記録的な猛暑となった8月のアキバは、ショップが無料配布しているうちわを片手に街を行き交う人々が目立った。客足は例年通りだったが、お盆の前半はPCパーツショップの各店内の混み合いが激しく、「駅の改札周辺みたいな状況でした」と語るショップも。
大型連休時はメーカーや代理店も休暇に入るため製品の仕入れが少なくなるが、完全にストップすることはなく、新製品も途切れなかった。その中で特に注目されたのは、Radeon HD 5870を2基搭載したASUSTeKのグラフィックスカード「ARES/2DIS/4GD5」だ。世界で1000枚のみ限定生産したモデルで、PCI Express x16スロット1基あればCrossFireを構築できる。GDDR5メモリを合計4Gバイト搭載しているのも特徴だ。入荷時期は直前まで不透明だったが、お盆の最中に複数のショップが発売し、瞬く間に品薄となった。価格は14〜15万円前後。
TSUKUMO eX.は「2枚入荷したんですが、1人の方がセットで購入されました。ほかのお店でも1台のマシンで使うために複数枚買いした人が何人かいるようです。4GPUのCrossFireXとは相当豪華ですが、カードだけで30万円……すごいお客さんもいますよね」と驚きながら笑っていた。
また、同時期にドスパラ秋葉原本店には、GeForce GTX 460カードで初となる2Gバイトメモリ搭載モデル「NE5X460SF1142」が入荷しており、こちらも大きな反響で迎えられている。価格は2万4980円だ。同店は「メモリバンド幅は通常の1Gバイトモデルと同じで、全体の仕様としてはオーバークロックを施しています。GTX 460は768Mバイトと1Gバイトモデルのうち、1Gバイトモデルが特に売れていますが、フルHD液晶2枚でマシンを動かしている人は、それ以上のメモリ容量を求めているようですね」と話していた。
8月に最も注目されたストレージ製品は、CrucialのSATA 3.0対応SSD「RealSSD C300 CTFDDAC064MAG-1G1」だった。6月末に登場した64Gバイトモデルで、速度はリード最大355Mバイト/秒、ライト最大70Mバイト/秒。リード速度は上位モデルと同等ながら、価格は1万5000円前後と割安感が高く、8月初旬から複数のショップで売り切れが続出していた。
T-ZONE.PC DIY SHOPは「(お盆当時)1つ上の128Gバイトモデルが3万円前後、最上位の256Gバイトモデルが6万3000円と高価なうえ、最近は複数台のSSDをRAID 0で動作させる構成が流行っていることもあり、64Gバイトモデルを複数買いされる方が多かったんですよ。SATA 3.0対応のSSDはほかにないこともあり、このモデルだけが集中的に人気を集めました」と振り返る。そして、9月初旬現在も品薄だ。
この人気を受けて、クレバリー1号店は白箱入りのバルク品を仕入れ、リテールパッケージより若干安い1万4470円で販売。また、先のT-ZONE.PC DIY SHOPを含む複数のショップは、比較的在庫に余裕のある128Gバイトモデルの価格をプッシュしており、お盆明けには2万7000円前後まで値下げするケースもみられた。
ある店員氏は「128Gバイトモデルなら、ライト速度が2倍の最大140Mバイト/秒まで伸びるので、予算に余裕があるならこちらでRAID 0を構築してさらに高速な環境を目指すのもアリだと思いますよ。ブートドライブでも、使っている間に書き込みが発生する場面は結構多いですからね」とアピールしていた。
なお、128Gバイトモデルがプライスダウンした背景には、同時期にバッファローから128GバイトのSATA 3.0対応SSD「SSD-N128S/M」が登場したことも影響しているようだ。SSD-N128S/Mは実効速度としてリード352Mバイト/秒、ライト136Mバイト/秒の値を掲げており、採用したドライブもCrucialの母体企業であるMicron製と明記している。価格は3万2000円前後ながら、「国内のサポート体制が行き届いているバッファロー製品ということで、価格差が薄ければこちらを選ぶ方もかなり増えると思います」(TSUKUMO eX.)と期待されていた。
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