックが1.6GHzと低いため、シングルスレッドのテスト内容が多いPCMark05ではこんなものなのだろう。

 PCMark Vantageでも、比較的マルチスレッド性能が生きるTV and MoviesやGamingなどではスコアがよい傾向にあるが、MusicやCommunication、Productivityなどは動作クロックの影響が大きいことから、トータルではやはりCore i3-330M(2.13GHz)搭載機以下のスコアにとどまる。

 もっとも、CULVノートPCなどよりは明らかにパフォーマンスが高く、ATI Mobility Radeon HD 5650利用時は項目別に見て弱点も見あたらない、バランスのよいスコアをマークしている。総合的にWindows 7を快適に利用できる性能を持っていることは間違いない。ATI Mobility Radeon HD 4250ではPCMark05のGraphicsやPCMark VantageのGamingなどグラフィックス関連の項目でスコアの落ち込みが見られるが、これは仕方がないところだ。

3DMark06(1280×768ドット)のスコア
ストリートファイター4ベンチ(1280×720ドット、垂直同期オフ)のスコア

FF XIベンチ3のスコア
FF XIVベンチのスコア。ロードタイムは34791ms

 ATI Mobility Radeon HD 5650利用時は、DirectX 9.0c世代の3Dグラフィックスベンチマークテストである3DMark06でも6803とそこそこのスコアをマークした。FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のHigh設定で3334、ストリートファイター4ベンチマークでもランクAに相当するスコアをマークしており、これくらいのタイトルなら十分快適にプレイできることが分かる。

 試しに、FINAL FANTASY XIV Official Benchmarkを実行してみたところ、Low設定で1604というスコアだった。公式Webページの目安によると「重い」に相当するので、快適なプレイは難しいと思われる。

 ATI Mobility Radeon HD 4250利用時については、FINAL FANTASY XIV Official Benchmark 3のLow設定でATI Mobility Radeon HD 5650利用時に近いスコアが出ているが、これはCPUの動作クロックが低いため、スコアが頭打ちとなってGPUの差が反映されていないと思われる。ほかのグラフィックス関連テストではRadeon HD 5650利用時とは大きな差がある。

 マルチスレッドに最適化されているテストのCINEBENCH R11.5も実行してみたが、1.83ptというスコアだった。デスクトップ向けCPUでいえば、Pentium G6950(2.8GHz)など1万円以下で販売(単体の実売価格)されているCPUと同等レベルで、デスクトップ向けクアッドコアCPUのようなハイレベルの性能が得られるわけではない。それでも、TDPが25ワットということを考えれば、十分よい性能といえるだろう。

 クアッドコアCPU搭載のシステムだからといって、特別な性能を持っているわけではないが、Windows 7環境下においてビジネスもゲームを含めたエンターテインメントも十分こなせるパフォーマンスを持っていることは間違いない。

バッテリー駆動時間、騒音レベル、ボディの発熱は?

 dv6a/CTはモバイルで使うサイズのノートPCではないが、一応バッテリー駆動時間もBBench 1.01(海人氏・作)で測定した。Windows 7の電源プランはデフォルトの「バランス」(バッテリー駆動時のディスプレイ輝度40%)で、BBenchの設定は無線LANで常時接続し、デフォルトの「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」を組み合わせた内容だ。テスト結果は3時間14分(バッテリー残量7%)と、公称値の約5時間には及ばなかったが、持ち運ぶノートPCとしての最低限の基準は満たしているといえる。

 動作音については、最近のノートPCとしては少し大きめだった。暗騒音32デシベルでボディの正面5センチと近い距離から測定した動作音は、アイドル時、低負荷時とも37デシベルだった。ファンの音がするのが分かるというレベルだが、高負荷時には42デシベルとかなり大きくなる。また、起動時には45デシベル前後の大きな音がする場合があった。

 PCMark05、3DMark06の終了直後に、ボディの表面温度を放射温度計で測定したところ、発熱の処理はまずまずだった。ボディ左側が中心に発熱し、長く使っていると左パームレストがじわじわと熱を持ってくる。それでも室温27度の環境で、左パームレストの表面温度は37度とそれほど高くはない。ただし、底面部の左側だけは47度とかなり高かった。

騒音テストの結果
発熱テストの結果

コストパフォーマンスに優れたエンターテインメントノートPC

 同社直販のHP Directplusでは、AMD V Series V120を搭載した「HP Pavilion Notebook PC dv6a/CTカスタマイズ夏モデル 4万円台サマーキャンペーン・モデル」が4万9800円から用意されている。これをベースに評価機と同等のハードウェア構成に見積もると、9万930円(配送料/税込み総額)となる。

 また、Athlon II P320、メモリ2Gバイト、HDD 500Gバイト、DVDスーパーマルチドライブという構成で、Office Personal 2010をバンドルした「dv6a/CT カスタマイズ夏モデル プレミアムパック オフィス付きで6万円台キャンペーン・モデル」は、6万9930円から用意されている。こちらをベースに評価機と同等のハードウェア構成に見積もると、Office 2010付きで9万930円(配送料/税込み総額)となり、さらに高いコストパフォーマンスの構成で購入できる。

 15.6型ワイド液晶とクアッドコアCPUを搭載し、3Dゲームもプレイできる3D描画性能を備えたモデルが約9万円で買えるのだから、コストパフォーマンスは抜群といえるだろう。特にこのレベルの価格帯の製品としては、ゲームや動画再生などエンターテインメント性能に優れており、そういった用途を中心に考えているならば、購入の有力候補に入れてよい製品だ。

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