とはいえ、さすがにモバイル向けなので、完ぺきを求めるのは酷なこと。手元にあるScanSnap S1500も交えて、購入前に気になりそうな以下の6点について、ざっくりチェックしてみた。
実はADFがなくても連続スキャンは可能。S1100は、紙を1枚読み込んだあとに待機状態となる。ここで2枚目をセットすれば自動でスキャンが始まる。紙のセットが面倒そうにも見えるが、実際にやってみると意外と楽チンだった。
S1500とは異なり、重なり検出につかう超音波センサーなどは内蔵していないが、自分で1枚ずつ給紙するので、紙づまりが起きる可能性も低い。もちろん、数十ページにわたる資料を裁断してスキャンする用途では、ADF付きのS1500のほうが明らかに向いているが。
S1500に比べるとやはり遅い。読み取りモードを「スーパーファイン」「カラー」「片面読み取り」に設定して、1枚のA4用紙をスキャンしたところ、S1100は1枚8.5秒、S1500は4.8秒という結果だった。
さらに5枚のA4用紙を使って、上記の設定で連続スキャンを試してみたが、S1100が手動でがんばって給紙して51.3秒なのに対し、S1500はADFで16.4秒と圧倒的な差がついた。頻繁に十数ページの書類をスキャンするなら、S1500を買ったほうが幸せになれるだろう。
これは用途による。2、3枚程度だったら、排紙ガイドを開いてスキャンすれば、上側に紙が排出されて裏面が手前に倒れてくる。そのままもう片面を給紙口に差し込めば、両面スキャンができるというワケだ。PFUはこの仕組みを「Uターンパス機構」と呼んでいる。
文字はS1500と大差なし。写真も一見、大きな違いが分からないが、よく観察するとS1500のほうが細部がつぶれていなかったり、諧調がきちんと再現されている。もっとも、どちらも写真原稿のスキャンには向いていないのでたいした問題ではないだろう。
これは割と実用的だ。ScanSnapのドライバは、OCR機能も備えている。資料を変えて30ページほど試したが、解析精度はかなりよくなった印象だ。以前はOCRを利用すると日本語とは思えないなぞの文字が出てくることも多かったが、今回はほとんど修正せずにコピー&ペーストで使える部分も多かった。解析にかかる時間はページ内の文字量にもよるが、手元にあった文字中心で7ページの書類をMacBook Air(1.4GHz)でスキャンして解析したところ25秒程度だった。
コピー&ペーストした結果は以下。
透明度が高い「ロタブルー」の海に舞う 東京から約4時間。サイパンとグアムの間にロタという小さな島がある。派手なショッピングセンターやカジノはないが、自然に溢れた素朴な環境が魅 力だ。中でも「ロタブルー」と呼ばれる透明度が高くて真っ青な海は必ず見 ておきたいところだ。サンゴ礁をひらひらと泳ぐ色とりどりの魚たちを間近 にすると、目も心も癒されるだろう。
付属ソフトは圧倒的に少ない。名刺管理ソフトとしては、Windows用に「名刺ファイリングOCR」を、Mac用には「CardMinder」を用意している。また、両環境ともにEvernoteのソフトが付属する。このほかWindowsでは、文書管理の「ScanSnap Organizer V4.1」、OCRの「ABBYY FineReader for ScanSnap 4.1」、家計簿ソフト「やさしく家計簿 エントリー for ScanSnap」、ECM連携ソフト「Scan to Microsoft SharePoint 3.4」が利用できる。
自分の欲しいものでなければ、いくらソフトが多く付属してきても意味がないし、Mac用のソフトをすべて付けたがために本体価格が上がるというのも本末転倒な気がする。当初、Mac版は名刺管理ソフトすら付属していなかったので、現状ではかなりの進歩なのだが、いずれはMac版でWindowsと同じ機能が使えるようになると喜ぶユーザーも増えるだろう。
というわけで、いろいろ比べてみると、スキャン性能では据え置き機であるS1500のほうに軍配が上がるというのが見えてきた。しかし、S1500の価格は4万9800円とS1100の3倍近い。持ち運びだけでなく、ソフトウェア的には上位モデルと大差がないため、手軽にドキュメントスキャナの便利さを体験する意味では、S1100を選ぶというのもアリだろう。
PFUのウェブ直販と、直営店/オンラインのApple Storeでは、ボディが白い「ScanSnap S1100 White Model」が限定で発売されている。価格は同じ1万7800円なので、MacBookユーザーはデザインを統一する意味でこちらにも注目だ。
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