“山手線ぐるぐるベンチ”でUSB地デジチューナーを徹底比較(後編)テレキング vs. ちょいテレ・フル(2/2 ページ)

» 2011年03月09日 17時00分 公開
[吉川慧・古田雄介(ぜせ),ITmedia]
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GV-MVP/FZの評価――走行中にライブで見るならワンセグ自動切り替えは必須

 まずはGV-MVP/FZのテスト結果から見ていこう。下に示した表は、赤がスムーズに視聴可、ピンクが一部途切れるが視聴可、黄色が受信はするが頻繁に途絶、灰色が受信不可、そして青がフルセグ・ワンセグモード自動切替で視聴可と、色分けしている。

GV-MVP/FZのテスト結果

 GV-MVP/FZは、フルセグのみだと走行中に視聴しにくい状況が続いた。受信できても申し訳程度に一瞬映像が映るといった状態で、東京タワー直近の浜松町駅あたりまで走行中はほぼ視聴に耐えうる映像を拝めないといった感じだった。

 ただし、フルセグ・ワンセグ自動切替モードにすると、ある程度状況が改善し、恵比寿駅周辺などは走行中も番組が安定して視聴できた。モード切り替えは、視聴中でも右クリックメニューから設定ができるので手軽だが、ワンセグに切り替わる際にはテレビソフトが再起動されるため、タイムラグが発生することは念頭に入れておきたい。

 移動中の放送受信は「運がよければ」という感覚で利用するのがベターといえる。とはいえ、本体が小さく、USBメモリのように気軽に使えるメリットは大きい。電車の乗り換え時や待ち時間に放送中の番組を楽しんだり、移動中は録画した番組を見るといったすみ分けをすれば、情報収集やひまつぶしに重宝しそうだ。受信環境はいまひとつでも、多彩な機能でフォローできるのが強みといえる。

張り出しがあるため、多少回りに気を配る必要がある。また、アンテナも外側へ向けると危ない(写真=左)。フルセグ・ワンセグ自動切替モードは視聴中でも、画面上で右クリック→設定→視聴/録画のタブから設定が可能。ただしワンセグモードへ切り替え時にはソフトが再起動する(写真=右)

DT-F200/U2W評価――ダイバシティモードが移動中の地デジ視聴に望みをつなぐ!

 次にDT-F200/U2Wを見ていこう。結果は以下の通りで、表の色分けも同じだ。

DT-F200/U2Wのテスト結果。右側の表はダイバシティモードでの結果だ

 通常の受信能力は、GV-MVP/FZとほぼ互角。停止中は安定して受信できる場合も多かったが、乗降客が多い新宿駅などでは人の流れで映像が乱れることが多々あった。こちらも移動中はワンセグへの自動切り替え設定が欠かせないだろう。フルセグ・ワンセグ自動切替モードは、GV-MVP/FZ同様に視聴中でも画面上から右クリックで表示されるメニューで設定できる。テレビソフトの再起動が不要な点はうれしい。カフェなどで「ちょっと電波が悪くなったかな」と思ったら、気軽にモード変更して対処できるのだ。

 ただ、DT-F200/U2Wはダイバシティモードという強い武器もある。このモードに設定すると2番組同時視聴や裏番組録画はできなくなるが、受信環境自体が悪いときはそうした高度な機能はどのみち使えない。テスト結果を見ても分かるように、ワンセグ切り替え以上の効果を発揮するので、通勤中などでも放送中の番組を見たい人には強力な味方になるだろう。

 そして本体の取り回し。DT-F200/U2Wは、GV-MVP/FZより一回り大きいうえ、USBケーブルでの接続となる。付属のクリップを使えばPCの液晶背面に固定できるので、左右の乗客に迷惑をかけにくいのがメリットだが、実用するためのパーツが多いのでポケットに入れて持ち運ぶのは少々つらい。ただし、装着後は周囲のじゃまになりにくいので、車両の混み具合によってアンテナの場所を変えるなどして柔軟に対応できるメリットもある。

手持ちでPCの手前における。そうするとアンテナなどを全開にしても周囲の迷惑とはならない(写真=左)。フルセグ・ワンセグ自動切替モードはGV-MVP/FZと同様、視聴中でも設定ができる。画面上で右クリック→受信モードから選択。ソフトの再起動はなく、タイムラグも少ない(写真=右)


 以上、屋外における両チューナーの使い勝手を検証した結果、移動体内での使用はあまり向いていないにせよ、駅ホームなどの停止時における利用に関しては十分地デジを楽しめることが分かった。

 その中でもDT-F200/U2Wは、価格が1万6000円前後とやや高価ながら、受信能力を高めるダイバーシティモードや2番組録画などが行えるので、より多機能を使いたい人にはイチオシだ。一方のGV-MVP/FZは携帯性のよさと1万円前後という割安感が魅力。常にポケットやカバンに入れておいて、スポーツ番組などを見たいときだけ取り出すという使い方ならこちらに分がある。自分にスタイルにあったモデルを選んでほしい。

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