Windows 8がタイルUIを採用する意図、そして“面倒な制約”とは──ここまで判明、「Windows 8」詳報COMPUTEX TAIPEI 2011(3/4 ページ)

» 2011年06月03日 19時39分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

Windows on ARMで示される「統一的なユーザー体験」とは

 さて、ここからはフォームファクタごとの差異とWindows on ARMについて触れていこう。

photophoto アンギウロ氏が強調するのは、Windows 8はデスクトップからノートPC、タブレットまですべてのフォームファクタをカバーし、そのすべてに対して「Windowsのフル体験」を提供するという点だ。スマートフォンこそ含まれないものの、昨今ブームのタブレットさえWindows 8ファミリの1つとの認識だ。これは操作体系を含む既存のWindows 7製品なども含まれる。例えば写真=右の例はSamsungの普通のWindows 7搭載ノートPCだが、このマシンはタッチスクリーンをサポートしない。だがWindowsキーやトラックパッドでのジェスチャー操作を使い、ここまで紹介したような一連の新UIでの操作が可能になっている

 アンギウロ氏は「Windows 8は既存のWindows環境の延長線上にあり、デスクトップPCからノートPC、タブレットデバイスまで、すべてのフォームファクタをカバーし、統一した使い勝手を提供する」と説明している。デモでの例はタッチ操作に対応したタブレットデバイスだったが、タッチパネルを備えないノートPCや、既存のソニー製タッチパネル搭載液晶一体型デスクトップPCでも、Windows 8が問題なく動作することが示された。足りない操作はトラックパッドのジェスチャー操作で補完するなど、極力従来のWindowsマシンとしても使える工夫もなされているようだ。

 この統一的なユーザー体験とは、もちろんWindows on ARMにもいえる。x86系プロセッサとARMプロセッサにバイナリレベルでのアプリケーション互換がないことは分かると思う。では、なぜわざわざARMを使うのか。アンギウロ氏は「ARMのSoCはこの超小型サイズだ。Snapdragon MSM8660は2つのプロセッサコアによりそもそもパワフルなだけでなく、3G・新世代(4G)の通信機能も搭載しながらこのサイズを実現する。これにより、よりスリムで軽量なフォームファクタを構築できるためだ」と説明する。

photophotophotophoto そして話題は「Windows on ARM」に。すでにCES 2011のデモで一部が紹介されていたが、ここで改めてARM SoCを提供するベンダーがTexas Instruments(TI)、Qualcomm、NVIDIAの3社であることが明言された。またARMマシンのリファレンスモデルを提供するベンダー3社として、Wistron、Foxconn、Quanta Computerの名前が初めて紹介された。今後のソフトウェア検証に向け、アプリケーション開発者らはこれらベンダーから提供されるプラットフォームを利用することになる。写真=右はクアルコムのSnapdragon MSM8660で、この中に1.4GHz駆動のARMプロセッサコアを2基搭載するほか、3Gと4Gのモデム機能も内蔵する(4GについてはLTEかWiMAXかは明言していないが、Snapdragonの仕様に準拠するとみられる)。AARMプラットフォームの利用により、これまで以上に薄型軽量なマシンの開発が可能になるメリットがあると説明する

 だが、前述のように「見た目だけが一緒のWindows」では仕方ない。同氏はデモストレーションで、x86プロセッサ搭載のマシンで動作するWindows 8と同様の操作感やWebレンダリング速度、動画再生パフォーマンスが実現できることを示したうえで、USB機器の接続やファイルの移動・複製、プリンタからの印刷など、同様の機能を実現できることを強調した。例えばUSB接続は、Androidがバージョン3.1で正式サポートするが、周辺機器の制御などにいくつかの制限があるため既存のUSB周辺機器がそのまま使えるわけではない。通常のPCではPC側が“主”で周辺機器側がUSB接続における“従”になるのに対し、Android 3.1ではその逆となるためといった理由が挙げられる。

 このほか、今後はWindowsデバイスでもカメラやGPSをはじめ、磁気センサーや加速度センサー、ジャイロスコープといった各種複合センサーを搭載することになり、Windows 8自体がこれをサポートすることになるという。同氏によれば、複数のセンサーをまとめた"Fusion Sensor"というかたちで統一APIから制御できるようにし、各種Webアプリケーションからでもそれにアクセスできるようになるようだ。

photophotophoto USB端子を介して簡単にハードウェアアクセスできる点もWindows on ARMならではの特徴となる。ファイルをドラッグ&ドロップでコピーしたり、USBメモリ内の動画ファイルを再生したりと、Windows同様の操作感が実現できる(写真=左)。また各種センサーAPIも標準実装される。複数のセンサーを組み合わせたFusion Sensorを使ってアプリケーションがユーザーの動きを自在に感知できるようになるという(写真=中央)。Windows on ARMならではのメリットその2であるプリンタ。既存のタブレットデバイスはプリンタドライバを実装しておらず、そのままでは印刷ができないことが多かった。Chrome OSなどでは「クラウドプリント」のような仕組みを用意して印刷機能を提供するが、これがスタンドアロン環境でも簡単にできるのもWindowsならではといえる(写真=右)

 また、ハードウェアアクセラレーションの仕組みによりWindows on ARMでも十分な実行速度が得られるという。IE Test Driveのサイトにあるベンチマークテストを実行し、これが通常のデスクトップPCで実行したChromeやSafariなどのほかのブラウザよりも高速動作する様子が示された。同氏は「すべてのWindows 8アプリケーションはハードウェア支援を受けたWebアプリケーションとして動作する」と述べ、今後のWindows 8の目指す方向を示唆している。

photophotophoto NVIDIAが開発中の「Kal-El」プロセッサを使ったシステムの例。クァッドコアとARMでは最もパワフルな能力を提供し、よりスムーズにアプリケーションを動作させることが可能という。右側のパフォーマンスモニタを見ると、起動直後は高負荷だが、以後はハードウェアアクセラレーションの動画再生支援を受けてほとんどグラフが上昇していない(写真=左、中央)。IE Test Driveのサイトにあるベンチマークテストを実行。通常のデスクトップPCなどで実行したChromeやSafariなどの他のブラウザよりもWindows on ARMのIEのほうが高速に動作するという(写真=右)

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