夏から秋にかけての主役は、間違いなくスクウェア・エニックスのMMORPG「ファイナルファンタジーXIV(以下、FF14)」だ。
6月にはベンチマークデモを披露するショップがみられるようになり、「FF14はかなりのハイスペックを要求するようです」(ツートップ秋葉原本店)との認識が一般化していた。そのため、ミドルクラス以上のグラフィックスカードの売れ行きが伸びていたが、7月1日にWindows版の発売日が9月30日(コレクターズエディションは9月22日)と正式発表されると、この勢いが加速。各ショップでハイエンドグラフィックスカードがエントリークラスを抜いて、売り上げトップに名を連ねるという“FF14特需”が起きた。
最初に目立ったのは、初期のベンチマークで優秀なスコアを叩き出していた「Radeon HD 5870」と「同HD 5770」搭載カードだ。
その後、NVIDIA系カードも最新ドライバを適用することでスコアが伸びるようになり、7月に登場したGeForce GTX 460搭載カードの1Gバイトメモリタイプが、2万5000円前後の割安な価格帯も手伝って定番といわれるまでの人気を得た。同時に、ハイエンドなグラフィックス環境を整えたFF14推奨のBTOマシンも各店で好調な売れ行きをみせ、T-ZONE.PC DIY SHOPに「まさにキラーコンテンツです。ここまでの盛り上がりは、CPUなどのパーツだけでは不可能でしょう」と言わしめた。
そのまま熱気を下げることなく記録的な猛暑だった真夏日を過ぎ、少し涼しくなった9月22日、異例の特需はコレクターズエディションの販売開始でピークを迎えることになる。ソフマップアミューズメント館で行われた深夜販売には300人以上のファンが詰め掛けたが、陽が昇った22日朝以降は一気に勢いが去り、FF14のパッケージを山積みした光景が複数のショップでみられるようになった。
“お一人様1個まで”の文字を斜線で消したPOPを眺めながら、クレバリー1号店は「予約販売と深夜販売でコア層の需要が一旦満たされた感があります。ネットではシステムの粗が指摘されているので、環境が整うまでは様子見ということにしておきましょう」と自分に言い聞かせるような口ぶりで語っていた。しかし、2010年末時点では、まだブームの再燃は起きていない……。
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