さらに各アプリケーションは、画面のスクロールごとに階層が深くなるWindows Phone 7の「Metro」(関連記事:「MIX10:スムーズな動作と開発期間の短さが特長の“Windows Phone 7 series”」)と呼ぶUIを採用していた。そして、Windows 8におけるシステムやアプリケーションの特徴的な操作方法も注目だ。
例えば、画面の右端から左側に向かって指をなぞると、右方向からせり出す形でシステムメニューが出現する。これがアプリケーションランチャーであったり、検索やシステム設定を呼び出すメニューであったりする。逆に、画面の左端から右側に向かって指をなぞると、直前まで実行していたアプリケーションを呼び出せるようになっており、ホーム画面からアプリケーションを実行したのであればホーム画面が出現する。これはつまり「戻る」の動作ということだ。アプリケーションの違いを意識せずに直前の操作を呼び戻せるため、非常に直感的に扱えるといえる。メール内のリンクをクリックすると、Webブラウザが開く──といった状況がよくあるが、その場合はいきなりアプリケーションが切り替わることになり、ユーザーによってはメール画面が突然画面から消えるために混乱する場合がある。そういった場合でも、すぐに「戻る」動作を行えば元の環境を呼び出せるというわけだ。
さらに、アプリケーション実行中に画面の下端から上側へ指をなぞると、画面の下からメニューがせり出してくる。これがそれぞれのアプリケーション用サブメニューとなり、より細かい操作や各種設定はこのメニューより行う。アプリケーションによっては画面の上から下に向かって指をなぞると、いくつかの画面のサムネイルが表示されることもある。例えばWebブラウザのIE10は、複数開いているページがサムネイルとして表示され、これをタップすることでページを切り替えるといったタブとしての機能を果たす。
このように、画面を左右方向になぞるとシステム関係のメニューや操作を、上下方向になぞると実行中アプリケーション関係のメニューや操作が行えるようになっている。この画面の端から行う操作スタイルでメニューを呼び出す仕組みがWindows 8の特徴的な点だろう。もう1つタブレットスタイルならではなのが、本体を両手で保持した状態で画面端をタップすると、それだけで「画面端から反対方向へ指をなぞる」と同じ動作に置き換えてくれることか。両手で本体を持った状態では大きな操作が難しいための工夫と思われ、センサーを組み合わせてこれを実現する。
また、アプリケーションは全画面表示だけでなく、複数のアプリケーションを同一の画面上に同居させることも可能だ。例えば先ほどの「戻る」動作で直前のアプリケーションを呼び出した状態で、その画面がサムネイルで表示されたままで一定時間滞留させると「Snap」という状態になり、2つのアプリケーションを1つの画面内に同居させられる。動画を見ながらニュースやTwitterのタイムラインをチェックするなど、さまざまな使い方が可能になる。
ここで「従来のデスクトップ画面はどこにいったのか」と感じた人は多いと思う。もちろん、これまでと同じようなデスクトップ画面も適時呼び出せる。こうすると従来のWindowsと操作体系が同じになり、Windows Explorerを開けば普通にローカルドライブを参照することもできる。もっとも、ファイルブラウザのような機能はタブレット向けの新UIでもしっかり用意されており、実使用時は好みで使い分けるスタイルになるのかもしれない。タッチ操作では従来のWindowsのUIでの細かい動作が少々難しいため、タッチ環境であれば基本的には新UIを利用したほうが使いやすいと思われる。なお、デスクトップ画面でスタートボタンを押すとホーム画面へと戻るようになっている。
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