ASUSTeK Computer(ASUS)の薄型軽量ノートPC「UL」シリーズから、新モデルの「UL20FT」が登場した。コストパフォーマンス抜群のCULV(Consumer Ultra Low Voltage)ノートPCとして人気を集めた「UL20A」の後継機にあたり、基本システムをインテルの新世代・超低電圧版プラットフォームにリニューアルするとともに、独自機能の搭載で性能向上を図っている。
ULシリーズには「UnLimited」の意味が込められており、CULV版のCPUを採用することに加えて、薄型、軽量、長時間のバッテリー駆動も兼ね備えた「求めやすい価格ながら何の制限もない」モバイルノートPCを目指したという。
製品ラインアップは、2色のボディカラー(シルバー/ブラック)とOffice Personal 2010の有無で全4モデルを用意している。今回入手したのはボディカラーがシルバーで、Office Personal 2010が付属しないモデル「UL20FT-2X034V」(価格は5万9800円)だ。それでは、気になる性能や使い勝手を検証していこう。
CPUは超低電圧版のCeleron U3400(1.06GHz)を採用する。これは低価格薄型ノートPC(いわゆるCULVノートPC)向けの新しい廉価版デュアルコアCPUで、モバイル向けのCore iシリーズ(開発コードネーム:Arrandale)をベースにしたものだ。メモリコントローラをCPUに統合しており、各コアで512Kバイトずつの2次キャッシュに加えて、2コアで共有する2Mバイトの3次キャッシュも内蔵している。グラフィックスコアのIntel HD GraphicsもCPU側に統合されているのが特徴だ。TDP(熱設計電力)は18ワットとなっている。
ただ、新世代のアーキテクチャとはいえ、廉価版のCPUだけにHyper-Threading、Turbo Boostといった機能は省かれている。先代モデルのUL20Aが搭載していたCore 2 DuoベースのデュアルコアCPUである超低電圧版Celeron SU2300(1.2GHz、2次キャッシュ1Mバイト、TDP 10ワット)と比べて、性能差は微妙なところだ。
そのためか、ASUSでは「Turbo 33」テクノロジーとして、性能を最大33%引き上げるというオーバークロック機能を独自に搭載している。Windowsのデスクトップ上に専用のガジェットが用意されており、スライダ1つでオーバークロックのオン/オフを切り替えられる仕組みだ。切り替えの際には数秒間画面がブラックアウトするが、OSの再起動などは必要ない。
超低電圧版Celeron U3400(1.06GHz)は、ほかのモバイル向けCore iシリーズ(Arrandaleコア)と同様に、GPUコアとしてIntel HD Graphicsを統合しており、本製品のグラフィックス機能もそれを利用している。
Intel HD GraphicsはDirectX 10に対応し、MPEG-4 AVC/H.264のハードウェアデコード(同時2ストリーム対応)を含む、強力なHD動画再生支援機能を搭載しているのが特徴だ。GPUコアの動作クロックはTurbo Boost Technologyにより可変し、最低166MHzから最高500MHzまでの間で、負荷や温度の状況などに応じて変動する。
チップセットにはIntel HM55 Expressを採用する。CPUに統合されたIntel HD Graphicsの出力機能を備えた定番のチップセットだ。
メインメモリはPC3-8500(DDR-1066) SO-DIMMに対応しており、容量は標準で2Gバイトを搭載、最大4Gバイトまで増設できる。底面のネジ止めされたカバー内にSO-DIMMスロットが2基用意され、標準ではそのうちの1基に2Gバイトのモジュールが装着済みで、1基が空いている。
データストレージは2.5インチのSerial ATA HDD(5400rpm)を採用しており、容量は約320Gバイトだ。SO-DIMMスロットのカバーを開くと、HDDベイも現れる。
UL20Aと比べると、CPUとチップセットが世代交代したほかは、メモリがPC2-6400からPC3-8500へと高速化しているが、メモリ容量、HDD容量ともに据え置きとなっている。なお、光学ドライブは搭載していない。
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